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インタビュー

子どもの下痢。症状から判断する「危険なサイン」とは?

子どもの下痢。症状から判断する「危険なサイン」とは?
宮田 章子 先生

さいわいこどもクリニック 院長

宮田 章子 先生

下痢は子どもによくみられる症状の一つで、消化管に何らかの問題がある証拠でもあります。急に始まる下痢は、ウイルス性胃腸炎によるものが大半を占め、自然に治っていくことが多いのですが、ときに重症化する場合もあります。今回は、子どもの下痢で注意すべき症状について、さいわいこどもクリニック院長の宮田章子先生にお話し頂きました。

子どもに下痢が起こったとき、最も重要なのは脱水のサインを見極めることです。

子どもは大人よりも容易に脱水になることが知られています。そのため、子どもが下痢を訴えて受診した場合、医師はまず脱水のサインがないかを診察します。

子どもの下痢の原因は、年齢(月齢)によってさまざまです。例えば感染による下痢であれば、原因となりやすいウイルスが異なります。細菌の感染による下痢のこともあります。また、アレルギー(ミルクアレルギーなどの消化管アレルギー)による下痢の可能性もあるため、診断は慎重に行います。ただし基本的には、下痢症状が現れていても「食べる、寝る、遊ぶ」などがしっかりとできていれば心配はありません。

急激かつ大量の下痢が何度も出ている場合や、尿が半日以上出ていない場合はただちに病院へ向かってください。また、子どもが「ぐったりしている状態」であれば注意が必要です。このような状態のことを我々小児科医は「not doing well」(不機嫌で、体調が悪そうな様子であること)と呼んでおり、ただちに治療が必要な状態と認識しています。

また、脱水へ適切な対応(詳細は記事3『子どもの下痢への対処法 家庭で与える食事・水分のポイントとは』)をしているにもかかわらず、通常どおりの回復をしない場合は、下痢によって脱水以外の合併症状も起こっている可能性を考えます。具体的には経口補水液(薬局やドラッグストアで売られているイオン水)などの水分を飲んでも一向に回復しなかったり、元気や活気がなかったり、顔色の悪さが継続する場合です。

そのほか、ご家族からみて「子どもの元気が十分ではない」「食べる・寝る・遊ぶ のうち、いずれかあるいは全てが普段と違い、様子がおかしい」などであれば、小児科を受診してください。

また「尿がきちんと出ているか」に注意することも重要です。子どもの尿について、医師は「排尿回数が多く一回の尿の量が少ないのか」「排尿回数は少なく一度に多量の尿が出ているのか」「排尿回数も尿の量も少ないのか」など、尿の回数や量の組み合わせも含め詳細にたずねます。

また、尿の色が濃いか薄いかも重要な情報です。しかし、単に尿が出ているかどうか聞かれただけでは、親御さんの答え方は様々となるでしょう。そのため、聞く側の医師が明確に聞きたい点を示す必要があります。

子どもの場合、「体重の何%にあたる水分を失っているか」で重症度を判断します。この状態を「○%の脱水」と表現します。一般的には体重の3%の脱水までが、家庭で処置できるギリギリのラインといえます。5%~7%の脱水になってしまうと点滴による治療が必要となり、7%の脱水にまで進行すると入院治療を要します。家庭でできる最もよい脱水処置は経口捕水液(ORT)などの水分を飲ませることです。しかし、いったん重症の脱水になってしまうと、口からの水分補給だけでは間に合わず、急激に状態が悪くなる可能性があがります。その際は、点滴などの迅速な処置が必要です。

脱水の程度を知るために、親御さんに教えていただきたいポイントを挙げます。

●尿の量と回数(十分に出ていなければ脱水が進行している)

●おむつの重量(十分に重くなければ尿が出ていないと考えられる)

●下痢の回数(下痢と一緒に水分が出ている場合も多い)

脱水の程度を知るために、尿の量は大事な手がかりです。尿が十分に出ていないときは、体の中の水分が足りず、尿も作れなくなって、脱水が進行している可能性を考えます。また、下痢の量をみることも重要になります。

下痢は、回数(多い・少ない)と一度に出る量(少量・大量)によって以下の3パターンに分けられます。

 

下痢の回数

一度の量

パターン1

多い

少量

パターン2

少ない

大量

パターン3

多い

大量

これに加え、下記の症状の有無も確認します。

・口の周辺が乾燥している(かさかさしている)

・口腔内の粘度が高い(ねばねばしている)

・意識がトロンとして反応が悪い

脱水の程度が強くないのに意識がトロンとしている場合は、低血糖(エネルギーとなる糖分が血液中に不足している)を起こしかけている可能性があります。この際は、点滴などの迅速な処置が必要です。

下痢と発熱を同時に起こした場合、保護者の方は特に心配されるでしょう。しかし、熱の高さと下痢の重症度には関係がありません。

赤ちゃんでは、ミルクの飲みっぷりは良いけれども、便に血が少量、点状に混ざっていることがあります。これは健常な赤ちゃんならばよく見られる状態です。このような便が出たとしても、元気がありミルクの飲み方も順調であれば問題ありません。

一方、便に大量の血液が混ざっている「粘血便(ねんけつべん)」は危険なサインです。粘血便とは、血液が塊のように入っていたり、膿と血液が混じり合っている便のことを指します。特に、イチゴジャムのように赤みをおびた便がみられるときは、腸重積(腸同士が重なるようにはまりこみ緊急の対応を要する病気、乳幼児に多い)を考えなければなりません。

また、鉄さびのような赤黒い便が出たときは、上部消化管(食道・胃・十二指腸など、食べ物の消化の前半に関わる部分)から出血している可能性があります。

濁ったような異臭を伴う灰白色の便にも注意が必要です。

注意すべき便の状態(画像提供:宮田章子先生)

私が特に注意して聞くのは以下の3点です。

・尿の回数

・便の量

・嘔吐の合併があるかどうか(嘔吐と下痢が同時に起こる場合は、重度の脱水や低血糖などを起こすことがある)

親御さんが、これらの状態を事前にメモしておき医師に見せてくださると、子どもの診察がスムーズに進みます。

下痢症状から病気を診断するためには、実物の便を病院に持ってきてもらうことが理想的です。便の持参が難しい場合は、スマートフォンなどで撮った便の写真を見せていただくのでもよいでしょう。

ただし、便の臭いも重要な情報であるため、実物を持参したほうが、より診断の助けになります。また、持参した便をそのまま検査することもできるため、診察室で肛門を擦って便を採ってくるなどの体に負担のかかる検査をせずに済み、子どもにとっても痛みがないというメリットがあります。

 

「こどもの様子がおかしい」と思ったときは、日本小児科学会が運営する「こどもの救急(ONLINEQQ)」も参考にしてみてください。

 

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