こういひふえん

肛囲皮膚炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

肛囲皮膚炎とは、肛門周囲から臀部(でんぶ)(お尻)にかけての皮膚が赤黒くただれたり、かぶれたりする状態のことを指します。非常に強い掻痒感(そうようかん)を伴うことが特徴で、肛囲湿疹もここに含まれます。

鑑別(見分ける)すべき疾患として、同部位に好発する帯状疱疹(たいじょうほうしん)や肛門パジェット病があります。

原因

頻回の下痢や多量の汗により、肛門周囲の皮膚が障害されることが原因で、真菌類(白癬菌やカンジダ菌など)の感染が加わるとさらに悪化します。

成人では抗生物質内服による腸内細菌叢の変化による軟便や、なんらかの原因で起こる頻回の下痢、長時間のドライブなどが誘因となります。

女性の場合は、カンジダ性膣炎や月経が原因となることもあります。また乳児や幼児でも便の処理が不十分だったときに発症することがあります。

症状

初めのうちは、肛門周囲がヒリヒリとしみるような痛みが現れます。さらに漿液性(しょうえきせい)の丘疹や小水疱ができ、掻きむしったりすることで分泌物が滲み出てきて掻痒感がさらに強くなります。

肛門周囲の発赤やびらん(ただれ)、膿疱(のうよう)が、臀部まで拡がることがあります。放置しておくと慢性化し皮膚が肥厚したり、色素沈着が残ったりすることがあります。

検査・診断

視診にて皮膚炎の外観や拡がりを確認します。また、分泌物を採取して細菌培養や真菌培養を行い、原因菌を特定します。

帯状疱疹や肛門パジェット病との鑑別が必要な場合は、そのほかの検査も検討されます。帯状疱疹は、肛囲皮膚炎と同様の丘疹を生じますが、分布が左右どちらかに偏在しているため鑑別は比較的容易です。

パジェット病は皮膚にできるがんの一種で、多くは乳房に発生します。まれに外陰部や肛門に生じることがありリンパ節転移などを起こすことがあります。肛門パジェット病は、組織を採取して病理検査をおこない鑑別します。

治療

まず、肛門周囲を清潔にすることが原則です。またアルコールや香辛料など刺激が強いものの摂取は控えます。排便後は紙で拭くことは避けシャワーや温水トイレを利用して処理をします。柔らかいタオルで肛門周囲の水分を優しく拭き取ります。その後ワセリンや亜鉛化軟膏などの軟膏を外用します。真菌がみつかった場合は抗真菌薬の外用を行い、かゆみが強い場合はステロイド軟膏を使用することもあります。通常は1~2週間で改善しますが、軟便が続く場合はなかなかよくなりません。

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