長野県茅野市に位置する諏訪中央病院は、地域の皆さんが必要とする医療サービスを提供し、患者さんとそのご家族を救うために診療に尽力してきました。同院のスローガンは“あたたかな急性期病院”です。患者さんを見放さないという信念の下、診療に手を尽くすとともに、常に優しく患者さんに接する姿勢を大切にしています。
1986年に現在の場所に新築移転した後は、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟を開設し、よりいっそう、地域のニーズに応える医療を展開してきました。今回は、院長の吉澤 徹先生に、諏訪中央病院の診療体制の特徴や取り組みについて、お話を伺いました。
当院は、1950年に開設されました。その後、1986年に現在当院が位置する長野県茅野市玉川へ移転し、建物を新築しました。この移転以降、地域の皆さんが必要とする医療サービスを提供できるよう、各種病棟や医療機器、人員などを拡大してきました。
現在、当院は、一般急性期病棟のみならず、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟、緩和ケア病棟などを備えています。さらに、救急総合診療センターや在宅・地域ケアセンターなどを備え、あらゆる状態の患者さんを受け入れることができる体制を築いています(2020年3月時点)。
当院は、“あたたかな急性期病院”をスローガンに掲げています。緊急の治療を必要とする患者さんを救うことができる体制を築きながら、優しくあたたかな姿勢で患者さんに接するよう努めています。また、患者さんやご家族を決して見放すことなく、できる限り手を尽くすよう心がけています。
当院が特に力を入れている部門のひとつが総合診療科です。地域の皆さんから頼っていただける病院として、幅広い患者さんを診ることができる総合診療医の存在は欠かせません。総合診療科では、患者さんのお話を伺ったり、検査を行ったりした後、必要に応じてほかの診療科の医師と連携しながら治療を行っています。また、当院の総合診療科では、学生や研修医など若手医師の教育にも力を入れています。
当院の循環器内科では、24時間365日、患者さんを受け入れる体制を整えています。虚血性心疾患や不整脈、心不全など、幅広い循環器疾患の患者さんに対応しており、急性期から慢性期の患者さんまで受け入れが可能です。さらに、多職種や他施設と連携しながら慢性心不全の通院・在宅治療などにも取り組んでいます。
当院では、東洋医学科を開設し、現代医学を取り入れた鍼灸などの漢方治療を実践しています。日本東洋医学会が認定する漢方専門医が2名在籍しており、西洋医学的な治療アプローチだけではなかなか改善しない場合などに、さまざまな漢方治療を行っています(2020年3月時点)。
当院の救急総合診療センターは、救急部と総合診療科・内科初診外来の機能を統合し、設立されました。24時間365日、ウォークインも救急車も全て、できる限り断らずに受け入れることをモットーに、診療に尽力しています。
また、当院の屋上にはヘリポートがあり、ドクターヘリによる患者さんの受け入れを行ったり、さらに高度な医療が必要となった場合に近隣大学などへの搬送を行ったりしています。
当院では、患者さんがご自宅に戻られることを見据え、リハビリテーションにも積極的に取り組んでいます。また、在宅医療にも力を入れています。介護保険が開始する2000年以前の1984年より、デイケアや在宅支援に取り組んできた知見を生かして、在宅・地域ケアセンターを中心として、地域の医療機関や介護サービス施設とも連携しながら、自宅での生活を希望される患者さんへのサポートを行っています。急変時などにはすぐ入院できる体制を整えながら、患者さんとご家族が安心して療養生活を送ることができるよう努めています。
当院の産婦人科は数年前、常勤医の人員不足によってお産に対応することができず、閉科せざるを得ない状況になりました。しかし、「地域の中核病院として妊娠・出産・育児に対する支援を途切れさせたくない」という助産師たちの希望から“院内助産院”としてお産の受け入れを続けることになりました。現在も1人の常勤医とともに院内助産院として地域を支えています(2023年11月時点)。
母体や生まれてくる赤ちゃんの命に危険があるハイリスク妊娠であると判断した場合には、近隣の医療機関と連携することで、妊娠の経過に対応できるよう体制を構築しています。
院内助産院として地域を支えていくなかで「地域の子育てや産前・産後のコミュニティをもっと活発化したい」という意見が助産師から挙がりました。そこで、院内助産院で産前産後ケアや育児支援の場を作るべく、2023年の12月からクラウドファンディングを始めました(2023年12月4日〜2024年1月31日)*。現在は空いている会議室を転々としながら産前産後ケアを提供していますが、クラウドファンディングによる資金をもとに院内施設を改修し、マタニティヨガや両親学級などを行っていきたいと考えています。
*諏訪中央病院ホームページ 病院からのお知らせ http://www.suwachuo.jp/info/2023/12/post-198.php
当院では、定期的に院内勉強会を開催し、地域の皆さんの健康リテラシー向上にも力を注いでいます。身近な健康の話題から気になる病気の詳しい知識まで、さまざまなテーマを取り扱うこのようなイベントは、毎回ご好評をいただいています。
診療以外の場で患者さんとコミュニケーションを取ることができるチャンスは、私たちにとって非常に貴重です。直接ご指摘やご要望をいただくことによって、病院の改善につながることもあります。当院では、今後もこのような機会を積極的に設け、よりよい医療サービスの提供に邁進していきたいと思っています。
当院は、地域の皆さんによるさまざまなボランティア活動によって支えられています。たとえば、当院にある庭園の手入れをしてくれているのは、“グリーン・ボランティア”と呼ばれる地域のボランティアの方たちです。これらは、地域の皆さんのご厚意で運営されており、さまざまな場面で患者さんたちをサポートしてくれています。
当院では、若手医師の育成にも力を入れています。たとえば、臨床実習の段階から、学生もチーム医療の一員として積極的に診療に参加してもらう体制を形成しています。総合診療の教育機関としても機能しており、総合診療専門研修プログラムを行っています。
また、当院には、若手医師のチャレンジを応援する風土があります。院内での診療のみならず、在宅ケアへの参加など、さまざまな経験を積んでいただける環境を用意しています。
当院の医師は、診療とともに臨床研究にも力を入れており、さまざまな診療科の医師が学会で研究発表を行っています。最近は、循環器内科や腎臓・糖尿病内科、整形外科の医師らが毎年のように国際学会でも発表を行っております。このように、診療のみならず、研究にも従事することができる環境は、診療と研究のどちらも希望される方にとって、適した環境といえるでしょう。
当院は、若手の皆さんの力を必要としています。経験が浅く未熟な部分があったとしても、若いパワーは病院をよりよいものにしていくエネルギーになると考えているからです。
当院は“困っている人のことを、自分事として対応できる”スタッフを育てる土壌のある病院です。当院での経験は、よき医療者になるための土台を形成すると信じています。患者さんのために、診療や研究に尽力したい方の入職をお待ちしています。
当院のスローガンは“あたたかな急性期病院”です。どんな患者さんも見放さないことをモットーに、優しくあたたかな姿勢で、日々診療に取り組んでいます。また、急性期だけではなく、慢性期の患者さんのサポートにも注力しています。
地域の皆さんには、病院に対してさまざまなご意見を届けてほしいと思っています。よい点・悪い点、どんなことでも構いません。皆さんからのお声が、当院の医療、ひいてはこの地域の医療をよりよいものにしていくと信じています。今後も、地域とのつながりを何よりも大切に、“地域に開かれた病院”として、患者さん中心の医療サービスを提供するよう努めていきます。
諏訪中央病院 産婦人科・一般内科 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。