ふぉん・びぃれぶらんどびょう

フォン・ヴィレブランド病

同義語
フォンウィルブランド病
最終更新日:
2021年09月17日
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2021/09/17
更新しました
2017/04/25
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概要

フォン・ヴィレブランド病とは、フォン・ヴィレブランド因子と呼ばれる血液を固めるのに必要な血液中のたんぱく質の量的・質的異常によって出血が止まりにくくなる、ほとんどが遺伝性の病気です。

フォン・ヴィレブランド因子の欠乏の程度に応じて、 量が少ない 1 型、機能・質に異常のある 2 型、完全に欠損している 3 型 に大きく分けられます。2型はさらに2A、2B、2M、2Nの4つの型に分類されます。割合としては1型が全体の70%程度、2型が25%程度、3型が5%程度を占めます。特に1型の人は日常の症状としては軽いことが多いため、未診断の患者が多くいます。2型や3型は重症の出血をきたしやすいといわれています。

フォン・ヴィレブランド病は、未診断の患者を含めるともっとも患者数が多い遺伝性出血性疾患であると報告されています。国内における診断患者数では血友病に次いで2番目に多い遺伝性出血性疾患であり、公益財団法人エイズ予防財団が実施した全国調査によると、1,438人(男性:637人、女性:801人、 2020年5月31日時点)で年々診断患者数は増加しています。

原因

フォン・ヴィレブランド病は、止血に重要な役割を果たすフォン・ヴィレブランド因子が生まれつき不足したり、正常にはたらかなくなったりすることが原因です。

血管が傷ついたときには、血液に含まれる血小板が損傷した血管壁に蓋をするように粘着し、傷口が塞がることで出血が止まります。

フォン・ヴィレブランド因子は血管内皮細胞で作られて血液中に放出され、血小板が血管壁に粘着するのを促しています。そのため、フォン・ヴィレブランド因子が不足あるいは正常にはたらかなくなると、血小板が血管壁に粘着しにくくなり、通常よりも出血が長引いてしまうのです。

フォン・ヴィレブランド病は生まれつきの病気ですが、まれに基礎疾患に伴って発症することがあります。これを後天性フォン・ヴィレブランド病といい、原因となる基礎疾患には自己免疫疾患、心血管疾患、リンパ増殖性疾患、骨髄増殖性疾患、がん甲状腺機能低下症など多岐にわたります。

症状

フォン・ヴィレブランド病では、生まれつき出血が止まりにくい、出血しやすいなどの出血傾向がみられます。具体的にはあざができやすい、鼻血がなかなか止まらない、切り傷や抜歯、手術後に過度に出血するなどの症状をきたし、女性では過多月経(経血量が多い)や不正出血、出産時の異常出血が生じることがあります。

このような粘膜出血や皮下出血が中心ですが、2型と3型では出血傾向が重度であることが多く、3型を中心に関節、筋肉内出血といった深部出血がみられることもあります。

出血の程度が重い場合には早い段階で気付かれやすいですが、頻度がもっとも高い1型は日常の症状が軽いことも多いため診断されていないケースが多数あるといわれています。

検査・診断

多くの場合、フォン・ヴィレブランド病は親から子に遺伝するため、家族歴や症状から本病を疑い、血液検査によって診断されます。

血液検査では、血漿中のフォン・ヴィレブランド因子の抗原量や活性、第VIII因子の量・活性などを測定し、これらの結果から病気の有無や型が判明します。

治療

フォン・ヴィレブランド病では、止血に必要なフォン・ヴィレブランド因子の放出を促す、または不足を補うことを目的として薬物療法が行われます。

使用される主な薬剤はフォン・ヴィレブランド因子の放出を促す酢酸デスモプレシン製剤と、フォン・ヴィレブランド因子の不足を補うフォン・ヴィレブランド因子製剤で、出血を抑え止血しやすくします。フォン・ヴィレブランド因子製剤には、フォン・ヴィレブランド因子のみの製剤と第VIII因子を含む製剤があります。一般的に1型に対してはデスモプレシンが使用され、静脈内注射で投与します。2型のうち2A型、2M型、2N型にもデスモプレシンが有効な場合もありますが、2B型には禁忌となっています。

3型に対してや、1型2型でも多量の出血が予想される手術、重症の出血時にはフォン・ヴィレブランド因子製剤の投与が行われます。また、鼻血や歯茎からの出血、抜歯時には抗線溶薬のトラネキサム酸などの内服が有効です。

女性のフォン・ヴィレブランド病患者で過多月経の症状がある場合には、出血を止める作用のあるトラネキサム酸や女性ホルモンが含有されたホルモン剤などを用いた薬物療法も併せて行われます。

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フォン・ヴィレブランド病を得意な領域としている医師

  • 医療法人財団 荻窪病院 血液凝固科 医員

    • 血友病
      • 日本において製造販売承認を取得している全ての治療薬を使用可能
      • 関節超音波検査を含む関節評価
      • 凝固因子製剤の薬物動態試験(MyPKFit®およびWappsHemoを使用)
      • 包括医療チーム(関節外科、専従臨床心理士、専従看護師、専従ソーシャルワーカー)
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      • 周術期管理