とうにょうびょうせいはくないしょう

糖尿病性白内障

別名:糖尿病白内障
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概要

糖尿病白内障とは、糖尿病に合併する白内障(水晶体が混濁することで視力の低下をきたす病気)のことです。加齢による白内障の場合は、数年単位で徐々に視力が低下しますが、糖尿病白内障では、皮質白内障または後嚢下白内障の状態が多く、進行のスピードも速くなります。また、糖尿病がある方では、通常の白内障の進行も速いといわれています。白内障で低下した視力は、眼鏡やコンタクトレンズでは矯正できないため、手術による治療がおこなわれます。

原因

白内障の原因は、その多くが加齢によるものです。水晶体の加齢が10代後半からゆっくりと進行して、水晶体が混濁してしまい白内障になります。糖尿病の方では、加齢に加えてソルビトールという特殊な糖や糖化蛋白が水晶体の中に蓄積しやすく、浸透圧が変わって水晶体の中の水分量が増加するために水晶体が濁りやすいことが知られています。また糖代謝異常により細胞膜が破壊されることで皮質白内障の形をとりやすくなります。
 

症状

糖尿病白内障には、若年者(40歳以下)の1型糖尿病で観察される真性糖尿病白内障と、高齢者にみられる仮性糖尿病白内障の2種類があります。ほとんどは仮性糖尿病白内障で、混濁形態は皮質白内障か後嚢下白内障、またはこれらの混合が多くみられます。皮質白内障の場合は、初期では周辺部にだけ水晶体の濁りがあるので、濁りが少ない間は特に症状はありません。

白内障が進行して、濁りが中心部にまで達すると、明るいところでもみえにくくなり、視力が低下します。後嚢下白内障の場合は、水晶体を包んでいる後ろの袋(後嚢)が濁る白内障で、中心部からすりガラス状の濁りが生じるので、初期のうちから明るいところでみえにくくなり、早い段階から視力が低下します。ただし、暗いところでは瞳孔が大きくなり混濁のない周りのほうから眼内に光が入ってくるので、見えやすくなります。
 

検査・診断

白内障が進行すると視力が低下するので、視力検査を行います。もともと近視や遠視、乱視がある方は、裸眼では視力が低下しているので、白内障による視力低下なのか判断できません。そのため、一番視力の出る眼鏡をかけて矯正視力検査を行います。白内障があるかどうか、また白内障の程度や種類を調べるのには、細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょう)という装置を使って、水晶体の透明度、水晶体のどの部位がどれくらい濁っているかを観察します。

糖尿病のある方は、糖尿病網膜症など糖尿病による眼合併症でも視力低下をきたす可能性があります。白内障だけによる視力低下なのか、それとも糖尿病網膜症による視力低下なのかを判断するために、散瞳しての眼底検査や必要に応じて眼底の断層写真による検査も行います。また、その他にも視力低下をきたす眼の病気はたくさんあるので、眼圧検査や視野検査など網羅的な検査が必要になります。
 

治療

点眼薬や内服薬、注射などでは、水晶体の濁りをなくして、視力を回復させることはできません。視力を改善させるには水晶体の濁りを取り除き、代わりに人工の眼内レンズを入れる白内障手術が必要になります。特に糖尿病網膜症がある場合には、眼底検査やレーザー治療の妨げになるので、初期の皮質白内障などで視力がある程度よくても、白内障手術が必要になることがあります。

しかし、白内障手術後に糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫などの急激な進行をきたすことがあるため、特に糖尿病網膜症が進行している方では術前にレーザー治療を行うことがあります。また糖尿病黄斑浮腫を発症していたり、手術後に悪化が懸念される場合には、手術前にステロイドのテノン嚢下注射や抗VEGF薬の硝子体内注射を行うこともあります。糖尿病白内障では、合併症や術後の炎症、後発白内障の頻度が高いので、術前からの血糖コントロールが非常に重要です。