耳の後ろが痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
新潟大学大学院医歯学総合研究科 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学分野 教授
堀井 新 先生【監修】
耳の後ろが痛いときは、耳自体に原因があるだけでなく、全身の病気が原因となっていることもあります。
このような症状が現れた時、原因としてどのようなことが考えられるでしょうか。
耳の後ろが痛むとき、主に以下のような病気の可能性があります。
リンパ節とは、リンパ液内の病原体などをろ過する器官です。体全体にあるものですが首の周辺にも多く存在します。細菌やウイルスなどの感染によって腫れて痛みをともない、ときには熱をもったりすることもあります。
流行性耳下腺炎とはいわゆるおたふくかぜで、両側もしくは片側の耳周辺の耳下腺と呼ばれる部分が腫れる病気です。耳下腺の腫れの他、発熱や物を噛むときに痛むなどの症状がみられ、耳下腺が腫れる前に頭痛や筋肉痛、倦怠感などがみられることもあります。
潜伏期間は2〜3週間ほどで、通常は1〜2週間で良くなりますが、感染力が強いため周囲で流行しているときは注意が必要です。
顎が痛い・口が開かない・顎を動かすと音がするの3つのうち1つ以上の症状があり、他の病気などの原因がないものが顎関節症です。原因はさまざまで、かみ合わせの悪さや歯ぎしりなどの癖、外傷、ストレスなどで顎の関節に強い力がかかると起こるといわれています。
代表的な症状以外にも、頭痛や肩こりなどの全身の痛みやめまい、耳鳴り、目の疲れなど顎以外の部位に副症状が現れることもあるようです。
後頭神経痛とは、頭の後ろから首の後ろにかけての神経に圧迫を受けることで起きる神経痛の一種です。首から後頭部、頭頂部、耳の後ろなどに痛みを生じるほか、違和感やしびれを感じることもあります。
原因は肩や首の筋肉に負担がかかる姿勢をとり続けることやストレスなどといわれています。
ヘルペスウイルスの一種である水痘・帯状疱疹ウイルスは1度目の感染ではみずぼうそうとして発症します。治った後も体内にウイルスがとどまり続け、加齢や過労などで体の免疫力が低下したときに帯状疱疹として現れることがあります。
体の左右どちらかに帯状に赤い斑点と小さい水ぶくれがあらわれ、ピリピリしたりチクチクしたりといった刺すような痛みを感じるのが典型的な症状です。全身どこでも起こる病気で、耳の周りにできることもあります。
痛みが強い場合や、発熱や水疱などその他の症状を伴う場合には早めの受診が必要です。また、痛みだけが続き気になる場合や、口が開けづらいなどの場合にも一度受診しましょう。
受診科目はまずは耳鼻咽喉科が良いでしょう。
受診の際は、いつ頃からどのあたりに痛みがあるのか、耳の後ろの痛み以外にも症状があればそれも合わせて伝えるようにするとよいでしょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。