原因
角化症の原因は多岐にわたり、主に遺伝的要因と環境要因が挙げられます。しかし、角化症の種類によって原因が異なるほか、通常は複数の要因が複雑に絡み合って発症します。
遺伝的要因
一部の角化症は、遺伝子の変異が原因となって起こります。たとえば、魚鱗癬の中でももっとも一般的な型である尋常性魚鱗癬は、フィラグリンという皮膚のバリア機能に関わる遺伝子の変異によって引き起こされます。また、先天性角化異常症は、生まれつき染色体のテロメア*に関連した遺伝子が変異していることが原因で発症します。さらに、手のひらや足の裏の角質が厚くなる掌蹠角化症も遺伝性であり、幼少期から症状が現れます。毛穴の周りに角質が過剰に蓄積する毛孔性苔癬や、汗腺の開口部に角質が詰まる汗孔角化症なども遺伝的要因の関与が知られています。
*テロメア:染色体の末端にある構造で、細胞分裂の際に重要な役割を果たす。
環境要因
外部からの刺激などの環境要因によって引き起こされる角化症もあります。たとえば日光角化症は長年の紫外線曝露が主な原因となって発症します。また、加齢とともに増加する傾向にある脂漏性角化症は、紫外線と皮膚の老化が原因と考えられています。
日常生活で経験する物理的な刺激も角化症の原因となることがあります。たとえば、鶏眼や胼胝は、革靴や道具などによる皮膚への慢性的な圧迫・摩擦によって引き起こされます。
また、乾癬など一部の角化症では、不規則な生活、偏った食事、ストレス、肥満といった生活習慣に関連する要因が発症や悪化のきっかけとなることがあります。
そのほかの要因
ほかにもさまざまな要因が角化症の発症に関与しています。後天性の角化症は、悪性腫瘍、サルコイドーシス、甲状腺機能低下症、膠原病などの病気に伴って生じることがあります。
乾癬でもっとも多い尋常性乾癬は糖尿病や脂質異常症、肥満といったメタボリックシンドロームが基礎にあることが多く、それに外傷や感染、ストレス、薬剤などが引き金となって発症すると考えられています。
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