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公立相馬総合病院における「医学教育からの復興」の取り組み

公立相馬総合病院における「医学教育からの復興」の取り組み
井上 登美夫 先生

医療法人 沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院 先端医療センター センター長

井上 登美夫 先生

金田 寛之 先生

公立相馬総合病院 前院長

金田 寛之 先生

福島県相馬市は福島県浜通りに位置する人口36000人程度の都市です。仙台から車でおよそ1時間弱のところに位置しています。東日本大震災では津波による大きな被害を受け、458人が亡くなりました。

公立相馬総合病院は、240床、医師数20名で福島県相馬市の医療を支える地域で数少ない総合病院の一つです。東日本大震災のときには原発事故の影響を受け、一時は最前線の病院の一つとしても機能しました。

公立相馬総合病院の元々の病棟は耐震上問題があると言われており、東日本大震災の当日から工事が行われる予定でした。しかし、結果として工事は間に合わず、病棟は大きな被害を受けてしまいました。そんな中で、現在病棟がリニューアルされているところであり、少しずつ完成しつつあります。

新しくなった公立相馬総合病院

 

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人工透析室

 

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デジタル血管造影装置

 

このように、ハード面については徐々に充実しつつあります。ここから医療水準を向上させていくための課題は「ソフト面」における充実です。これはすなわち、充実しつつあるハード面をどう使いこなしていくかという点に他なりません。それに向けて大切なのが、医師の確保です。現状、公立相馬総合病院は常勤医師を確保するという視点でのアプローチを続けられていますが、そんな中で2012年9月に「基幹型臨床研修指定病院」の指定を受けました。

この指定により、研修医を受け入れることが可能になります。しかし、研修医は医学部における6年間の教育を終えて医師国家試験を合格したばかりの「新人選手」です。即戦力となる常勤医師を確保したい公立相馬総合病院の考えとは矛盾があるようにも思えます。

初の研修医は、横浜市立大学医学部の卒業生である福永久典先生でした。福永先生は2014年の4月から公立相馬総合病院に入職しました。もちろん、初めての研修医であり、教育プログラムがあるわけではありません。しかし、これを福永久典先生は「プログラムがなかったことがむしろ良かった」と話されます。

沖縄県立中部病院など有名病院のプログラムの良いところを取り出し、より良いものを作り上げていけることができると考えておられたからです。

また、通常、大都市の研修病院においては「整形外科」「内科」といったように科ごとに分かれています。しかし、公立相馬総合病院では診療科に垣根がなく、横断的な学びが可能になります。病院すべてが研修の場であり、さらに言えば地域のすべてが研修の場でもあります。また、除染作業員の診療所など相馬市ならではの最前線の医療も見ることができます。

大都市の研修病院にはないことを学ぶことができる環境だったのです。

ただし、地方でなければ学べないこともある一方で、大学病院などの最先端の病院でなければ学べないこともあります。公立相馬総合病院の教育体制としては、福島県立医科大学や横浜市立大学医学部などの施設と連携しながら、今後は相互に循環するモデルを作り上げていくことです。さまざまな施設や地域でさまざまなことを学ぶモデルを作り上げられるかもしれません。一つの施設にずっといて…という時代ではなくなることも考えられます。

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公立相馬総合病院院長の熊川宏美先生

 

公立相馬総合病院院長の熊川宏美先生のお言葉を借りれば、福永先生の存在は「黒船襲来」です。閉ざされていた公立相馬総合病院に新たな旋風を巻き起こしました。福永先生は英語の論文を含めて次々と公立相馬総合病院で起きていることをまとめ上げ、発表していきました。

外から見ると公立相馬総合病院は、実は英語の論文にも繋げられるような「宝の山」であったのかもしれません。しかし、意外と間近で見ていると気付かないものです。貴重な発表のリソースがあることにも気付かされたという良い循環が産まれ始めました。

このように、新たな血が入っていくことで、むしろ受け入れる側の公立相馬総合病院や地域全体に対してプラスになることもあります。

しかし、何より研修医が集まるとさまざまな人の流れができます。長期的にみると、この人の流れこそが最も価値のあることかもしれません。福永先生の入職をきっかけとして横浜市立大学医学部との連携が密になりつつあります。

今後の公立相馬総合病院が目指す道は「人を育てていくと共に、人を循環させていく」ことなのかもしれません。

 

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横浜市立大学医学部の教職員との連携会議
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