耳の後ろのしこり:医師が考える原因と受診の目安|症状辞典
名古屋市立大学医学部付属 東部医療センター 特任教授・高次ウイルス感染症センター長
村上 信五 先生【監修】
あまり普段意識することのない耳の後ろですが、ふとしたときに、しこりを発見し不安になったことのある人もいるのではないでしょうか。
このような症状が見られた場合、どのような原因が考えられるでしょうか。
耳の後ろにできるしこりの原因として考えられる病気には、主に以下のようなものがあります。
リンパ節とはリンパ管の途中にある免疫器官で、リンパ液は細菌やウイルスなどを排除する役割を持っています。全身に存在しますが、耳や首の周りには多くリンパ節が存在しています。
このリンパ節が、細菌やウイルスなどによって炎症を起こした状態をリンパ節炎と呼びます。触れたり押さえたりすると痛みがあり、赤くなって熱を帯びたり発熱がみられたりすることもあります。
粉瘤とは、皮膚の下にできた袋の中に角質や皮脂がたまってできたものです。
徐々に大きくなっていく痛みのないしこりであることが特徴です。普段は痛みがありませんが、感染を起こすと急激に赤く腫れ、痛みを伴います。腫れが強くなると中に溜まったものが、白いドロドロした物質として出てくることもあります。
全身のどこにでもできる可能性がありますが、首周りや頭部はできやすい場所だといわれています。
脂肪腫は良性の腫瘍の一種で、脂肪組織からなるいわゆる「脂肪のかたまり」のようなものです。しこりの大きさは数mmから10cm以上とさまざまで、脂肪組織でできているので柔らかく、通常痛みなどはありません。脂肪腫自体は特別害のないものですが、中には悪性の場合があったり、放置することで大きくなり見た目上気になるなどの問題が生じたりすることもあります。
嚢胞とは、通常は存在しない場所に発生した、液体の入った袋状の構造物のことです。この嚢胞が首や耳の周りにもできることがあります。しこりは触ると柔らかいのが特徴で、炎症が起こると痛みを伴うことがあります。
耳の後ろのしこりがいつまでも消えない、大きくなっているように感じる、痛みを伴うなどの場合には一度受診しましょう。
原因によって大きく耳鼻咽喉科もしくは皮膚科・形成外科に専門科目が分かれますが、自分で選ぶことが難しい場合もあります。まずは早めの治療が必要な病気でないかどうかの判断のため、耳鼻咽喉科への受診がよいでしょう。
受診の際には、いつからしこりがあるのか、大きさや痛みはどうか、他の症状があればそれについてもまとめておき医師に伝えるようにするとよいでしょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。