インタビュー

婦人科良性疾患で腹腔鏡下手術を受ける際の注意点について

婦人科良性疾患で腹腔鏡下手術を受ける際の注意点について
福原 正生 先生

福岡山王病院 副院長・産婦人科 部長

福原 正生 先生

この記事の最終更新は2016年02月11日です。

世界で初めて腹腔鏡下手術が行われたのは婦人科医師が行った胆のう摘出でした。産婦人科領域の腹腔鏡は、不妊症の診断や検査、手術をメインに発展してきました。福岡山王病院 産婦人科部長の福原正生先生に腹腔鏡下手術を受ける際の注意点についてお話を伺いました。

この20年で、婦人科疾患における手術療法は大きく変化しました。1990年代の半ばくらいまでは、子宮筋腫などをはじめとする子宮疾患に対しては、ほとんどの症例で開腹手術が行われていました。しかも子宮を温存する割合は非常に少なく、多くの女性たちが子宮全摘を余儀なくされていた時代でした。

からだに負担の少ない低侵襲な手術として腹腔鏡手術が普及したのは、ここ20年ほどのことで、世界で初めて腹腔鏡手術を行ったのは産婦人科の医師でした。外科領域では腹腔鏡下胆嚢摘出術などが行われましたが、産婦人科領域では不妊症の診断や検査、手術をメインとして発展しました。そのため、過去20年くらい腹腔鏡に取り組んでいる産婦人科の医師は不妊症関連でスタートしている方が多いと思います。そして、10年くらい前から、がんなどの領域でも内視鏡を取り入れた手術が行われるようになり、臨床的にも有益な術式として普及してきたのです。

腹腔鏡下手術というのは、患者さんにとっては、傷が小さく、術後の痛みも軽く、からだに負担の少ない低侵襲な術式ですが、行う側の医師にとっては高度な技術を必要とする手術です。以前、腹腔鏡手術での医療事故が泌尿器科領域で起こったことを記憶されている方もおられるかと思いますが、経験と技術の習得を十分に行っていなければ、危険を伴う場合もあるのです。

これら腹腔鏡下手術の安全性を担保するために、いち早く腹腔鏡に関する技術認定制度を取り入れたのが日本産科婦人科内視鏡学会なのです。社会情勢に応えるためにも必要であるとして、2002年に他科に先駆けて技術認定制度が導入されました。

この制度の目的は、「産婦人科領域における内視鏡手術に携わる医師の技術と知識を評価し、内視鏡手術を安全かつ円滑に施行する物を認定する(中略)」とされています。技術認定医になるためには、内視鏡手術を100例以上経験していることや、内視鏡に関する論文が規定数以上あるなど、かなり厳しい条件が定められています。

日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度・技術認定医の一覧(一般社団法人 日本産科婦人科内視鏡学会ウェブサイト)

福岡山王病院には、これらの技術認定を持つ医師が、私を含めて6名在籍しています。ひとつの病院にこれだけ技術認定医がいる病院は少ないと思います。

最近は、腹腔鏡下手術が普及して、どこの施設でも行えるようになりました。しかし、重要なことは、手術における安全性を担保するということです。とはいえ、患者さんご自身ではなかなか分からなかったり、医師にも聞けなかったりすることもあるかと思います。そんな時には、これらの制度をご参考にして、手術を受けられることをお勧めします。

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