院長インタビュー

札幌東徳洲会病院

札幌東徳洲会病院
太田 智之 先生

医療法人徳洲会 札幌東徳洲会病院 総長・消化器センター長

太田 智之 先生

この記事の最終更新は2017年09月27日です。

医療法人 徳洲会 札幌東徳洲会病院は、1986年に開院して以来、札幌市東区・北区を中心とする地域の急性期病院として、地域のみなさまの健康な暮らしを守ってきました。また近年、札幌市には外国人観光客が非常に多く訪れております。同院では国際医療支援室を設け、観光中に急に体調を崩された外国人観光客の患者さんを積極的に受け入れています。

人口約200万人の札幌市の拠点病院として急性期医療を中心に予防・在宅医療まで幅広くその役割を担っている同院の取り組みについて、院長の太田智之先生にお話を伺いました。

当院は、札幌市の東区・北区を中心に、人口約200万人の拠点病院として急性期医療を担っています。救急搬送の場合、札幌市全体はもとより石狩市、当別町などの近隣市町村からも患者さんを受け入れています。年間約9,600台の救急車を受け入れ、20,000名近い救急患者さんの診療をしております。北海道では随一であり、全国でも有数の規模を誇ります。

当院が属する徳洲会グループは『生命(いのち)だけは平等だ』の理念の下、「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会」を目指し、職員一同努力を続けています。徳洲会の医療の原点である救急医療は、当院のもっとも力を入れている分野であり、これからも精力的に取り組んでいきます。

また、当院の研究分野を担う「臨床試験センター医学研究所」は、道内の民間病院としてははじめて文部科学省指定研究機関として認められました。現在、再生医療分野・がんの診断および治療に対するさまざまな研究が行われています。各種先進医療や治療が困難な疾患に対する医療技術を開発・提供していくことで、当院の医療の質を高めていきます。また、若手の医師や病院職員に対して基礎医学研究の重要性を広め、地域社会ならびに医学教育と研究に貢献していきます。

当院の一番の特徴は、年間9,600件を超える道内一の救急車搬送台数です。札幌には3次救急に対応する医療機関が5つあります。当院が2次救急医療機関でありながら、道内一の搬送台数を誇っているのは、他施設で対応困難な症例や、他地区では三次救急に選定されるような症例、重症ではないが複数科にまたがる場合などに的確に対応し、信頼を得てきたためです。当院が札幌市救急医療の「最後の砦」となって以来、救急車が複数医療機関において受け入れ困難である事例が札幌では発生していません。これは、当院の誇りです。

ハイブリッド手術室を含む9室の手術室はフル稼働しています。2階の循環器センターに備えた3台の最新式アンギオグラフィは、通常の心臓カテーテル検査はもちろん、経皮的冠動脈形成術、アブレーションなどを安全に行う体制ができています。2017年3月に、ハイブリッド手術にて行うTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)の実施施設認定を受けました。TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)により、これまで手術を諦めていたご高齢の患者さんや合併症をお持ちの高リスクな患者さんに対しても、治療が可能になりました。

当院は、2013年に放射線診断科・治療科を開設し、がん治療の3つの柱のひとつである放射線治療を開始しました。これまでに実施していた外科的な手術療法や抗がん剤を用いた化学療法とともに、さらに質の高いがん治療が、当院ですべて可能になりました。2014年には全身を一度に撮影でき、精密ながん検診を可能にするPET-CTを導入し、がんの早期発見・早期治療を目指しています。

2012年に設立した臨床試験センター医学研究所では、すい臓がんの早期診断に役立つ仕組みの研究や、放射線診断科とともに局所治療である凍結治療の研究も進めています。

札幌市は外国人観光客が年々増加しております。2016年の外国人宿泊者数は200万人を超え、5年連続で増加し続けています。そのような状況のなかで、急病やケガなどで札幌市内の医療機関を受診する外国人観光客の数も年々増加しています。

当院は、2013年4月に国際医療支援室を開設し、旅行中に当院を受診される外国人観光客の方や、日本の医療や人間ドックなどの健診を希望して来日される患者さんが不安なく受診できるような体制を整備しています。同室には英語、ロシア、中国語、スペイン語、ポルトガル語、韓国語を話せるスタッフが常駐し、他部署のスタッフも含めて院内全体で10言語に対応しています。また、たとえばイスラム教徒の方が1日5回の礼拝が滞りなく行えるよう礼拝室を院内に設置するなど、国籍も宗教も異なる外国人患者さんの精神的サポートができるよう努力しています。現在、毎月約100名以上の患者さんが来院されています。さっぽろ雪まつりの時期は150名を超える外国人患者さんがいらっしゃいました。

当院は、2015年9月に厚生労働省による外国人患者受入れ医療機関認証制度「JMIP」の認証を取得しました。また、日本医療教育財団による外国人患者受入れ拠点病院の認証も取得しています。このような実績が認められ、2016年10月には、札幌市と「外国人患者の受入に関する協定」を締結しました。これからも、外国人患者さんがいつでも安心して当院を受診できるよう、体制を強化してまいります。

 

当院は、患者さんの安全の徹底・医療の質の向上を目指し、JCI(Joint Commission International)認証を2015年12月に取得しました。

JCIとは、患者さんの安全性が担保されているか、高品質な医療が提供されているかなど、院内に継続した改善活動が行われる仕組みを有しているかを評価する認証機関であり、世界中でもっとも厳しい基準をもつ医療施設評価機構とされています。

さらに、この認定は3年ごとに審査が行われ、継続的に改善活動を行わなければなりません。しかし、自分たちの視点だけで病院を評価していくことには限界があります。世界でもっとも厳しい基準を持つ認証機構の評価を受けることにより、当院に来院される患者さんやご家族の方へ、安心・安全で質の高い医療を継続的に提供できることを目指し、職員一同努力してまいります。

 

当院の病床数は325床です。年間救急車の搬送台数が9,600台を超えていることに対し、この病床数は決して多くはありません。そのため、病床稼働率は97%から98%とほぼ満床状態です。このような状態に対し、当院で救急治療を受け、病態が落ち着いた患者さんがその後の治療をほかの病院で受けられるよう、地域の医療機関との連携を進めています。さらに徳洲会グループの関連施設である介護老人保健施設徳洲苑なえぼや、グループホーム徳洲苑なえぼ、介護老人保健施設徳洲苑なえぼ介護センターなどとも協力し、地域に暮らす方々が住み慣れた場所で安心して生活できるよう、医療サービスの向上を図ります。

また、医療費自己負担額が年々高騰している現在では、病気になる前の段階で予防することが重要です。当院は、地域のみなさまの健康維持や予防医療の一環として、医療にまつわるお話をさせていただく医療公開講座を、ほぼ毎日東区・北区・当院の各会場にて開催しています。町内会・各種サークル・企業および学校からご依頼いただき、出張講演も行なっています。講演料は不要ですので、お気軽にお問い合せください。

 

当院は『命だけは平等だ』という当院の理念を体現し、これからも多くの命を救うべく、救急医療体制を充実させていきます。また、今後ますます増えていくと予想されるがん患者さんのために、当院ですべてのがん治療ができるよう、先端医療の研究および実践や体制の強化に取り組んでまいります。

さらに、医療の安全とともに質の高い医療の実践を達成・維持できるよう、職員一同努めます。

地域のみなさまが、健康で安心して日常生活を送ることができるように、私たちは医療の分野で今できることを最大限考え、地域に貢献してまいります。

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