乳首が痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典

乳首が痛い

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  • 目に見える傷、腫れ、出血、浸出液などの症状がある
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  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない

[医師監修] メディカルノート編集部

乳首は乳房のほぼ中心部に位置し、乳房内の乳腺と繋がる乳管が開口する部位です。女性の場合、出産すると乳腺内で乳汁が生成され、乳管を通して乳首から排出されます。

乳首は授乳のためになくてはならないものですが、日常生活上の習慣や何らかの病気によって、さまざまなトラブルが生じやすい部位でもあり、痛みが生じることもあります。

  • 乳首に湿疹やびらん(ただれること)ができて痛みがある
  • 乳房の張りとともに乳首の痛みを感じる
  • 授乳期ではないのに乳首から液体が分泌され、痛みを感じる

このような症状が現われる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。乳首の痛みを引き起こす病気、病院受診の目安、日常生活の注意点を詳しく解説します。

乳首の痛みは日常生活上の習慣が関与している場合もありますが、乳首や乳房の病気、ホルモン分泌の変化が原因の場合もあります。

乳首の痛みを生じる病気には、それぞれ以下のようなものがあります。

乳首や乳房の病気によって乳首に痛みが生じることがありますが、主な原因は以下の通りです。

皮脂欠乏性湿疹

乳首は多くのアポクリン汗腺や皮脂腺が分布しているため、皮脂の分泌が盛んな部位です。乳首の皮膚は分泌された皮脂によって保護されていますが、皮脂の分泌が低下することによって乾燥が生じ、かゆみや痛みを伴う湿疹やびらん(ただれること)ができることがあります。

皮脂の欠乏による湿疹を皮脂欠乏性湿疹と呼び、一般的には乾燥肌といわれるものですが、乳首にも同様の湿疹やびらんができることがあります。また、皮脂の分泌量低下は乳首だけでなく、全身のさまざまな箇所で起こりうるため、ほかの部位にも湿疹病変を生じることもあります。

乳頭炎

乳首は下着や衣類によって蒸れやすく、さまざまな細菌やカンジダ・マラセチアといった皮膚に常在するカビが繁殖しやすくなります。これらが乳首の皮膚に感染を生じると、乳首に炎症を引き起こして痛みや発赤、腫れなどの症状が見られることがあります。

悪化すると毛包炎を合併したり、乳首の皮膚がただれて出血を生じたりすることもあります。

乳がん

乳がんは乳腺や乳管の中にできるがんですが、進行すると乳首に浸潤して、現時点(2019年1月時点)で治療を行っても治りにくい湿疹やびらんなどを引き起こし、痛みの原因となることがあります。このような状態になった乳がんでは、乳首から血性の液体が分泌されるのが特徴です。

また、特殊な乳がんのひとつである乳頭パジェット病は、乳房に病変を形成せず、乳首や乳輪の皮膚に湿疹やただれなどを生じ、痛みを引き起こすことがあります。

乳がん
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乳腺炎、乳腺症

乳腺に炎症が生じる病気です。乳腺が腫れるため、乳首内の乳管が引きつられて、張り詰めたような鋭い痛みを感じることがあります。

乳腺炎
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乳腺症
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ホルモン分泌の変化によって乳腺が発達し、乳管が引きつられて乳首に痛みが走ることがあります。このようなホルモン分泌の変化を生じる病気には以下のようなものがあります。

生理前・妊娠中・授乳中

乳腺は、女性ホルモンや乳汁分泌を促すプロラクチンなどのホルモンの作用によって発達します。このため、生理前や妊娠中など女性ホルモンの分泌量が増加するときや、プロラクチンが盛んにつくられる授乳期には乳房の張りとともに乳首の痛みを感じることがあります。

女性化乳房

女性ホルモンの分泌が増えることで、男性の乳房が発達する病気です。薬の副作用や糖尿病、肝機能障害など、さまざまな原因によって引き起こされます。

男性の乳房や乳管は発達していませんが、女性化乳房ではいずれも肥大することで、痛みを生じることがあります。

乳首の痛みは、下着や衣類の摩擦、汗の蒸れなどによって日常的によく生じる症状のひとつです。このため、乳首の痛みは見過ごされがちですが、中には乳がんなどの病気が原因の場合もあります。

乳首の痛みが長引く場合、乳首の皮膚病変がある場合、痛みや乳房の腫れ・しこりなどを伴う場合は、見過ごさずに病院を受診するようにしましょう。乳首の皮膚に異常がある場合は皮膚科、乳房にも何らかの症状がある場合や血性の分泌液がみられた場合は乳腺外科がよいでしょう。

受診の際は、どのような痛みなのか、痛みの誘因や痛みが生じた時期、そのほかの症状を明確に医師に伝えるようにしましょう。

日常生活上の原因が、乳首の痛みを引き起こしている場合があります。主な原因と対処法は以下の通りです。

乳首の皮膚は薄く、摩擦や蒸れによるダメージを受けやすい性質があります。サイズの合っていない下着や硬い素材の衣類などは乳首を傷つけることがあるので注意しましょう。

摩擦で乳首が痛いときは

綿や絹などやわらかく、乳首に刺激をあたえないような下着や衣類を選ぶようにしましょう。また、きつい下着や衣類は通気性が悪く、蒸れて細菌やカビが繁殖する原因になることがあるため、サイズの合ったものを着用しましょう。

乳首の乾燥は皮脂欠乏性湿疹の原因となり、痛みを引き起こすことがあります。悪化すると乳首の皮膚に亀裂が生じて出血することもあるので注意しましょう。

乳首が乾燥しているときは

入浴後などに保湿効果のあるクリームやオイルを使用して皮膚の乾燥を防ぐようにしましょう。また、過剰な洗浄も乾燥の原因となりますので、入浴時は強く擦らないようにしましょう。

乾燥に注意し、下着や衣類を変えても乳首の痛みが治まらない場合は何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。見過ごさず、なるべく早めに適した診療を受診するようにしましょう。