したんしらんしょう

肢端紫藍症

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

肢端紫藍症(したんしらんしょう)とは、主に手足の指先に生じる血流の変化のひとつを指します。肢端紫藍症は手足に分布する血管の異常をベースとして発症する病気であり、手足の指先が紫色に変色します。色の変化以外にも、指先が腫れたり冷たくなったりすることもあります。

同じように指先に生じる皮膚変化としてレイノー現象が知られていますが、レイノー現象のように潰瘍(かいよう)を形成したり、痛みを自覚したりすることは一般的に少ないです。

原因

肢端紫藍症の原因は確実なものは明らかとはなっていませんが、手足の指先などに対しての酸素供給が不足していることから生じる状態であると考えられています。手足の指先の酸素供給が十分になされるためには、動脈や静脈が適切に働くことが重要です。しかし、肢端紫藍症では、動脈が正常よりも収縮する、静脈が正常よりも広がるといった血管調節のアンバランスが生じていると考えられます。

一方、血管が血栓により詰まるような状態でも、血液の流れが阻害されることになります。しかし、肢端紫藍症はそうした物理的な阻害物が原因となった血流障害ではありません。あくまでも血管の開通性は保たれており、血管が狭くなったり広くなったりといった調整機能が問題を起こしている状態です。

肢端紫藍症は明らかな基礎疾患を同定できない特発性のものと、同定できるタイプのものがあります。肢端紫藍症を引き起こしうる基礎疾患としては、全身性エリテマトーデス強皮症などの膠原病がん、感染症、薬剤、四肢の運動障害を伴う神経疾患、拒食症などの精神疾患が例として挙げることができます。
 

症状

手足の指先の色が、左右対称性に紫藍色ないしは赤紫色に変化します。手足だけではなく、耳、鼻、口唇など顔面の局所も色調変化を伴うこともあります。色調の変化は寒冷刺激や精神的なストレスがあると、悪化する傾向があります。肢端紫藍症でみられる色の変化は、数か月単位で持続します。

また、色の変化に加えて指先の腫れ、冷たさ、発汗などを認めることもありますが、痛みを自覚することや潰瘍を形成することなどは基本的にはありません。一方、レイノー現象では発作性に指先が紫色に変化することがあり、紫色以外にも白くなったり赤くなったりなど、色の変化がより急速です。また、痛みや潰瘍形成を伴う点が、肢端紫藍症とは異なります。

肢端紫藍症は何かしらの基礎疾患と関連して発症していることもあるため、基礎疾患に応じた症状(たとえば全身性エリテマトーデスであれば日光過敏や皮疹、貧血など)が現れることもあります。
 

検査・診断

肢端紫藍症の診断は、症状の持続時間などの問診や指先局所を詳細に観察することでなされます。動脈が血栓で閉塞している病気ではないため、動脈を触れることは可能です。その他にも、指先を心臓より高くする、局所を圧迫解除する、などの動作を加え、動作に関連してどのように皮膚の色調が変化するかを詳細に評価することもなされます。レイノー現象と肢端紫藍症は異なるものであるため、症状の項目で記載した内容をもとにした鑑別もなされます(色調変化の様子や潰瘍の有無など)。

肢端紫藍症では、何かしらの基礎疾患が隠れていることがあります。隠れた疾患を調べることを目的として、手足以外の症状を診察にて詳細に評価し、血液検査や尿検査による臓器障害の有無、病気に特徴的な診断マーカーを検索します。
 

治療

基礎疾患が存在しない肢端紫藍症は、指先の色調変化以外の健康障害は基本的には生じません。治癒までに時間はかかることもありますが、健康被害は生じずに治癒することが期待できます。

喫煙、手足が冷たくなる状況や精神的ストレスがかかる状況において、肢端紫藍症の皮膚症状が悪化することがあります。そのため、禁煙、寒冷刺激を避ける、規則正しい生活を心がけストレスを溜め込まない、などの対策を講じることが重要です。また、症状がひどい場合には、血管を広げるお薬を投与することもあります。

肢端紫藍症でみる手足の症状が、基礎疾患と関連して生じている場合には、疾患に応じた特異的な治療介入を行うことが重要です。
 

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