原因
視神経に炎症が生じることで発症します。ほかの病気に合併して視神経炎が起こることもあります。しかし、はっきりした原因が特定できないケースも少なくありません。
視神経炎を引き起こす代表的な病気は以下のとおりです。
多発性硬化症
自分自身の神経を攻撃する免疫の異常によって発症する自己免疫疾患の1つです。中枢神経(脳と脊髄*1)や視神経などに脱髄*2を繰り返し引き起こします。脱髄が起こると体の各部位に指令を出す神経伝導がうまくいかなくなり、視力障害、感覚障害、運動麻痺などさまざまな神経症状が現れます。このため、視神経が障害されたり、目を動かす神経に麻痺が起こったりします。
視神経脊髄炎
免疫の異常によって体の組織が攻撃される自己免疫疾患の1つで、主に脊髄と視神経に強い炎症が起こる病気です。アクアポリン4という水チャネル*3に反応する自己抗体*4(アクアポリン4抗体)によって、脳・脊髄・視神経の表面に存在する水チャネルが攻撃されて発症すると考えられています。
MOG抗体関連疾患
ミエリン(髄鞘)の構成成分(MOG:ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク)に対する自己抗体*4によって脱髄*2が生じる病気です。中枢神経に生じる脱髄によって、視神経炎や脊髄炎をはじめ、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)や脳幹脳炎などさまざまな症状を引き起こします。
感染症
結核や梅毒、HIVなどの感染症や、脳炎、髄膜炎、副鼻腔炎など感染症による炎症が視神経に広がって視神経炎を引き起こします。
*1脊髄:脳から背骨(脊椎)の中にある太い神経の束。脳からの指令を体に伝えたり、体からの感覚を脳に送ったりする。
*2脱髄:炎症によって神経を覆っているミエリンが壊れて中の神経がむき出しになり、情報を伝えるのが遅くなったり止まったりすること。
*3水チャネル:体の細胞膜上に存在し、細胞内外の水分子のみを通過させる役割を持つ。アクアポリンとも呼ばれる。
*4自己抗体:抗体は通常、体内に侵入した病原菌などを攻撃するが、何らかの原因によって自分の組織に反応する抗体(自己抗体)が作られることがある。自己抗体は組織の損傷や炎症を引き起こすことがある。
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