院長インタビュー

手厚いチーム医療で『あたたかい医療』を目指す三菱京都病院

手厚いチーム医療で『あたたかい医療』を目指す三菱京都病院
小野 晋司 先生

三菱京都病院 名誉病院長

小野 晋司 先生

目次
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この記事の最終更新は2019年12月13日です。

三菱京都病院は、1946年10月に三菱重工(現・三菱自動車)の企業病院として設立されました。設立当時から社員やその家族だけでなく、地域住民の皆さんの健康を守る病院として、急性期から慢性期まで幅広く対応し、「高度であたたかい医療」を追求してきました。

同院の特色ある診療科や、地域における連携体制、研修環境などについて、病院長の小野晋司先生にお話を伺いました。

当院では、心臓血管外科を擁し、急性期から回復期・維持期の循環器疾患に幅広く対応しています。循環器の中でも急性心筋梗塞や大動脈疾患など外科的治療も含めて超急性期~急性期治療を必要とする病気に対応できる病院であると自負しております。

現在は、ハイブリッド手術室の導入によって、造影検査をしながらの手術が可能になりました。さらに、外科治療などの急性期対応の一方で、心臓リハビリテーションなど、急性期の治療後のケアにも力を入れています。医師・看護師、理学療法士、薬剤師、臨床心理士、管理栄養士、臨床検査技師、事務職員からなる、多職種の心臓リハビリテーションチームを設置して、患者さん一人ひとりに適したリハビリテーションのプログラムを作成し、術後の予後改善や再発予防、早期の社会復帰を目指しております。

手術の様子
手術の様子
手術の様子
NICU

昨今の少子高齢化傾向によって、日本では1回1回の出産が貴重な機会となり、さらに高齢出産などの影響によるハイリスク分娩も増加しています。当院の周産期部門は京都府周産期医療ネットワークに参加しており、地域の周産期母子医療センターとして機能しています。認可を受けた新生児集中治療室(NICU)も保有しており、ハイリスク分娩を含めてさまざまな母子のニーズに応える周産期医療の提供を行なっています。今後は遺伝子検査なども取り入れて、より地域の皆さんのニーズに応えるように努力したいと考えております。

急性期病院として、がん診療は各専門診療科で対応してきましたが、臓器別に内科・外科が一つのセンターとして合同で診療を行うスタイルに移行してきました。さらに腫瘍内科、ついで緩和ケア内科を設置し、化学療法や緩和治療についてはがんの種類を問わず専門医が集約的に治療にあたる体制としました。2015年12月には独立した病棟として緩和ケア病棟を設立いたしました。「緩和ケア」とは、がんなどの病気によって起こる心身の辛さを和らげて、患者さん本人やそのご家族が自分らしく快適に生活を送ることができるようにするためのケアです。

当院では、医師や看護師を始め、薬剤師、臨床心理士、管理栄養士など、複数のスタッフがチームで患者さんのケアに当たり、がんに限らず腎不全心不全などの病気に対しても、病気のステージに囚われない柔軟な緩和ケアを提供しております。京都の地にふさわしく仏教系の臨床宗教師もチームに参加し、医療職だけでは対応できないスピリチュアルケアを提供しています。外来での対応、訪問看護も行なっているため、患者さん一人ひとりの生活スタイルに沿ったケアプランをご提案できます。

三菱京都病院 外観
三菱京都病院 外観

当院は診療科が24科を擁しながらも188床と比較的コンパクトな病院であるため、患者さんの置かれたさまざまな事情に柔軟に個別対応しやすい環境があります。設立当初は結核など慢性期疾患をメインに対応するベッド数40床の小病院でしたが、地域のニーズに応えて循環器部門・周産期部門の充実を図り、虚血性心疾患心臓弁膜症などを扱う心臓血管外科に代表されるような急性期医療から、出産、さらにがん心不全の緩和医療まで幅広くカバーできる病院となりました。地域住民の皆さんにとって身近でありながら専門的な医療を提供できる医療機関となっております。

また、オープンホスピタルや市民公開講座などのイベントを定期的に実施し、地域の皆さんが構えることなく当院のことを知っていただける機会を作っております。よりいっそう、地域に根ざし、地域住民の皆さんが安心できる医療を提供する「第2のかかりつけ医」となれるよう、今後も尽力していきたいと思っております。

当院の建物は2007年12月に全面建て替えが完了しました。建て替え後の病院は、全面免震構造、ヘリポートの設置で災害時にも対応可能となっており、オール電化によって火災リスクも低減しました。

また、フロアにはタイルカーペットを敷き詰めて転倒リスクを軽減し、地元、京都市立芸術大学の協力によるホスピタルアートの導入やフロアごとのカラーコーディネーションにも配慮し、患者さんやお見舞で来院される方たちが、安全に心地よく利用できる病院を目指しています。

各診療科や検査のブースは動線が分かりやすい配置になっており、さらに院内の要所要所にガイドするスタッフを立てることで、初めて来院する方でも迷わないような配慮を行なっております。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

当院は診療科が24、ベッド数が188床というコンパクトな病院です(2019年9月現在)。そのため、各診療科の垣根が低く、診療科を超えた連携が取りやすい環境にあります。各種の臨床チームや臨床委員会を通じて、多職種によるチーム医療を活発に行なっており、1人の患者さんに複数の医療スタッフで関わる、という取り組みを常に行なっています。

一方、ICU・CCUを8床、NICUを6床有し、高度急性期医療に対応するほか、緩和ケア病棟を14床、さらに心疾患リハビリ室や透析センターも設置(2019年9月現在)しており、高度急性期から回復期・慢性期医療まで幅広く専門的な症例を経験することができます。専門医としての経験を確実に積みながら、総合的な診療の見方も身につけることが可能です。専門が細分化されていく中で、総合的に患者さんを診る力は、臨床医として必要とされる資質です。当院は、専門性とともに総合的な力を持つ医師を育てることのできる研修機関だと自負しております。

当院の看護部門では、より専門的で質の高い看護を提供するために、認定看護師の育成、そのほかの資格取得を支援しています。新人の教育体制も充実しており、日本看護協会作成のクリニカルラダーを元に、当院独自の講義やシミュレーション教育で、新人看護師が安心して働ける、そして技術を身につけられる環境作りに励んでおります。

従来の「師長–主任–プリセプター–新人」といった教育スタッフが固定化されたプリセプター制度による教育システムでは、プリセプター以外のスタッフが新人に関わる機会が少なく、指導担当スタッフの負担が大きくなりがちでしたが、当院ではスタッフ全員が新人の教育に関わり、チーム全体で育てる体制を採用しています。この方式では、複数のプリセプターのほかにメンターが付き、基礎的な看護技術を育てるとともに、精神的なフォローまで丁寧に行ない、病院全体の看護力の向上に励んでいます。

当院は企業病院として始まりましたが、設立以来、地域の皆さんの協力の元で運営を続けてきました。今後も、地域の皆さんが求める医療のニーズを丁寧にすくい上げていき、地域に必要とされる「第2のかかりつけ」病院となれるよう、努力していく所存です。

当院は各診療科間あるいは医師とメディカルスタッフの間の垣根が低く、スタッフ同士でコミュニケーションを取りやすい、風通しのよい職場であると自負しております。また、地域にあるクリニックとの連携も活発に行なっており、多様な病期・病態の症例を継続性をもって経験することができる臨床現場でもあります。地域社会の高齢化に伴い、患者さん一人に多様な病気が内包されているケースが増加しており、医師もメディカルスタッフも、総合的な視点を持って診療に当たる姿勢が必要とされてきています。当院はそのような能力を獲得する場にふさわしい環境です。高度な専門性を持ちながら幅広い視野を持った医療従事者を目指したい、という方を歓迎します。

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