【インタビュー】

生物学的製剤とは何か 関節リウマチなどに用いられる製剤

公開日 2016 年 02 月 03 日 | 更新日 2018 年 01 月 12 日

生物学的製剤とは何か 関節リウマチなどに用いられる製剤
守田 吉孝 先生

川崎医科大学 教授 川崎医科大学附属病院 リウマチ・膠原病科 部長

守田 吉孝 先生

医学が進歩した現在でも、治療が困難な病気は少なくありません。そのひとつに膠原病があります。膠原病とは「全身性自己免疫性疾患」とも呼ばれるもので、本来であれば体を病原体などから守るはずの免疫システムが誤作動を起こして、自分の体を攻撃するようになる病気です。最近ではこれらの働きを抑制する医薬品として、「生物学的製剤」が用いられるようになってきました。「生物学的製剤」とはどのような医薬品なのか、またどのような病気に用いられるのか、川崎医科大学 リウマチ・膠原病科教授の守田吉孝先生に解説していただきます。

生物学的製剤とはなにか

生物学的製剤とは化学的に合成した医薬品ではなく、生物が合成する物質(たんぱく質)を応用して作られた治療薬の総称です。これまでの研究から、関節リウマチでは「サイトカイン」という免疫に関わる物質が通常よりも増えて、関節に炎症を起こしていることがわかりました。

つまり、サイトカインの働きやサイトカイン自体を生産する細胞の働きを抑えられれば、関節リウマチをはじめとした免疫の誤動作によって起こる病気は、コントロールが可能になります。そこでバイオテクノロジーの進歩により、サイトカイン自体やサイトカインを生産する細胞の働きを抑える医薬品が開発されたのです。それが「生物学的製剤」です。

関節リウマチにおいては、8~9割の方で有効性が確認でき、その内の3~4割の方に著効(かなり有効なこと)が認められています。関節リウマチは病気が治ることはないものの、症状が起きない「寛解」という状態を維持できることがわかっています。また、寛解の状態が続けば、生物学的製剤を中止しても寛解を維持することができる方もいます。また、生物学的製剤の投与によって破壊された関節が修復されるケースがあることもわかっています。

生物学的製剤が対象となる病気について

関節リウマチと同様の原因で起こる他の疾患についても、生物学的製剤を使用できることがわかってきました。具体的には、以下のような病気があります。

  • 関節リウマチ
  • 強直性脊椎炎
  • 若年性特発性関節炎
  • 乾癬
  • ベーチェット病
  • クローン病
  • 潰瘍性大腸炎
  • ぶどう膜炎
  • 高安動脈炎
  • 巨細胞性動脈炎
  • 顕微鏡的多発血管炎
  • 多発血管炎性肉芽腫症

など

膠原病の生物学的製剤による治療

関節リウマチの治療において生物学的製剤はこれまでの抗リウマチ薬に比べ、関節破壊抑制効果が優れていることが知られています。従来の抗リウマチ薬でコントロールができない場合、できるだけ早期に生物学的製剤を使用して、関節の破壊が起きないようにする治療指針が国際的にも支持されています。ただし生物学的製剤は一般的に高価で、患者さんにとって経済的負担が高くなってしまうという課題を残しています。

また生物学的製剤の投与にあたっては、体の免疫に影響を与えるため、感染症が起きやすくなります。そのため、主治医のもとで経過観察を行いながら慎重に投与します。特に重症感染症であるニューモシスチス肺炎や細菌性肺炎、結核などの感染症には注意が必要です。発熱・咳・息苦しさなどの異常を確認したら、医師は直ちに胸部X線などの検査を行うことが望ましいといえます。

点滴注射製剤の場合は発熱・頭痛・発疹などが見られ、皮下注射製剤の場合は注射した部位の局所反応(発赤・腫脹など)がみられることがあります。医師はこれらの変化にも注意しながら経過観察を行います。

川崎医科大学 リウマチ・膠原病学 ウェブサイト

 

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