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インタビュー

子どもの下痢への対処法 家庭で与える食事・水分のポイントとは

子どもの下痢への対処法 家庭で与える食事・水分のポイントとは
宮田 章子 先生

さいわいこどもクリニック 院長

宮田 章子 先生

子どもが下痢をしてしまったとき、多くの場合はご家庭で子どものケア(看護)をする必要があります。このとき大切なのは食事や水分の与え方ですが、制限をしすぎてしまうのは逆効果だといわれています。子どもが下痢をしてしまったとき家庭で行えるケアについて、さいわいこどもクリニック院長の宮田章子先生にお話しして頂きました。

基本的な考え方としては、脱水が解消されたら何を食べてもよいでしょう。

授乳中の子どもならば、経口補水液を飲ませて脱水の治療をしている最中でも母乳を与えて大丈夫です。むしろ母乳を併用したほうが、重症脱水になりにくいと考えられています。母乳を与える際は、一回量を少量にして、授乳の回数を増やします。

この根拠が示されている論文はかなり昔のものであり、現在十分な科学的根拠があるとはいいきれません。しかし、下痢の治療や栄養改善には母乳は一定の効果があるといえるでしょう。

ミルクを与える場合、濃度を薄める必要はありません。薄めたとしても経過が良くなることはないと考えられています。離乳食の場合も、濃度や量を薄めたり変更したりする必要はありません。

まずは塩分と糖分の補給を第一に考えましょう。おかゆを嫌がるときにはスープや味噌汁などを飲ませてもよいですし、イモ類やバナナ、ヨーグルトなどで代替しても問題ありません。このように、食事の内容について深く考え過ぎる必要はありませんが、薄めないジュース・缶詰めの果物・シロップなど(「浸透圧が高い食事」に分類されます)は下痢をしやすくなるため避けたほうがよいでしょう。

しっかりと食事を摂れるまで回復したときは、原則的に油分の多い食品や料理は避け、炭水化物と良質なタンパク質(卵や白身の魚など高タンパク低脂質のもの)を摂取できるよう、意識しましょう。

子どもが下痢をしているときの食事指導では、ご家族に「自分がお腹を壊したときに何が食べたいかを考えてみてください」とお話ししています。ただし、基本的には子どもの食欲に合わせて構いませんし、子どもの大好物で水分が多いものであれば、よほど消化に悪そうでない限り食べさせてよいとお話しします。

下痢のときに食べてはならない食べ物はありませんが、一般的には炭水化物(ご飯、うどん、パン、じゃがいもといった穀類)、豆腐、白身魚、脂身の少ない肉、おかゆ、スープ、バナナ、リンゴ、煮野菜などが推奨されています。

下痢のときの食事と聞くと、真っ先におかゆを思い浮かべる方も多いと思いますが、子どもがおかゆを嫌がるならば食べさせる必要はありません。つまり、嫌いなものを無理に食べさせなくてもよいということです。

下痢の際には低血糖と脱水状態にならないような食事の工夫が重要です。これを満たしていれば、絶対に与えてはいけない食事はないと考えても問題ありません。

経口補水液は代表的な脱水時の飲料ですが、あくまでも「理想的な飲料」であり、子どもによっては経口補水液を嫌がって飲めない場合もあります。そのときには無理に飲ませるのではなく、柔軟に対応することが大切です。子どもが飲みやすいのであればうすめたジュースやスープなどでも構いません。塩分、糖分を補いつつ水分を摂取させることを心掛けていれば、一つの方法にこだわる必要はないでしょう。

下痢のときは臀部(おしり)のケアを普段以上にしっかり行うようにしてください。

下痢のときは便が液性のため、臀部に広く下痢便が付着してしまいます。便が付着したままにしておくと、おむつ皮膚炎と呼ばれる状態になってしまうため、悪化する前にお湯を使って丁寧に洗い流すようにしましょう。排便回数が多いため、便が出るたびに洗い流すことが大切です。

ウイルス性胃腸炎による下痢の場合は、感染対策が必要です。

①石鹸での手洗い

手洗いは、手指に付着している胃腸炎の原因ウイルスを減らすために最も有効な方法です。調理を行う前、食事の前、トイレに行った後、下痢や嘔吐物などを処理したりオムツ交換などを行ったりした後(手袋をして直接触れないようにしていても同様)は必ず手洗いをしましょう。

石鹸自体にはウイルスを弱める作用はありませんが、手に付いた脂肪などの汚れを落とすことにより、手指からウイルスを落としやすくする効果は期待できます。

また、消毒用エタノールによる手指消毒は、石鹸と流水を用いた手洗いの代用にはならないため、消毒用エタノールのみで完全に感染対策をすることはできません。

②下痢や嘔吐物などの処理

冬に流行するウイルス性胃腸炎は、ウイルスに感染した方のふん便や嘔吐物からさらに二次的に感染することが知られています。特にノロウイルスは空気が乾燥するほど空中に漂いやすくなり、空気中のウイルスが口の中に入って感染することがあります。

嘔吐物やふん便を処理する際は、乾燥しないうちに、床などに残らないよう速やかに行います。また処理した後は空気の流れに注意しながら、ウイルスが屋外に出ていくよう十分に喚気を行うことが感染防止策として重要です。

【コラム】

下痢や嘔吐物を処理するときには、次亜塩素酸ナトリウム※(塩素濃度約200ppm)という物質を使用すると効果があります。これは、市販されている家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウムを含む)でも代用できます。市販されている塩素系漂白剤は、次亜塩素酸ナトリウム濃度が6%のものが多いので、その場合を例に、作り方を下記に説明します。

・ただし、製品ごとに濃度が異なります。表示をしっかり確認してください。他の濃度の場合の作り方は、最後の表を参照ください。

・使用に当たっては「使用上の注意」をよく確認しましょう。

 

 

消毒やふき取り

200ppmの濃度の塩素消毒液

嘔吐物などの廃棄(袋の中で廃棄物を浸す)

1000ppmの濃度の塩素消毒液

製品の濃度

液の量

水の量

液の量

水の量

12%

5ml

3L

25ml

3L

6%

10ml

3L

50ml

3L

1%

60ml

3L

300ml

3L

また厚生労働省によると、嘔吐物の処理方法は以下のとおりです。

床等に飛び散った患者の嘔吐物やふん便を処理するときには、使い捨てのガウン(エプロン)、マスクと手袋を着用し汚物中のウイルスが飛び散らないように、ふん便、嘔吐物をペーパータオル等で静かに拭き取ります。

拭き取った後は、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度約200ppm)で浸すように床を拭き取り、その後水拭きをします。おむつ等は、速やかに閉じてふん便等を包み込みます。

おむつや拭き取りに使用したペーパータオル等は、ビニール袋に密閉して廃棄します。(厚生労働省より引用、一部改変)

密封する際は、上図次亜塩素酸ナトリウム水溶液②をビニール袋に注ぎ込んで殺菌するといいでしょう。

 

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。

 

【先生方の記事が本になりました】

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