インタビュー

メンタルろうさいとは―インターネットを活用したメンタルヘルスケア

メンタルろうさいとは―インターネットを活用したメンタルヘルスケア
山本 晴義 先生

独立行政法人労働者健康福祉機構横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長 兼 治療就労両立支援部長

山本 晴義 先生

インターネットの普及によって、メンタルヘルスの相談窓口も多様化しています。勤労者のためのメンタルヘルスチェックシステム「メンタルろうさい」について、横浜労災病院 勤労者メンタルヘルスセンター長の山本晴義先生にお話をうかがいました。

メンタルろうさい(Mental-Rosai )とは

「メンタルろうさい」は、インターネットを用いた勤労者のためのメンタルヘルスチェックシステムです。米国の国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の職業性ストレスモデルを元に開発されています。利用希望者はメールで問い合わせをして、ログインIDとパスワードを取得します。
(問い合わせ先メールアドレス mental-rosai@yokohamah.rofuku.go.jp)

「メンタルろうさい」を利用することで、自分のストレス状態やストレス対処の特徴等を知り、 よりよくストレスに対処する方法についてアドバイスを得ることができます。

ストレスチェック制度との違い

ストレスチェック制度との大きな違いは、仕事のみならずプライベートに関する質問も含まれているところです。国が制度として実施する場合には、職場に関すること以外のプライベートに関する部分を質問として義務付けることは難しいのですが、医師の立場からみると労働者の健康を考える上で、仕事以外のストレスを無視することはできません。

NIOSHの職業性ストレスモデルより

 

 

夫婦間の問題・親の介護・子供の教育・経済的な問題など、仕事以外のストレス要因はかなり大きな比重を占めています。もちろんこれらの問題は労働安全法の範疇ではありませんし、プライバシーに関わることは職場では訊けません。しかし、面接の場であれば任意で話を聞くことは可能であり、臨床医としては仕事以外の要因は非常に重要であると考えます。そこで「メンタルろうさい」のセルフチェックにおいても、これらの項目を設けています。

また、緩衝要因として上司のサポートがあると、ストレスがあってもそれがブレーキとなって症状として現れにくいとされています。しかし、職場のストレスチェックではたとえ上司のサポートがないと感じていても、その通りには答えにくい方がいるでしょう。このような点でも、自分自身のためのセルフチェックとして、プライバシーが守られる中で行なうことに意味があります。

上記モデル図右側の「うつ自己評価尺度(CES-D)」についても、ストレスの高い方が医師の面接を受けることを後方からバックアップするという意味合いで組み込まれています。

事業所や医療現場での活用

「メンタルろうさい」でセルフチェックを行なうことで、本人が自覚していないストレス要因に気づくことができます。私自身、ライフスタイルに関するアドバイスとして「あなたはこの6ヶ月間に、職場と職場以外の両方において、大きなストレスとなりうる出来事を経験しています」という指摘を受けましたが、当初は思い当たることがありませんでした。しかし、よくよく考えてみると私は定年退職という人生の大きな転機を経験していたのです。

「メンタルろうさい」は勤労者だけでなく、経営者の皆さん、開業の先生方にもぜひ使っていただきたいと考えています。質問項目の中で「上司のサポート」に関する部分をスルーして使えるように設計しているのはそのためです。経営者の皆さんがご自身のストレスに気づき、大切な従業員の皆さんのメンタルヘルスに注意を向けるきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

また、医師が患者さんと面談する際にも、自分のストレスチェックの結果を示しながら患者さんと話をするといった活用法も期待しています。このほか「メンタルろうさい」の詳細については、下記のリンクからご覧いただき、ぜひ多くの方に活用していただきたいと考えます。

参考URL:「メンタルろうさい」手引書PDFファイルダウンロード