耳の下の腫れ:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典

耳の下の腫れ

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

耳の下の腫れがみられたとき、原因がわからず不安を感じる人も多いかもしれません。

  • 耳の下にニキビのようなものができて痛い
  • 熱が出て耳の下が腫れている
  • 全く痛くないけれど耳の下の腫れが続いている

このような症状が見られたとき、考えられる原因にはどのようなものがあるのでしょうか。

耳の下に腫れを感じたとき、以下のような病気が原因となって起こっている場合も多くあります。

リンパ節腫脹

リンパ節腫脹とは、リンパ節が炎症などによって腫れている状態です。リンパ節は、体内にある免疫器官のひとつで、細菌やウイルスなどを攻撃したり排除したりするはたらきを持っています。リンパ節は体のいたるところにありますが、耳の下にも大きなリンパ節が集まっています。

腫れ以外の症状はリンパ節腫脹を引き起こしている原因によって異なり、腫れ以外の症状が出ないこともあれば、痛みや発熱などが現れることもあります。

唾液腺腫脹

唾液腺とは唾液を作って分泌している器官で、耳の下や顎の周りに存在しています。唾液腺腫脹はこの唾液腺が炎症や腫瘍、唾液腺の中に石ができる唾石、自己免疫性疾患などで腫れる病気です。腫れが強いと痛みを感じることもあります。

急速に腫れた場合は炎症など、徐々に腫れてくる・ずっと腫れているなどの場合には腫瘍によるもの、繰り返し腫れる場合には唾石や自己免疫性疾患が原因となっていることが多いといわれています。

流行性耳下腺炎

流行性耳下腺炎は、いわゆるおたふく風邪のことです。3~10歳の子どもがよくかかる病気ですが、感染力が強く大人が感染することもあります。

主な症状は耳の下や顎まわりの腫れ・痛み、ものを飲み込んだときの痛み、発熱などです。片側にだけ症状が出ることもあれば、両側に症状が出ることもあります。

また流行性耳下腺炎の合併症として、難聴や精巣炎などが起こることもあるため注意が必要です。

唾液腺腫瘍

唾液腺腫瘍とは唾液を分泌する唾液腺にできる腫瘍で、代表的なものは耳下腺にできる耳下腺腫瘍と、顎下腺にできる顎下腺腫瘍です。唾液腺は全部で4つありますが、唾液腺腫瘍の8~9割は耳下腺と顎下腺にできるといわれています。

主な症状は、口の中や口の周り、耳の下、顎の下の腫れとしこりです。多くは良性であるとされていますが、中には悪性のものもあるため注意が必要です。

頚部嚢胞(けいぶのうほう

頚部嚢胞とは、首に嚢胞と呼ばれるぷよぷよとしたかたまりができる病気です。首の腫れが主な症状ですが、炎症や痛みが出ることもあります。

粉瘤(ふんりゅう

粉瘤は、何らかの原因で皮膚の下に袋状の構造物ができ、その中に垢などが溜まったものです。耳の下に限らず全身のどこにでもできます。

徐々に大きくなっていく特徴があり、普段は痛みを伴いません。しこりの中心部には黒い点がみられることがあり、圧迫すると中からは嫌な臭いのするどろどろとした白い物質が出てきます。細菌が侵入して炎症を起こすと赤くなり、痛みを伴うようになります。

腫れが長引く場合や、強い痛み、発熱などの症状がある場合には、早めに受診しましょう。痛みがないような場合にも、ずっと腫れが引かない場合や徐々に大きくなってきているような場合には一度受診しておくとよいでしょう。

受診先は主に耳鼻咽喉科で、疾患によっては他の科目が専門となることもあります。自分で何が原因であるのか特定するのは難しい場合もありますので、まずは耳鼻咽喉科への受診でよいでしょう。

医師に伝えたほうがよいポイントとしては、いつから耳の下が腫れているのか、腫れ以外にどんな症状があるかなどがあります。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 触ると痛みがある
  • 発熱、皮膚の表面の発疹(ほっしん)・赤みがある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。