胃の中に生息するピロリ菌や非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が原因となり、胃壁が傷害される胃潰瘍。胃壁は表面から順に粘膜固有層・粘膜下層・固有筋層・漿膜(しょうまく)などから成っていますが、胃潰瘍の病状が進行すると、胃粘膜の下にある筋層のみならず漿膜まで傷が達することもあるといいます。本記事では、胃潰瘍の初期の自覚症状や、進行したときに現れる症状について、国際医療福祉大学塩谷病院消化器内科部長の山根建樹先生にお話しいただきました。
胃粘膜層のみ傷害されている場合(I度)は、胃潰瘍とは区別してびらんと呼びます。また、十二指腸潰瘍の重症例ではみられることもある自由穿孔は、胃潰瘍の場合はほとんどみられません。
胃潰瘍の症状は上述の傷の深さ(重症度)や、原因の違いによって変わります。
病初期の典型的な自覚症状は、みぞおちの中央あたりに生じる鈍い「心窩部痛(しんかぶつう)」です。また、心窩部に不快感を感じることもあります。
潰瘍により胃の蠕動運動が障害されると、胃酸が食道方向へと戻ってしまいすっぱいゲップが出たり、胸やけや吐き気を催すこともあります。また、胃のもたれ感、腹部膨満感なども生じます。
潰瘍が胃壁の血管を侵食すると出血し、下血(黒色便~タール便)したり、時には吐血することがあります。また、出血量によっては貧血を起こすこともあります。
NSAIDs潰瘍の場合、原因であるNSAIDsに鎮痛作用があるため、心窩部痛が抑えられてしまうことがあります。そのため、患者さんは出血による重い貧血症状が現れるまで病気に気づかず、来院されたときには病状が進行して傷が胃壁の深い部分にまで達していることもあります。このように、NSAIDs潰瘍では内視鏡で観察できる傷の見た目よりも、患者さんご自身が感じる痛みや苦しみは少ないという傾向があります。
NSAIDs潰瘍は、Hp潰瘍に比べて、大きかったり多発していたり傷が深い(下掘れ)ことがあります。以下は、ロキソプロフェンナトリウム水和物(NSAISsのひとつ)の服用が原因となってできた巨大潰瘍の活動期(A1 stage)の症例写真です。
また、NSAIDs潰瘍は胃の出口付近の前庭部に多くみられますが、この部分にはHp潰瘍はあまりできません。Hp潰瘍は基本的に胃角部や胃体部にできます。このように、潰瘍の部位や形状の違いが診断の一助となることもあるのです。
国際医療福祉大学 教授、国際医療福祉大学塩谷病院 消化器内科部長
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