こかんせつえん

股関節炎

最終更新日:
2019年01月15日
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2019/01/15
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概要

股関節炎とは、股関節内に炎症を生じる病気や怪我のことです。その原因はさまざまで、外傷や感染、アレルギーなどが挙げられます。股関節炎の主な症状は股関節部の痛みですが、痛みは大腿(だいたい)の内側や前面、膝にまで広がるケースも多々あります。また、痛みが強い場合には股関節運動が制限されたり、関節に体重がかかることで激しい痛みが誘発されたりするため、歩行や立位が困難になることも少なくありません。

股関節炎には原因によっていくつかの種類がありますが、原因がはっきりわからない「単純性股関節炎」、股関節内に細菌感染が生じる「化性股関節炎」などが挙げられます。

股関節炎は小児に多く発症しますが、ペルテス病などの股関節疾患との鑑別が必要となります。また、高齢者などでは、骨粗鬆症を背景として股関節を構成する大腿骨や骨盤の微小骨折や閉鎖孔ヘルニアなどでも同様の症状が生じるため、鑑別が困難になることも少なくありません。

原因

股関節炎は大きく分けると、感染が原因ではない「非感染性股関節炎」と股関節内への病原体感染が原因である「感染性股関節炎」があります。それぞれの原因は以下の通りです。

非感染性股関節炎

非感染性股関節炎でもっとも多い病気は、「単純性股関節炎」です。3~8歳ごろの男児に好発しますが 、発症メカニズムは明確には解明されていません。外傷アレルギーによるものなどさまざまな原因が考えられていますが、はっきりとした原因はいまだ不明であり、非特異的な滑膜炎であるとされています。また、ほとんどの例では、経過観察のみで治ります。

感染性股関節炎

感染性股関節炎でもっとも多い病気は、「化性股関節炎」です。生後一か月未満の新生児から乳児に多く見られますが 、免疫機能が低下した低出生体重児や先天性疾患の児が発症しやすいとされています。また、成人でも免疫力の低下する病気や薬剤を服用中の人で発症することもあります。原因菌は黄色ブドウ球菌がもっとも多く、直接股関節内に感染するのではなく、肺炎中耳炎などの病巣から血行性に感染することがほとんどです。また、成人では人工股関節に感染が生じて発症することもあります。

感染性股関節炎はこの他にも、関節内への結核や淋菌、梅毒、マイコプラズマなどの感染症が波及することが原因となることもあります。

症状

股関節炎の主な症状は、炎症による股関節痛です。しかし、特に幼い子供さんでは正確に痛みの部位を訴えることができないので注意が必要です。なんとなく痛がる・膝あたりを痛がる・動かしたがらないなど、さまざまな症状がありえます。

股関節は歩行などによって体重の負荷が大きい関節であるため、関節に負荷がかかると非常に強い痛みが生じて立位や歩行が困難になるケースも少なくありません。また、痛みは股関節に留まらず、大腿(だいたい)の前面や内側、膝にまで及ぶこともあります(股関節自体の痛みは全く訴えないことも珍しくない)。股関節内では炎症によって液体貯留が見られることがあり、関節運動が制限されることがあります。特に単純性股関節炎では外転・外旋位をとるのが特徴で、患肢が長く見えます。

一方、化性股関節炎では、悪い方の股を開いた状態であり、オムツ交換時などに股関節を異なる方向に動かそうとすると激しく泣くのが特徴です。また、発熱や不機嫌、食事量(哺乳量)低下などの全身症状が見られることもあります。症状が進行すると、股関節に発赤や腫脹が現れるようになり、関節可動域は著しく制限されます。股関節を構成する大腿骨に骨破壊が及ぶと、病的脱臼成長障害を引き起こすことも多々あり、発症した場合には正確で迅速な診断と適切な早期治療が必要となります。

検査・診断

股関節炎では、レントゲン、MRI、超音波などの画像検査によって股関節内の状態を正しく把握することが大切です。特にMRI検査や超音波検査では股関節内の液体貯留などを詳細に観察することが可能で、一般的に広く行われる検査です。

また、股関節内に貯留した液体を採取して、細菌培養検査や遺伝子検査などを行い、原因となる病原体を同定する検査や液体中の白血球数などを調べて感染の程度を評価する検査が行われることもあります。そのほか、全身の炎症状態を評価するために血液検査が行われることが一般的です。

治療

単純性股関節炎では痛みが強い場合には鎮痛薬などを用いた薬物療法が行われることもあります。しかし、基本的には2~4週間程度の安静を維持すれば自然と改善することがほとんどです。一方、感染性股関節炎の場合には、なるべく早期に原因となった病原体を同定して抗菌薬による治療を行う必要があります。特に、化性股関節炎では全身麻酔での手術が必要です。関節を切開した上で貯留した膿汁を輩出させ、十分な洗浄と抗菌薬の全身投与が行われます。

また、股関節のダメージが著しい場合には、病的な股関節脱臼を防ぐために下肢の持続牽引が行われるケースも少なくありません。

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