藤沢市で救急医療やがん診療に力を入れている藤沢市民病院は2018年7月に新たな病院建物が竣工しました。同院は救急医療とがん診療を診療における2つの柱としていますが、全ての診療科のスタッフが地域医療を支えるために努力を重ねていると、常田先生は強く実感されています。同院について、院長の常田康夫先生にお話を伺いました。
藤沢市民病院は2018年7月にグランドオープンし、新築された病棟ともに新たなスタートを切りました。元々は1971年10月に開院しており、建物の老朽化や医療機器の充実を目的に新築いたしました。また、救急医療に力を入れており、2003年に小児救急医療拠点病院に指定され、2006年には救命救急センターを開設、地域の救急医療の充実に努めています。さらに、当院の近隣には救急医療に力を入れている医療機関が複数あり、協力しながらも互いに切磋琢磨し、地域の救急医療を支えています。
グランドオープンにともない、利便性や療養環境の改善ができました。利便性の面では、駐車場を増設することで、お車で来院された患者さんやご家族がスムーズに駐車できるようになっています。また、元々当院の敷地外にあったバス停を病院玄関前に移設したことにより、公共交通機関でお越しの皆さまもバス停から長く歩くことなく来院することが可能になりました。
療養環境も一つひとつの病床を広くすることで、広々とした空間の中で気を使うことが少なく、療養に専念できると思います。
現在の藤沢市民病院は診療において、2つの柱を立てています。1つ目が救急医療の充実、2つ目ががん診療です。2つの診療を柱としていますが、全ての診療科が専門分野で力を発揮して診療を行っています。
救急医療では、小児と成人の救急のどちらも積極的に受け入れています。どちらの科も1次から3次救急まで幅広く対応していますが、トリアージをしっかりと行って、より重症の患者さんを中心に救急医療を行っています。救急医療においては、救急科のスタッフと本院の診療科のスタッフとの連携が不可欠です。
当院の2つの柱の1つである救急医療は、救急科のスタッフとそれに対応できる専門科の医師たちの協力があるからこそ、地域の救急医療を支えることができるのだと強く思います。
救急患者さんに幅広く対応するために、当院では循環器当直と脳神経当直をそれぞれ独立して実施しています。循環器当直は、循環器内科か心臓血管外科の医師が毎日当直を行っている体制です。そのため、急性心筋梗塞や急性大動脈解離など、緊急を要する患者さんにいち早く対応することができるようになっています。
また、脳神経当直では脳神経外科と神経内科の医師が24時間対応可能な体制を整えることで急性脳梗塞などの脳血管障害などに素早く対応することができます。
院内の当直体制を整えることで、迅速な治療を提供することを可能にしています。
がん診療では、リニアックによる放射線治療をはじめ、臓器別の診療科での手術治療や外来化学療法室での抗がん剤治療を院内で行える体制を整えています。外来化学療法室は、建物の新築にともない部屋を広くし、機能充実に努めています。また、外来化学療法室には専従の医師や薬剤師を配置しているので、患者さんの体調や副作用などを考慮して抗がん剤調製や支持療法薬の追加にも柔軟に対応することができます。
さらに、今年新たに乳腺外科を開設したことで、乳がんの治療をより充実させることができました。近年は乳がんの患者さんの増加が著しく、よりよい乳がん治療を受けたいと考えている方々も多くいます。近隣の市には乳がんの治療を得意としている医療機関もありますが、当院は市民病院として地域の皆さまのニーズに応えていくことが使命のひとつだと考えています。
市民の方々に藤沢市民病院にかかりたい、と思っていただけるような病院にしなくてはならないと考えています。当院は市民病院です。市民病院として、患者さんに寄り添った優しい医療の提供はもちろん、それぞれのスタッフが得意分野で十分に力を発揮して診療にあたることで、より高度でかつ安全な医療の提供につなげたいと思います。そのためには、スタッフの充実や今後の医療を担う若手医師の育成が重要です。
当院はスタッフ全員が努力し、地域医療を支えるために研鑽を積んでいます。また、全国から応募してくる研修医を受け入れて、今後の医療を担う若手医師の教育にも力を入れています。中には、初期研修を当院で行い、更に引き続き当院で後期研修を行う医師や大学での研究に従事した後にまた藤沢市民病院に戻ってくる医師も多くいます。
当院はかかりつけ医からの紹介予約制をとっており、病状が安定した患者さんはかかりつけ医に逆紹介することを原則としております。そのため、かかりつけ医では対応が難しい病状や、高度な検査機器、手術治療が必要だと考えられる患者さんが多く紹介されてきます。医師としての経験を積む機会も多く、たくさんのことを学ぶことができると思います。
地域の方々に選んでいただける病院になるためには、研修医がまたこの病院に戻ってきたいと思える病院であることも重要になってきます。地域の皆さまに選ばれ、今後の医療を担う若手医師にも戻ってきたいと思ってもらえる病院になれるように尽力していきます。
当院が再整備として工事などを行っていた際には、近隣の皆さまや患者さんにご不便をおかけしてしまいました。皆さまのご支援のもと、2018年7月にグランドオープンを迎え、病院建物の新築や診療の充実だけでなく利便性も大幅に向上しました。
地域の皆さまには、ぜひお住いの近くにかかりつけ医を持っていただき、何か気になる症状があったら、まずかかりつけ医に相談してほしいと思います。当院での治療が必要な際には、かかりつけ医からご紹介いただき、治療が一段落したらかかりつけ医に逆紹介をすることを原則としています。また、中にはまだ退院後の自宅復帰に不安が残る方もいると思います。そういった場合でも適切な医療機関にご紹介できるように地域連携を強化していますので、ご安心してください。
診療では救急医療とがん診療を2つの柱としていますが、実際には全ての診療科のスタッフがとても努力しています。地域の方々に信頼され、かかりたいと思う病院になっていくように、スタッフ一同今まで以上に努力を重ねてまいります。
藤沢市民病院 前院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。