症状
角化症にはさまざまな種類がありますが、多くの場合、特徴的な角化病変が皮膚に現れます。また、角化以外の症状を伴うこともあります。以下に代表的な角化症の症状を説明します。
尋常性乾癬
尋常性乾癬では、皮膚表面に銀白色の鱗屑*が付着した盛り上がった紅斑局面がみられます。その部分をこすり取ると点状に出血がみられることがあり、乾癬と診断する目安になります。通常、病変部のかゆみはみられませんが、ときにかゆみや爪の変形、関節炎を伴ったりすることもあります。症状は頭や肘、膝、お尻、すねなど日常的に刺激を受けやすい部位に現れやすく、まれですが全身に広がることもあります。
*鱗屑:皮膚の表面から剥がれ落ちる鱗状の角質のこと。
毛孔性苔癬
毛孔性苔癬では、皮膚の毛穴に小さなぶつぶつした発疹が現れます。これらの発疹は赤みを帯びていることも、色素が沈着して肌が黒ずんだりする場合もあります。通常、痛みなどの自覚症状を伴うことはありません。
扁平苔癬
扁平苔癬は、胴体、手首の内側、足、性器などに、かゆみを伴う赤色もしくは紫色の小さく盛り上がった発疹が現れます。発疹は次第に鱗屑を伴い、発疹が地図のように広がることもあります。また、口唇や口腔粘膜にも症状が現れることもあり、その場合は線状や網目状、レース状、 環状の白い斑点、白苔*、口唇のびらん(皮膚がただれている状態)などが生じます。口の中が荒れて刺激痛や灼熱感などを覚えることもあります。
*白苔:喉の奥にできる白い苔状の付着物のこと。
脂漏性角化症
脂漏性角化症は高齢の方に多くみられ、顔などにイボ状に盛り上がった茶色または黒色の病変ができます。表面はややざらついており、しばしば加齢によるシミ(老人性色素斑)と混在して現れます。時には、もともとシミだったものが脂漏性角化症に変化することもあります。
魚鱗癬
先天性魚鱗癬では全身の皮膚が赤くなり、皮膚が魚の鱗やサメ肌のような状態になります。魚鱗癬の中でも、非水疱型魚鱗癬様紅皮症や道化師様魚鱗癬と呼ばれる型では、手のひらや足の裏の皮膚が厚く硬くなるほか、唇やまぶたが反りかえったり耳が変形したりするなどより重度の症状が現れ、新生児期~乳児期に重篤な状態となることがあります。学童期までに軽快することもありますが生涯にわたり対症療法による治療が必要です。
鶏眼・胼胝
鶏眼は、主に足の裏、足指の甲側や側面への物理的圧迫で生じます。皮膚の下の骨のある部位にできるため、通常その部分に痛みを伴います。
一方、胼胝は、足の裏や甲、足指の側面、手のひら、手指、肘、膝などが円形に角化したもので、通常痛みはないか軽度です。
汗孔角化症
汗孔角化症は手の甲、足の甲、肘、膝、胴体、顔に症状が出やすく、円形や楕円形の膨らみを示す角化性の発疹が特徴です。典型的には、発疹の中央部が萎縮し少しへこんでいます。
日光角化症
日光角化症は、長年にわたって顔、耳介、うなじ、前腕、手の甲など紫外線にさらされやすい部分(露光部)に生じる皮膚の異常です。この状態は、時間が経過すると皮膚がんに進行する可能性がある「前がん状態」に変化することがあります。皮膚表面の毛細血管の拡張や萎縮が目立つ紅色調の局面*がみられたり、淡紅色~褐色調のざらざらした小結節**がみられたりすることもあります。びらんや出血がある場合は、積極的に切除して病理検査を行うことが重要です。
*局面:平坦な皮膚の盛り上がりのこと。
**結節:しこりのような皮膚の盛り上がりのこと。
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