いーがたかんえん

E型肝炎

最終更新日:
2023年02月24日
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2023/02/24
更新しました
2017/04/25
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概要

E型肝炎とは、E型肝炎ウイルス(HEV)に感染することで起こる一過性の急性肝炎です。

主な感染経路は糞口感染(経口感染)で、衛生環境が整っていない国や地域では感染者が排泄した便に含まれるウイルスに汚染された水や食べ物を摂取することで感染します。それに対して、日本を含む衛生環境が整備された国や地域ではウイルスに感染した動物(ブタ、イノシシ、シカなど)の肉や内臓を、生や加熱不十分な状態で摂取することによって感染します。

ウイルス性肝炎にはA~Eの5つの型が存在しますが、E型肝炎ではこのように動物由来の感染もあり、5つの型の中で唯一、「人獣共通感染症」と呼ばれています。日本での患者の届出件数は年間500例前後です(2021年12月時点)。中高年男性に多いですが、各年代でみられ、女性も発症します。

感染すると2~9週間(平均6週間)の潜伏期間を経て、発熱や全身倦怠感、黄疸(おうだん)(皮膚や粘膜が黄色くなる)などの症状が現れます。通常、感染は一過性で、安静臥床や補液などによる対症療法で2~6週間程度で回復しますが、まれに劇症肝炎という重篤な病態に移行することもあります。また、臓器移植後や血液疾患で化学療法を受けている患者さんでは慢性化することもあります。

原因

E型肝炎の主な感染経路は糞口感染(経口感染)です。衛生環境が整っていない国や地域では、A型肝炎と同じように感染者が排泄した糞便に含まれるウイルスに汚染された水や食べ物を摂取することで感染が起こっています。一方、HEVはブタ、イノシシ、シカなどの動物にも感染しており、日本を含む衛生環境が整備された国や地域ではこれら動物の肉や内臓を生や加熱不十分な状態で摂取することによって感染が起こっています。

また、輸血による感染もあることから、日本では輸血用血液でのHEVの検査が行われ、陰性のものだけが輸血に使用されています。そのほか、妊婦から胎児への垂直感染も報告されています。

症状

HEVに感染した後、2~9週間(平均6週間)の潜伏期間を経て、発熱や全身倦怠感、吐き気・嘔吐、腹痛、食欲不振、黄疸、尿の色が濃くなる、便が白くなるなどの症状が出現します。ただし、若年者では無症状あるいは症状が出ても非常に軽い症状で経過することが多いことがほとんどです。

予後は良好で、通常2~6週間程度で回復し、慢性化することはほとんどありません。しかし、臓器移植後や血液疾患治療中などの免疫不全状態で感染すると、慢性化しやすいため注意が必要です。また、まれに劇症肝炎という重篤な状態に移行すると命に関わることもあります。

E型肝炎の特徴として、妊婦が妊娠後期に感染した場合に劇症化しやすく、流産や死亡のリスクが高くなります。妊娠後期における死亡率は20~25%と報告されています。

検査・診断

E型肝炎は血液検査で診断がつきます。HEVに感染すると、肝細胞が壊れて肝障害が起こり、また体内ではウイルスを排除するために抗体というタンパク質が作られます。また、肝臓の炎症に伴って肝細胞が破壊され、酵素の一種であるASTとALTが血液中に出てきます。そのため、血液検査ではAST、ALT値など肝機能の値で肝炎の状態を把握するとともに、保険適用になっている抗体(IgA型HEV抗体)の検査を行い、陽性であることを確認してE型肝炎と診断します。

免疫不全状態では抗体が産生されにくいため、血液中や糞便中のE型肝炎ウイルスの遺伝子(HEV-RNA)を検出するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法検査が推奨されますが、現時点では保険適用にはなっていません。

治療

E型肝炎は通常、一過性感染で一般に予後はよいため、症状を軽減するための安静臥床と補液などの対症療法が主体となります。通常2~6週間程度で回復します。劇症化した場合には命に関わることもあり、血漿交換や人工肝補助療法が行われたり、肝臓移植が検討されたりします。

予防

衛生環境が整備されていない国や地域に渡航中の場合は、HEVに汚染されている可能性のある水や氷、野菜、肉、魚介類などを非加熱あるいは加熱が不十分な状態で摂取しないことが重要です。ミネラルウォーターや沸騰させた水を飲むようにし、しっかりと加熱調理してある食品を選びましょう。東南アジアなどでは果物はカットフルーツとして売られていますが、洗った水が汚染されていてフルーツにウイルスが付着していることもあるため、丸ごと購入して自分でむいて食べるほうが安全です。

一方、国内を含め、衛生環境が整っている国や地域においては、ブタやイノシシ、シカなどの動物の肉や内臓にHEVが存在し、感染する恐れがありますので、これら動物の肉や内臓を摂取する際には十分に火を通しましょう。また生レバーは食べないようにしましょう。近年ジビエ食がブームですが、これらも十分に加熱して食べるようにしましょう。

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