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腱板断裂のテストでは何を調べるの?~ほかの肩関節疾患の鑑別も重要~

腱板断裂のテストでは何を調べるの?~ほかの肩関節疾患の鑑別も重要~
三宅 孝宏 先生

おおさかグローバル整形外科病院 関節外科 部長

三宅 孝宏 先生

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一般的には肩に痛みや動かしづらさが現れた場合は、四十肩や五十肩であるため、放置していれば治ると軽視されることがあります。しかし、もし腱板断裂という状態に陥っている場合は、適切な治療が必要な状態である可能性があるため注意が必要です。

腱板断裂とは、肩にある腱板と呼ばれる筋肉部分が老化するなどして断裂した状態を指します。診断は、主にX線やMRIといった画像診断と各種テストによって行われます。なかでも本記事では、腱板断裂のテストについて詳しく解説します。        

腱板断裂の診断に用いられるテストは主に、筋力に対するテストと痛みなどの症状に対するテストの2つに分けられます。また、似た症状がある肩関節疾患はさまざまにあるため、テストの際はほかの肩関節疾患との鑑別も重要になります。特に腱板断裂は五十肩や四十肩などの肩関節疾患と勘違いされることがありますが、いずれも別物です。

腱板断裂の場合は腱板が断裂することで、肩が動かしづらい(運動障害)、肩に痛みを感じるといった症状が現れ、放置すると断裂した範囲が広がって痛みが治まらないといいます。

一方、五十肩は肩関節周囲炎とも呼ばれ、原因がはっきりしているものを除いた肩周辺の痛みや動かせる範囲が悪くなるといった症状が伴う状態の総称です。症状は似ていますが、五十肩の場合は放置していても自然に治るといわれる点や、関節の動きが硬くなる点が異なります。

テストでは、このような症状をテストし、総合的に判断します。また、最終的にはテストのほかにもレントゲンやMRI、超音波検査などによって鑑別・診断が行われます。

筋肉や筋力に対するテストでは、主にdrop armテスト、棘上筋テスト、肩甲下筋テストなどが行われます。drop armテストは、医師が腕を持ち上げて離したとき、腕を挙げたままキープできなかったり痛みを感じたりすると陽性となり、その場合に腱板断裂によって肩が安定していないと判断することができます。

痛みなどの症状に対するテストでは、ある動作に対してどの位置で症状が生じているかを調べるためのインピンジメントテストが行われます。インピンジメントとは、肩を挙げていく段階で痛みや引っ掛かりを感じ、それ以上肩が挙げられなくなる症状を指し、腱板断裂の原因や症状となりうるものです。腱板断裂においては特に、肩を挙げる際に肩峰(けんぽう)(腱板と肩甲骨の屋根にあたる骨)やそこからのびる靱帯(じんたい)がこすれたりぶつかったりするような状態になり痛みを生じる“肩峰下インピンジメント”が起きやすいとされています。

肩峰下インピンジメントを誘発するテストとして代表的なものが、Hawkinsテスト(ホーキンステスト)とNeerテスト(ニアーテスト)です。Hawkinsテストでは肩を直角くらいになるように挙げ、Neerテストでは手が内側に向くような状態で肩を回す運動をし、これらの状態のときに痛みが現れるかどうか確認します。痛みがある場合は腱板断裂の疑いがあると判断されます。

腱板断裂は自然に治ることはなく、放置すると悪化することもあります。悪化した場合は注射療法や運動療法といった保存療法にとどまらず、手術が必要になるほか、悪化するほどに手術が困難なものになったり、回復の可能性が下がったりするため、早めの診断、治療が非常に重要です。

診断の際に行われるテストでは、上述のとおり主に肩の筋肉の状態や痛みなどの症状の有無をテストします。ただし、このようなテストの内容に当てはまるからといって腱板断裂だと限らず、ほかにも似た症状がある肩関節疾患の可能性もあるため、自己判断は難しく、医師による診断が重要となります。そのため、気になる症状がある場合は早めに整形外科などの受診を検討するとよいでしょう。

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