インタビュー

勤労者のストレス解消法―ストレス一日決算主義

勤労者のストレス解消法―ストレス一日決算主義
山本 晴義 先生

独立行政法人労働者健康福祉機構横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 兼 治療就労両立...

山本 晴義 先生

この記事の最終更新は2015年10月18日です。

横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義先生は著書「ストレス一日決算主義」(NHK出版、2005)の中で、その日のストレスはその日のうちに解消するというストレスマネジメントの実践を呼びかけています。今回は勤労者のためのストレス解消法やストレスとの付き合い方についてお話をうかがいました。

生物の活動サイクルは1日が基本になっています。ヒポクラテスは1日のうちに運動する時間・働く時間・休む時間・食事する時間を持つようにと言っています。私はこれに加えて会話・対話の時間を持つことを付け加えています。IT社会の現代だからこそ、人と人との対話がますます重要になっているからです。

多くの人は平日には働くことと睡眠中心の生活を送っています。ここに1日のうち15分でもいいから会話の時間、運動する時間を持ちましょうということを呼びかけています。運動をしている人は運動していない人に比べて、ストレス症状の訴えが少ないということは統計的にも明らかです。

私の運動習慣は40歳から始まりました。元々運動が得意でなく、球技が苦手な私でも、ひとりでできるランニングから始めて、100キロマラソンを完走するまでになりました。しかしスポーツは記録や勝敗にこだわるよりも楽しく続けることが大事です。私も今はウォーキングに切り替え、運動を続けています。

休日に遅くまで寝ていると生活のリズムが崩れ、休み明けが辛くなります。人間の身体は朝起きてから16時間ほど経つと眠くなるようになっています。早く起きて活動しているから早く眠れるのです。「早寝・早起き」ではなく、「早起き・早寝」であることを覚えておきましょう。

私は日常生活ですぐにできるストレス解消法を、できるだけたくさん持つことをおすすめしています。しかし、それだけでは十分とはいえません。「実践すること」が大切です。日頃から多趣味を公言している方でも、実際には実践できていない方が多いのです。たとえば、釣りがストレス解消法と言いながら、よく聞いてみると3年前からやっていないという方もおられました。

あなたの元気の素は何ですかと訊くと、家族の写真を取り出して「家族の笑顔です」と答えて下さった方がいました。単身赴任中のその方は3ヶ月前まで、月に一度週末に仙台に帰って家族と食事をするのが楽しみだったそうですが、仕事が忙しくこの3ヶ月家族と会っていないというのです。これでは元気に仕事をする活力も湧いてこないというものです。自費で月に一度、家族のもとに帰って一緒に食事をすることでまた1ヶ月元気に働けるのであれば、それは決してぜいたくなことではないはずです。自分自身の行動を少しずつ変えていくことが大切です。

最後に私のストレス解消法をご紹介します。

  • S:Sports(スポーツ:記録より楽しみ)
  • T:Travel & TV(旅行で自然とふれあい、テレビで韓流ドラマ)
  • R:Recreation & Rest(遊びと休養)
  • E:Eating & Entertainment(会食、エンターテインメント)
  • S:Singing, Sound & Speaking(歌って、音楽と会話を楽しむ)
  • S:Sleeping, Smile, SAKE &Spa(睡眠、笑顔、お酒と温泉)

いかがでしょうか。みなさんもぜひ、日常生活の中で実践できるストレス解消法をたくさん見つけてください。

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  • 独立行政法人労働者健康福祉機構横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 兼 治療就労両立支援部長

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