神奈川県小田原市に位置する医療法人社団 綾和会 間中病院は、1906年に開設して以来、100年以上、地域に密着した医療を提供し続けてきました。日本脳神経外科学会の専門医であり、日本頭痛学会専門医・指導医でもある名誉院長 間中先生が担当する頭痛外来には、頭痛に悩む患者さんが全国から訪れています。また、入院治療を終えた患者さんが早く自宅に戻れるよう回復期リハビリテーションや在宅医療サービスにも力を入れています。
同院の取り組みや、これからめざす同院のありかたについて、医療法人社団 綾和会 間中病院 名誉院長 間中 信也先生にお話を伺いました。
当院は1906年に外科病院として開設されました。外科、脳神経外科を備えた急性期病院から、一般内科、消化器科、整形外科を増やし、時代の変化に合わせて病院機能を拡充してきました。そして、高齢化が進む地域のニーズに応えるため、2016年に回復期リハビリテーション病棟45床を開設、2017年に地域包括ケア病棟20床を開設しました。当院は2次救急指定病院のため、入院治療を必要とする救急患者さんのための一般病床も25床あります。現在は、「早く自宅に帰りたい」「自宅で医療を受け続けたい」という患者さんの思いを受け止め、訪問診療をはじめとする在宅医療サービスにも力を入れています。
地域のみなさまが必要とされている医療が何かを常に考え、地域にとって必要な新しい医療サービスを創る地域密着型病院として、日々努力しています。
当院は、急性期リハビリテーション、回復期リハビリテーション、そして地域包括ケア病床におけるリハビリテーションと3種類のリハビリテーションを実施し、患者さんの状態に適したリハビリ体制を築いています。
<間中病院が提供する3種類のリハビリテーション>
怪我や病気を治療しながら、再発予防や身体機能低下の予防を目的として、早期からリハビリテーションを実施しています。手術を受けた後に寝たきりになると、筋力の低下や骨粗しょう症、持久力の低下、認知機能の低下が生じるといわれています。寝たきりを防ぐため、患者さんの状態を確認しながら、適切なリハビリテーションを実施しています。
急性期治療を受けたあとの患者さんに対して、日常生活動作の向上を目的として、自宅での生活を想定したリハビリテーションを実施しています。治療を受けてからなるべく早く、365日体制で集中的にリハビリテーションを行うことにより、短い期間での身体機能の向上および退院をめざしています。
急性期治療を受けたあとの患者さんが、ご自宅や施設などでの療養に不安があったり、もう少し入院治療を受けるとより回復が見込まれたりする場合に、長期リハビリテーションや在宅への復帰支援を実施しています。
当院のリハビリテーションの特徴としては、患者さん一人ひとりに合わせたリハビリ計画をチームで立てていることです。一人の患者さんに対して、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士など、多職種の専門家がチームとなって連携し、リハビリテーションの内容や治療方針、食事の内容について検討・実践をしています。週に1回は院内ラウンドとよばれる病棟内の巡回を実施し、それぞれの専門家が意見を出し合い、患者さんの一日でも早い在宅復帰をめざしています。
また、小田原城や海の近くであるという恵まれた立地環境を活かして、小田原城近辺や海水浴ができる御幸の浜を、入院患者さんがリハビリスタッフと一緒に散歩するという形式のリハビリを行っています。
リハビリテーションは適切な器具を使って室内で行うことも大切ですが、外に出て街の音や景色、潮や木々の匂いなど、さまざまなものから五感に刺激を受けることも大切だと考えています。当院ならではの散歩形式のリハビリは、「次は家族と散歩に来よう」、「次はもっと先まで歩いてみよう」といった患者さんの意欲向上に、とても役立っています。
「自宅で医療を受けたい」という患者さんのニーズに応えるため、2017年4月から訪問診療を開始しました。訪問診療とは、通院が困難な患者さんのもとに医師が定期的に診療に伺い、計画的に治療・看護・健康管理などを行うことです。訪問診療を受けている患者さんに急な容態の変化があったときは、夜間や休日も担当医師に連絡が取れるよう、24時間365日対応できる体制を整えています。また、入院が必要になった場合は、当院への入院が可能です。そのほかにも、訪問看護ステーション「アイリス訪問看護ステーション」や、居宅介護支援事業所「アイリスケアマネージメント」を併設しており、患者さんが退院後もスムーズに生活できるよう、病院全体で支援しています。
当院は、急な病気やケガの治療を実施する急性期医療から、在宅復帰をめざす回復期リハビリテーション、そして在宅患者さんに対する訪問診療と、切れ目のない医療の提供が可能です。
頭痛が起きる原因はさまざまですが、その頭痛の原因がなんであるか、命に危険がある重篤な頭痛なのかどうかを、しっかり見極めることが大切です。私が当院で脳神経外科の医師として診療を開始した1993年以来、頭痛の診察・診療を専門的に行う頭痛外来を設置し、頭痛に悩む患者さんの診療に携わってきました。1996年からは「頭痛大学」というインターネットのサイトを開設し、頭痛の種類、予防法、鎮痛法および対処法など、頭痛にまつわるさまざまな情報を発信しています。また、頭痛を専門的に診れる医師の育成にも力を入れています。
近年では、子どもの頭痛も問題になっています。頭痛の頻度が高いと学校や授業を休みがちになり、先生から怠けているとみられてしまい、ますます学校に行きづらくなるという頭痛が原因の悪循環で不登校に陥る子どももいるようです。そのような頭痛で悩んでいる子どもたちを救うため、地域の学校の養護教諭や担任の先生に対して頭痛の啓発パンフレットを配り、子どもの頭痛への理解を深めてもらう取り組みをしています。当院の近隣にある小学校から高校まで、このパンフレットを配布しています。このような取り組みを通じて、近隣の学校の頭痛による不登校をなくしたいと思っています。これからも積極的な啓発活動を行ってまいります。
ご高齢の方が健康的で自立した生活を長く送ることをめざす取り組みとして、当院では「フレイル外来」を設置しました。フレイルとは、加齢にともない、ふらつく、めまいがする、だるい、何をするのもおっくうに感じるといった不調が出てきた状態のことをいいます。体の不調だけではなく、認知機能の低下やうつなどの精神心理的な不調、貧困や独り暮らしなど社会的問題も、フレイルに含まれます。「なんだか調子が悪いんだけど、どこの病院に行けばいいかわからない」と困っていらっしゃる患者さんを診察するのが、当院のフレイル外来です。
当院のフレイル外来の医師は、患者さんの話をよく聞きます。一人の患者さんに30分以上の時間をかけることもよくあります。患者さんに安心していただき、患者さん一人ひとりに合った治療を提案し、フレイルの進行を防ぎます。そして、一人でも多くの方が、健康的で自立した生活を長く送っていただけるよう、支援していきます。
当院が将来的にめざす理想的な病院のありかたとは、「一丸となってまちづくりに貢献する」病院であることです。これを、MANAKA Vision(マナカビジョン)と掲げ、職員全員が常に意識して自分の仕事に取り組んでいます。
このMANAKA Vision(マナカビジョン)の実現のため、次の3点を重点医療サービスと位置づけています。
<3つの重点医療サービス>
これらは当院が急性期医療から回復期リハビリテーションや訪問診療まで実施している病院であるからこそできる医療サービスです。このサービスをより充実させ、患者さんに安心していただける品質を維持できるよう、職員全員が一丸となって努力します。
当院は、100年以上にわたり、地域のみなさまのニーズを敏感にとらえ、そのニーズにお応えする医療を提供してきました。これからは、患者さんにとって最高の医療サービスが受けられる病院となれるよう、近隣の医療機関とも積極的に連携していきます。また、急性期医療治療を終えた患者さんが、できる限り早い段階からリハビリテーションを受けられるよう、当院以外の急性期病院とも積極的に連携していきます。
これからも、当院は地域のみなさまのニーズに合った新しい医療サービスを創り出し、まちづくりに貢献する病院をめざしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
社団綾和会間中病院 名誉院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。