乳首がかゆい:医師が考える原因と対処法|症状辞典

乳首がかゆい

受診の目安

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翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 目に見える傷、腫れ、出血、浸出液などの症状がある
  • かゆみがよくならず、続いている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 生理前に起こり、生理が始まるとよくなっていく
  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

[医師監修] メディカルノート編集部

乳首は左右の乳房のほぼ中心部に、乳輪に囲まれて存在しています。乳首や乳輪にはアポクリン汗腺が分布しており、多くの皮脂が分泌されます。また、下着や衣類などで通気性が妨げられ、細菌が繁殖しやすい部位でもあります。このため、乳首は皮膚トラブルを起こしやすい部位であり、かゆみが生じるものがあります。

  • 乳首や乳輪にかゆみのある湿疹がある
  • 乳首が赤く腫れ、痛みも伴う
  • 授乳中ではないのに、乳首から液体が分泌される

これらの症状が生じる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。乳首のかゆみを引き起こす病気や病院受診の目安、日常生活での注意点を詳しく解説します。

乳首のかゆみは何らかの病気が原因となっていることがあります。乳首のかゆみは、乳首自体の病気と乳首にかゆみを生じやすい皮膚の病気に分けられますが、それぞれの主な病気は以下の通りです。

乳首は皮脂の分泌量が多く、乳首を乾燥から守る重要なはたらきを担っています。一方、通気性が悪く、アポクリン汗腺からタンパク質や脂質を含んだ汗が分泌されるため、細菌感染なども起こしやすく、かゆみを引き起こしやすい部位でもあります。

かゆみの原因となる乳首の病気には、以下のようなものが挙げられます。

乳頭炎

乳首に細菌感染などが生じることで炎症を引き起こす病気です。乳首は皮脂によって保護されていますが、皮脂の分泌量が減少すると下着の擦れや汗、乳汁などの些細な刺激でダメージを受けやすくなり、炎症を引き起こすことがあります。

多くは、乳首に湿疹やびらんなどの病変を伴い、細菌感染が悪化すると痛みや発赤、腫れなどの症状が見られることもあります。

乳房パジェット病

中高年女性に発症することのある乳がんの一種で、乳首や乳輪に紅斑やびらん、かさぶたなどの病変を形成します。一般的な乳がんのようにしこりは形成せず、皮膚や粘膜病変が主体となるため、悪性の病気と気づかれずに発見・治療が遅れるケースもあります。

通常、乳首のかゆみを伴うことは少ないですが、病変部の乾燥や細菌感染などを併発するとかゆみを引き起こすことがあります。

進行乳がん

乳腺の中にできた乳がんが、乳管を通して乳首まで浸潤し、びらんや湿疹などの病変を形成することがあります。かゆみを伴うことは少ないですが、乳房パジェット病と同じく、病変部の乾燥や細菌感染などが生じるとかゆみの原因になることがあります。

また、血性の分泌物が乳首から排出されることもあり、これが刺激になってかゆみを引き起こす場合もあります。

乳がん
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乳首は、皮膚が薄くデリケートな部位であるため、さまざまな皮膚の病気によって何らかの症状が現れやすい部位です。

乳首のかゆみを引き起こす病気には、以下のものが挙げられます。

接触性皮膚炎

一般的に、かぶれとよばれる病気で、下着などの繊維が肌に合わないとかゆみや湿疹を引き起こします。特に乳首は下着や衣類と直に接するため、それらの素材が肌に合わないと接触性皮膚炎を発症することがあります。

接触皮膚炎
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皮脂欠乏性湿疹

乳首からの皮脂分泌量が低下することによって生じる病気です。一般的に乾燥肌と呼ばれるもので、強いかゆみを生じ、湿疹を伴うこともあります。

真菌感染症

マラセチアやカンジダなどのカビの一種が乳首に感染する病気です。乳首は下着や衣類などによって通気性が悪くなりやすく、皮脂を多く含んだ汗や栄養豊富な乳汁が分泌されることでカビが繁殖しやすい環境にあります。

このため、マラセチアやカンジダなどのカビが増殖して炎症を引き起こし、かゆみの原因となることがあります。

乳首のかゆみは、乾燥や汗・下着の刺激などによって生じるケースが多く、見過ごされがちな症状のひとつです。しかし、乳首のかゆみは何らかの病気が原因のこともあり、中には乳がんが背景にある場合もあります。

思い当たる原因がないのに乳首のかゆみが続く場合や、乳首の湿疹や痛み、発赤がある場合、乳房にしこりがある場合や、乳首から液体成分の分泌がある場合には思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。

当てはまる場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。診療科は、乳首以外に病変がない場合は皮膚科、乳房にも病変がある場合は乳腺外科がよいでしょう。

また、受診の際は、かゆみがいつ頃から生じたのか、かゆみ以外の症状について明確に医師に伝えるようにしましょう。

日常生活上の習慣などが原因で乳首のかゆみが生じている場合があります。

乳首には多くの皮脂が分泌されていますが、皮脂の分泌量が低下して乾燥することでかゆみや湿疹を引き起こす皮脂欠乏性湿疹や細菌感染の原因となることがあります。

乾燥肌のときは

乳首が乾燥しているときには、保湿効果のあるクリームやオイルをこまめに塗って乾燥した状態を避けるようにしましょう。

肌に合わない下着や衣類を着用していると、接触性皮膚炎を引き起こす原因となることがあります。

下着や衣類が合わないときは

接触性皮膚炎は化学繊維によって生じやすいため、綿や絹など乳首に刺激を与えにくい素材の下着や衣類を選ぶようにしましょう。

乳首は1日の大半を下着や下着に遮られているため、通気性が悪く蒸れやすい部位です。蒸れは細菌や真菌が繁殖する原因にもなります。

乳首が蒸れやすいときは

乳首の蒸れが気になるときは、綿や絹など通気性の良い素材の下着や衣類を選ぶようにしましょう。また、女性ではサイズの合っていない小さなブラジャーを着用することが蒸れの原因になることもあるため、サイズの合った下着を身につけましょう。

乳首のかゆみは、日常生活上の習慣が原因の場合が多いです。しかし、生活習慣を改善してもかゆみが治まらない場合には、投薬治療が必要なケースもあります。また、乳がんなどの病気が潜んでいる可能性もありますので、早めに病院を受診するようにしましょう。