脇のしこり:医師が考える原因と対処法|症状辞典

脇のしこり

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

脇には神経や血管、リンパ節などの重要な器官が多く存在していますが、入浴時などに脇を触ってしこりが触れる場合は心配になることもあるでしょう。

  • 可動性があり、押すと痛みがあるしこりがある
  • たまたま脇を触ったら、いくつかのしこりに触れた
  • 自覚はないが、健康診断などでしこりを指摘された

このような症状が見られた場合に考えられる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。脇にしこりを形成する病気、病院受診の目安、日常生活の注意点を詳しく解説します。

脇のしこりの多くは、粉瘤やせつなどの皮膚の病気によるものです。これらは日常生活上の習慣が発症に関与していることもあります。主な原因と対処法は以下の通りです。

脇は、アポクリン汗腺から皮脂やタンパク質を多く含んだ汗が分泌されることに加え、通気性が悪く細菌が繁殖しやすい部位です。夏など汗をかきやすい時期は特に不衛生な状態になりがちなため、毛包に炎症を引き起こしてせつが形成される原因になることがあります。

脇が不衛生なときは

脇は毎日しっかり洗浄して、清潔な状態を維持するように心がけましょう。また、綿や絹など通気性がよく汗を吸収しやすい衣類を選び、脇の蒸れをできるかぎり抑えることも大切です。

デオドラントスプレーなどを過度に使用することで、毛穴が詰まり、炎症や細菌感染を引き起こし、毛包炎やせつを発症することがあります。

デオドラント対策をしたいときは

デオドラント製品はさまざまな種類のものが販売されていますが、スプレータイプやクリームタイプのものは毛穴詰まりを引き起こすことがあるため、過度な使用を避けるようにしましょう。

日常生活上の習慣を改善しても脇のしこりが増えたり、大きくなったりする場合には、何らかの病気の可能性がありますので、なるべく早めに病院を受診しましょう。

脇には首や体幹部と上肢をつなぐ神経や血管が多く走行しており、比較的大きなリンパ節である腋窩(えきか)リンパ節があります。また、脇の皮膚にはアポクリン汗腺が多く分布しており、脂質やタンパク質を多く含む汗を分泌しています。

これらの器官の病気が原因で脇にしこりが形成されることがあります。脇のしこりの原因となる病気には以下のようなものが挙げられます。

粉瘤(ふんりゅう)

粉瘤とは、表皮の下層に皮脂や垢などの老廃物を蓄えたのう胞(袋)が形成される病気です。毛穴の一部が内側にめくれて袋状になり、その中に老廃物が溜まることで発症します。

内容物が増えると粉瘤も大きくなります。炎症が生じると痛みを生じるようになり、のう胞内に(うみ)が溜まって、悪臭を伴うが毛穴から排出されることもあります。

粉瘤
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せつ

一般的にはおできと呼ばれるもので、毛包(もうほう)に細菌感染が生じることでが溜まったしこりを形成します。痛みや腫れを伴うことがあり、何らかの刺激によって潰れると悪臭を放つが流れ出てきます。

乳がん

乳がん腋窩(えきか)リンパ節への転移を生じることがあります。乳がんが転移した腋窩リンパ節は硬く腫大し、しこりとして体の表面から触れるようになります。周辺組織との癒着を生じやすいため、しこりは可動性がなく、ゴツゴツ・でこぼことした感触がある場合もあります。

乳がんでは、脇のしこり以外にも乳房のしこりや張り、乳頭からの血性分泌液などの症状がみられます。

乳がん
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脂肪腫

脂肪腫とは、皮下の軟部組織にできる良性腫瘍です。脇は脂肪腫ができやすい部位であり、体表から柔らかいしこりとして触れます。大きさはさまざまで、中には10cm以上に及ぶものもあります。

脂肪腫
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悪性リンパ腫

悪性リンパ腫とは、リンパ節にできるがんのことです。腋窩(えきか)リンパ節にも発生することがあり、固く可動性のないしこりとして触れます。通常、痛みは伴いませんが、全身症状として発熱や体重減少、寝汗などの症状が現れることがあります。

脇のしこりは、皮膚の病気やがんなど、さまざまな原因によって引き起こされます。痛みなど、ほかに気になる症状がなければ見過ごされがちな症状ですが、中には対処すべき病気が潜んでいることもあるので、早めに病院を受診するようにしましょう。

初診に適した診療科は皮膚科ですが、可動性のないしこりが触れる場合や、乳房にもしこりなどの症状がある場合には乳腺外科や内科への受診がよいでしょう。

受診の際には、しこりに気づいた時期、しこりの痛みや排などの有無、脇以外のしこりの有無や発熱など体調の変化を明確に医師に伝えるようにしましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 以前はなかったしこりを発見した
  • 発熱や体のだるさなどがある
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。