いんけいこうかしょう

陰茎硬化症

同義語
形成性陰茎硬化症,ペロニー病
最終更新日:
2024年01月04日
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2024/01/04
更新しました
2017/04/25
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概要

陰茎硬化症とは、男性器の一部である“陰茎”に良性のしこりができる病気です。1743年に発見された病気で、発見者の名前にちなんで“ペロニー病”と呼ばれることがあるほか、“形成陰茎硬化症”と呼ばれることもあります。

陰茎には血液が循環する円筒状の組織が3つ存在し、そのうち2つを“陰茎海綿体”、1つを“尿道海綿体”といいます。この陰茎海綿体にある海綿体洞と呼ばれる部分に血液が満たされると陰茎が大きくなり、これを“勃起”といいます。陰茎硬化症では、この陰茎海綿体の一部にしこりができることによって、勃起時に痛みを感じたり、陰茎が曲がったり、うまく勃起しなくなったりすることがあります。

日本における陰茎硬化症の具体的な発生頻度は分かっていませんが、欧米では男性100人に対して7〜8人ほどの患者がみられると考えられています。また、年齢とともに発生頻度が上がるといわれています。

原因

陰茎硬化症の具体的な発症原因については、まだはっきりと分かっていません。ただし、以下のようなものが発症に関係している可能性があると指摘されています。

  • 糖尿病高血圧症脂質異常症などの全身疾患
  • 喫煙習慣
  • 非淋菌性尿道炎や炎症性性器疾患などの性感染症や炎症性疾患
  • 前立腺全摘除術などの手術
  • テストステロンの低下など、ホルモンバランスの乱れ
  • 遺伝的な要因
  • 手術や事故、性行為による陰茎へのダメージ

など

症状

陰茎硬化症の主な症状は、勃起時の痛みや陰茎が曲がることなどです。人によっては、陰茎に生じたしこりを手で触れられることもあります。そのほか、陰茎が短くなってしまったり、勃起そのものが難しい状態(勃起障害)になったりする人もおり、性行為に支障が生じることもあります(性交障害)。陰茎硬化症による痛みは時間の経過とともに和らぐことも少なくないため、初めは気になっていた痛みが自然と気にならなくなることもあります。

また、陰茎硬化症ではときに手のひらや足の裏が縮こまって変形する“デュピュイトラン拘縮(こうしゅく)”を合併する例もあります。手のひらや足の裏に違和感が生じた際は、医師に伝えるようにしましょう。

検査・診断

陰茎にしこりがある場合、がんなどほかの病気である可能性も含めて検査を行うことが一般的です。具体的には、問診で過去に陰茎に傷が付くような経験があったかどうかを確認するほか、しこりの状態や痛みの有無、陰茎に触れたときの感覚(知覚)の違い、勃起時の硬度などについて詳しく聞きます。また、多くの例で勃起時に陰茎が曲がってしまうため、曲がる向きなどについても問診します。

さらに、しこりの位置や大きさを明確にするために、超音波検査やMRI検査などの画像検査を行うことがあります。しこりの様子を超音波検査で詳しく観察すると石灰化している様子が確認できることもあります。

治療

陰茎硬化症では、まず薬物療法などの保存的治療が行われます。それでも効果が不十分な場合や何らかの障害が残る場合には、手術治療が検討されます。

保存的治療を開始してから症状が安定するまでにおよそ半年〜1年かかるといわれており、保存的治療後に医師と患者とでよく相談したうえで手術治療を行うか検討します。

保存的治療

陰茎硬化症の保存的治療としては、飲み薬や注射薬による薬物療法が検討されます。使用される治療薬は医療機関や患者の状況によっても異なりますが、しこり部分のケロイド発症を防ぐためにトラニラストやビタミンEの飲み薬の処方が一般的で、できるだけ早期から服用することが望ましいといわれています。

そのほかに、勃起時の痛みが強い症例ではステロイド薬の局所注射を行います。

手術治療

保存的治療や経過観察によって痛みなどの症状が治まってきた後、“陰茎の形状が気になる”“性行為や排尿時に支障をきたす”などの問題があれば手術治療も検討されます。

陰茎硬化症に対する手術治療としては、“プリケーション法”と“グラフト移植術”の2種類が挙げられます。

プリケーション法(縫縮術)

プリケーション法は、陰茎のしこりがある側と反対部分を縫い止めることにより、陰茎そのものを短縮させ、陰茎の曲がりを改善する治療方法です。陰茎の変形は改善されますが、しこりはそのまま残るため痛みのある人には向かないほか、陰茎が短くなるというデメリットがあります。

グラフト移植術

しこりを取り除いた痕を、採取した体の一部(足の血管や真皮など)あるいは人工物を用いた物質で補う治療方法です。陰茎が特に短い人や、しこりによって陰茎の一部が細くなってしまっている人に検討されます。グラフト移植術ではしこりを切除するため、しこりの組織検査を行うことができ、確定診断に役立ちます。しかし、陰茎硬化症や陰茎湾曲症に対する陰茎形成術が保険適用外になってから、グラフト移植術はほとんど行われなくなりました。

手術治療の注意点

手術後は一時的に勃起機能が低下したり、陰茎の感覚障害が起こったりすることがありますが、自然に軽快することが一般的です。また、手術をしても多少陰茎の曲がった状態が残ってしまう人もいます。

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