DOCTOR’S
STORIES
患者さんと決めた治療のゴールを見据えて、納得していただける治療を目指す村瀬 真理子先生のストーリー
記憶を紐解き、まず思い浮かぶ幼い頃の自分といえば、本を読むことが好きだったということです。そういえば、作家を夢みていたこともありました。今思えば、ずいぶんと医療の世界とは遠いところにいたなと思います。
医師になるために医学部に進むことを決めたのは、高校生活も半ばを過ぎた頃。もともと具体的な夢があったわけではなく、ただ、資格のある仕事ができればいいなというふうには考えていました。医師になることを決めたきっかけは、年の近い従兄弟が医学部に合格したこと。それまでも、理系の仕事に就くことは選択肢にありましたが、これをきっかけに医師という職業を考えたとき、自分にとってやりがいがあるだけでなく、人の役にも立てるというところに非常に魅力を感じたのです。従兄弟のことがきっかけではありますが、それこそが医学部に進むことを決めたきっかけでした。
中学生のときには卓球、高校生のときにはバドミントン、横浜市立大学の医学部時代には、バスケットボールをやっていました。ちなみに、医学部のバスケットボール部への入部理由は、その雰囲気が自分に合っていたから。未経験かどうかは、あまり気になりませんでした。
2年生のときには東日本医科学生総合体育大会でベスト4に入り、全日本医科学生体育大会王座決定戦に出場したこともありました。ほかにも、3年生のときには、北海道で開催された東日本医科学生総合体育大会に出場したのですが、学生でお金がなかったため、皆でカーフェリーに乗って北海道に向かったことがありました。そのときの結果はあまり記憶にないのですが、大会が終わった後に皆で北海道内を旅行したことがとても楽しい思い出として残っています。
大学時代の4年間、バスケットボールを通して仲間たちと苦楽を共にしたことで、チームプレーの楽しさを知ると同時に、自己を追求するつらさも学ぶことができました。この学生時代に得た経験は、大切な思い出として残っているだけでなく、医師人生においても頑張る糧になっています。
私が婦人科を選択したのは、治療の最初に行うカウンセリングから患者さんごとに定めた治療の最後まで関わることができ、患者さんと治療に励むなかで、患者さんごとの治療のゴールに向かって尽力できる診療科だからです。そして、手術が終わった後の治療においても、患者さんの状態のコントロールや患者さんごとに適した治療の選択などの内科的な分野の治療まで、診療科として幅広いことも大きな魅力だと思うからです。
私は、医師になってすぐの頃、外科と婦人科で迷っていました。自分にはどの診療科があっているのかを考えたとき、患者さんと長期間にわたり向き合っていくなかで、治療としての結果、要するに患者さんに納得していただける治療を提供することがとてもやりがいになるのではないかと感じたのです。外科医として手術を行い、術後に病状が落ち着いた患者さんは別の病院でフォローを行うことが多いように思いますが、婦人科医は手術後も管理を行うことができます。そして、患者さんの求めるゴールを目指して、私たちも力を尽くすことができると思えたことも婦人科を目指した理由だと思います。
また、特に生殖医療は新しい分野ということもあり、自分で考えて治療の工夫をする余地があると思っています。本来であれば目にすることのない生命現象の過程を見ることもできますし、大げさかもしれませんが、生命現象に関わる今まで分からなかったことが科学的に解明できる要素を多分に秘めています。それは、患者さんの治療につなげることもできると信じています。
自分で考えて治療を組み立てられる医師になってほしい。これは、私が今まで医師として経験を積んできたうえで、これからの医療を担う先生方に対して思うことです。そして、積極的に情報を吸収するということを意識しながら、患者さん一人ひとりと向き合ってほしいとも思います。
教科書的な治療を学んでおくことはもちろん大事ですし、それが全ての基準になってくることでしょう。しかし、そのなかでも患者さんの状態を見て「こうだからこうしたほうがよい」というように、状況を理論づけて、治療をするときに応用して考えられることが大切だと思うのです。後輩の先生方を見守る立場となった今、今までに学んだ知識や経験を生かし、道を広げてあげられるように努めていきたいと思っています。
患者さんのゴールはどこにあるのか、最終的に患者さんの求めることは何なのか。同じ状況、そして同じ治療をしていても、患者さんによって受け取り方は違いますし、求めているものも違います。
特に、不妊治療には選択肢の幅がある。だからこそ、患者さんとのコミュニケーションを積極的に取り、患者さんごとに異なるゴールを一緒に探していきたい。その過程には、私たち医師からすると受けたほうがいいと思う治療であっても、なかには「やりたくない」という気持ちを示される患者さんもいるでしょう。その患者さんに対しては、もちろん無理にすすめることはできません。しかし、なぜやりたくないのかを聞くことはできますし、もしかすると話を聞くことで私たちに解決できることかもしれません。
そのように、共にゴールを目指していくなかで、患者さんの思いをくみ取れることはくみ取り、そして解決できることは解決する。共にゴールを探し、最終的に納得していただける治療につなげる。それこそが、医師として心がけることであり、これからも追い求めていく理想像でもあると思っています。
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横浜市立大学附属市民総合医療センター
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 泌尿器科部長・准教授、田園都市レディースクリニック 臨時職員
湯村 寧 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 准教授・整形外科部長
小林 直実 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター ペインクリニック 診療教授
北原 雅樹 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター
竹島 徹平 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 泌尿器・腎移植科 助教
高本 大路 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 心臓血管センター循環器内科 准教授
日比 潔 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 副病院長、消化器病センター 外科 教授
國崎 主税 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 脳神経外科 部長
坂田 勝巳 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター 内視鏡部 准教授
平澤 欣吾 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 脳神経外科
間中 浩 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 生殖医療センター 女性不妊 講師
葉山 智工 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 腎臓・高血圧内科 部長
平和 伸仁 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター 診療教授
沼田 和司 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 小児総合医療センター 部長
志賀 健太郎 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 診療講師
中村 大志 先生
横浜市立大学市民総合医療センター 生殖医療センター/泌尿器科
黒田 晋之介 先生
横浜市立大学付属市民総合医療センター 小児総合医療センター 助教
稲葉 彩 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科 助教
廣冨 浩一 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 病院長
榊原 秀也 先生
横浜市立大学 小児科学教室(発生成育小児医療学)
増澤 祐子 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 指導診療医
松村 壮史 先生
横浜市立大学 救急医学教室、横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター長
竹内 一郎 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 総合周産期母子医療センター
花木 麻衣 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター 助教
森 浩介 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科助教
大石 隆幸 先生
横浜市立大学附属市民総合医療センター 助教
沼沢 慶太 先生
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