インタビュー

C型肝炎の感染経路―性交渉と母子感染

C型肝炎の感染経路―性交渉と母子感染
尾上 泰彦 先生

プライベートケアクリニック東京 院長

尾上 泰彦 先生

この記事の最終更新は2016年01月01日です。

1994年4月から2009年の約15年間に国立感染症研究所に報告されたC型肝炎の感染経路が明らかな280例(うち10件の複数回答含む)のうち、性交渉等が原因となったとされているのは60件(21%)です。

C型肝炎の原因となるC型肝炎ウイルス(hepatitis C virus:HCV)は性交渉等を通じて感染するために、これまで数回にわたってC型肝炎を性感染症という視点からご紹介してきました。今回はHCVの感染経路について、尾上泰彦先生に教えていただきました。

この水平感染というのは、病気の原因となるウイルスを保持している人との接触によって広がっていく感染方式です。性交渉等による感染はこの水平感染に含まれます。性交渉以外には次のようなケースが該当します。

覚せい剤や麻薬など、薬物注射時の注射針の使いまわし

ピアスの穴あけ、入れ墨用の針、医療現場での針刺し事故、鍼治療など

カミソリや歯ブラシなどの共有

特にHCVが混入していた血液製剤の使用による感染が、大きな社会問題となりました

HVB(B型肝炎の原因となるウイルス)と比較してHCVは感染力が弱いために、性交渉等等や体液を通じて感染することは少ないといわれています。また、現在では血液製剤の管理体制が十分整備されたことにより、輸血や輸入血液製剤が感染の原因となることはほとんどないといえるでしょう。

女性がHCVに感染した状態で妊娠した、もしくは妊娠している女性がHCVに感染すると、出産時に赤ちゃんにHCVにも感染することがあります。出産時の産道からの出血が原因で、これを母子感染と呼びます。母子感染が起こる可能性は約10%といわれていますが、3歳までに約3割が治るといわれています。

HCVは空気や飲食などを介した状態では感染しません。血液や体液を介して、HCVは感染します。このことからも、HCVは日常生活のなかで感染する危険性はほぼないといえるでしょう。

しかし、もしC型肝炎と診断された場合、輸血による感染を防ぐためにも献血は行わないでください。また、自身の血液がついたものはよく洗い流すか、むき出しにならないよう何かにくるんで捨てるなどの配慮が必要となります。このとき、できるだけ自分で処理するようにしましょう。やむを得ず他人に処理してもらうときには、血液や分泌物がつかないように注意しましょう。血液が付着している可能背があるため、カミソリや歯ブラシなどの日用品も他人との貸し借りは避けましょう。 歯科な病院で治療をおこなう際には、事前に医師にC型肝炎であることを告げてください。

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