鳥取県立中央病院は鳥取県鳥取市に位置し、鳥取県東部と兵庫県北部の医療を担っています。同院は「住民の命を守ること」を使命と考え、さまざまな医療提供を行っています。また、2018年12月には新病棟を建設し、地域へのさらなる貢献を目指しています。
院長である池口正英先生にお話を伺いました。
当院は救命救急センターを有しています。鳥取県東部地域、兵庫県北部の救急医療体制を支える病院のひとつとして、心筋梗塞・脳卒中などの緊急治療を要する患者さんに24時間対応しています。
当院の救急医療体制は、患者さんの症状によって患者さんの切り分けを行うトリアージ型救急を導入しています。トリアージを行う医師と各診療科の医師が協力して治療に当たっています。今後は、全ての救急患者さんに対して総合内科の医師が初期診断を行い各診療科に引き継ぐ、ER型救急システムの確立を目指しています。
ER型救急システムを導入した救急医療体制によって、地域医療にさらに貢献したいと考えています。現在、当院ではER型救急システムの確立に向け、日本内科学会認定の総合内科専門医の育成に努めています。
当院は、がん診療連携拠点病院として、地域の方に向けてがん治療とがんに関する情報の提供に努めています。
当院では、消化器内科、消化器外科、呼吸器内科、呼吸器外科などが連携し、がん治療を行っています。消化器外科と呼吸器外科では、可能な限り患者さんの体への負担が少ない内視鏡手術に取り組んでいます。
患者支援センターでは、がん患者さんやご家族の方を対象に、ご相談やがんに関する情報提供をしています。がんのご相談には、日本看護協会認定のがん看護専門看護師、日本看護協会認定の緩和ケア看護師、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士が応じます。これにより、患者さんのお悩みに適したスタッフが相談に対応できる体制を整えています。
周産期母子センターでは、産婦人科を中心に小児科、小児外科、眼科など各診療科がチームを組んで妊娠・出産をサポートしています。当院は2007年に、合併症がある妊婦さんや高齢の妊婦さんなどの出産にも対応できる地域周産期母子センターの指定を受けました。
地域周産期母子センターは、NICU(Neonatal Intensive Care Unit:新生児集中治療室)とMFICU(Maternal-Fetal Intensive Care Unit:母体胎児集中治療室)を有しています。これら治療室の整備により、24時間体制での治療や管理を要する赤ちゃんや、妊娠高血圧症候群などの妊婦さんにも対応できる施設となっています。
昨今、少子化が深刻な社会問題になっています。この問題を打開するためには、出産・子育てに対して協力的な社会づくりが重要です。当院は、安心して子どもを産み育てていく環境整備に、医療提供を通して貢献してまいります。
当院はDMATを組織し、災害現場での医療提供に努めています。DMATとは、災害の急性期にあたる48時間以内に、被災地で医療提供を行うチームです。DMATは、医師・看護師・事務員で構成され、鳥取県内外で活動しています。2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震では、当院のDMATが現地で医療提供を行いました。
災害時の医療提供では、一刻を争う状況下で的確な判断力が求められます。そこで、鳥取県内の医療機関が有するDMATと合同で、災害時に備えた救急医療の講義や実践訓練の研修を定期的に行っています。これにより、災害時の医療体制の整備・チーム力向上を目指しています。
当院は、病院機能の充実を目的として、2018年12月に新病棟を竣工いたしました。新病棟は、災害拠点病院としての機能拡充にも注力しています。1階には多目的ホールを備え、地域の方が災害時に避難場所に使用できます。
また、新病棟の屋上には防災ヘリやドクターヘリが着陸可能なヘリポートを設置しています。これにより、救急搬送された患者さんを手術室まで速やかに搬送できる導線を確立しました。
当院では、研修医を積極的に受け入れています。当院に入職した研修医は、先輩医師や同期に囲まれながら、研修医室で技術と知識の切磋琢磨をしています。研修医室では、研修医同士で治療や病気について問題点・疑問点を共有し、積極的な意見交換が行われています。研修医同士では解決できない疑問点は、指導医師に依頼し、朝にレクチャー会を開き指導を受けるという学びの場を設けています。
研修医の皆さんには、「栄養サポートチーム」や「嚥下・口腔サポートチーム」などのチームに所属してもらいます。これにより、研修医もチームの一員として、さまざまな経験や知識を持つ医師や専門職から学んでもらいます。
チーム医療に興味を持ち、自主的に学ぶ姿勢を持つ研修医の皆さんは、ぜひ当院にいらしてください。
当院は、地域の皆さんの命を守ることを使命と考え、救急医療・がん治療・周産期医療・災害医療を中心に幅広い医療提供に励んでいます。今後は、新病棟開設に伴い、さらに病院機能の拡充に取り組んでいきます。
地域の皆さんに信頼される病院であれるよう、職員一同、研鑽に努めてまいります。
鳥取県立中央病院 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。