けっかくせいずいまくえん

結核性髄膜炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

結核性髄膜炎とは、結核を原因として発症する髄膜炎です。全体の結核発症例からみると少ないですが、医療環境が整備された日本ですら致死率や後遺症を残す確率が20%前後であるとされおり、緊急の対応が必要とされる病気です。

結核性髄膜炎を発症すると、進行例においてはけいれんや意識障害などを呈しますが、初期の段階では頭痛や倦怠感などの症状に留まることがあります。細菌性髄膜炎では急激な症状変化を遂げますが、結核性髄膜炎は比較的慢性に経過することが多く、診断が難しい病気です。
 

原因

脳や脊髄は、髄膜によって保護されており、髄膜と脳・脊髄の間は髄液で満たされています。髄膜炎とは、この髄膜及び髄液に炎症が生じる病気です。脳に感染した場合を脳結核腫といいます。髄膜炎をきたす原因は細菌、ウイルス、真菌などに加えて結核菌などさまざまです。

肺に病変をもたらすことが多い結核ですが、結核性髄膜炎にまで至る例は必ずしも多くはなく、何かしら状況が重なった場合に発症することが多いです。

何かしらの状況とは、小児における結核の初感染、HIV感染、悪性腫瘍、加齢、栄養失調、糖尿病アルコール依存症などです。
 

症状

結核性髄膜炎は、いわゆる細菌性髄膜炎ウイルス性髄膜炎などと比較すると緩徐に進行することが多いです。また、髄膜炎症状(頭痛や吐き気など)が明らかでないこともまれではなく、気付かれにくいことがあります。

乳児期の結核性髄膜炎であれば、哺乳力低下、活気低下などが初発症状となります。年齢が上がると食欲不振や倦怠感などの症状が現れます。肺結核に続発することが多く、慢性的な咳や痰などの呼吸器症状を伴うこともあります。

結核性髄膜炎では脳神経症状を伴うことがあります。眼球の動きに影響を与える外転神経や動眼神経に支障を生じることが多いです。病状が進行すると手足の麻痺(まひ)やけいれん、意識障害などをきたすこともあります。

検査・診断

結核性髄膜炎の診断では、髄液検査が重要です。髄液に混入している細胞の種類や量、糖やタンパク質の量などを評価します。また、髄液中のアデノシンデアミナーゼ活性の高値も、補助的な診断項目となります。

その他、髄液を用いて、顕微鏡による結核菌の検索、培養検査、結核菌特有の遺伝子を検索するためのPCR法なども行われます。また、結核への感染を確認するためのインターフェロンγ遊離試験、病巣部位を把握するための胸部レントゲン写真や、頭部CT、MRIなどの検査も行われます。
 

治療

結核性髄膜炎の診断は必ずしも容易ではない反面、治療が遅れることで死亡率や後遺症を残すリスクが高まることも知られています。そのため、結核性髄膜炎が疑われるときは、できるだけ速やかに抗結核薬を使用することが重要です。

結核性髄膜炎では、リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、リファブチンの4剤もしくはストレプトマイシンとエタンブトールの2剤を併用して使用します。多剤を併用するのは、経過中に耐性菌が生じるリスクを下げるためです。治療は数日で終了するものではなく、長期の内服が必要になります。

結核治療は長期に渡るため、経過中に薬剤に関連した副作用が出現してこないかどうかを確認することも重要です。具体的な副作用としては、末梢神経障害や聴力障害、視力障害、肝炎、腎障害などがあります。また、エイズなどの合併症がある場合には、並行してそれらに対する治療を行うことも重要です。結核性髄膜炎では、結核菌自体が中枢神経系に腫瘤を形成することがあります。その際には手術による切除を考慮します。また、水頭症を発症することもあり、その場合は利尿剤の使用やシャント術の適応を考慮することになります。
 

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