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インタビュー

原発性胆汁性肝硬変の治療-ベザフィブラートの使用と発症のきっかけ

原発性胆汁性肝硬変の治療-ベザフィブラートの使用と発症のきっかけ
銭谷 幹男 先生

国際医療福祉大学大学院 教授、国際医療福祉大学大学院 臨床研究センター 、山王メディカルセンタ...

銭谷 幹男 先生

肝臓の中の小さな胆管が障害される原発性胆汁性肝硬変(以下、PBC)は、原因不明の自己免疫性肝炎であり、現在のところ根治的な治療法は確立されていません。しかし、「ウルソ」という治療薬が使用され始めたことで、肝移植に至るまでに進行する例は世界中で激減したと、国際医療福祉大学消化器内科教授の銭谷幹男先生は仰います。では、ウルソが効かない約20%の患者さんにはどのような薬が使用されるのでしょうか。また、PBCは、どの程度まで進行すると肝移植が必要になるのでしょうか。引き続き、銭谷先生にお話を伺います。

1980年代後半からPBCの治療に使われ始めたウルソは、患者さんの生命予後改善に有効であることが世界中で知られており、PBCの第一選択薬として広く使用されています。しかし、一部(約20%)ウルソでは治療効果が得られない患者さんがおり、そのような方に対してはベザフィブラートという薬を使用します。ベザフィブラートはもともと高脂血症の治療薬として使われていましたが、肝細胞保護作用と胆汁分泌を促す作用があり、さらに日本の研究によりウルソの効果が悪いPBC患者さんにも有効であるということが明らかになりました。これによりPBCの進行は大いに緩やかなものになり、今では患者さんの生存曲線は健康な方とほとんど同じになるということもわかっています。

ただし、あらゆる薬の有効性をはかるには10年ほどの歳月を要しますので、ベザフィブラートの真価を示すにはあと2~3年待つ必要があります。これは日本で始まった治療法ですので、おそらく数年後にはPBCの新たな治療法として、日本から世界へと発信されることと期待しています。

「胆汁うっ滞」(胆管で胆汁が詰まること)を起こすと、詰まった胆汁の成分が血中に流れ出すことがあります。ここまでに紹介してきたウルソとベザフィブラートは、胆汁の分泌量を増やすことで、この胆汁うっ滞を防ぐ薬です。ただし、これらを使用しても効果がみられない人もおり、病気が進行して黄疸(皮膚が黄色になる症状)が出てしまうこともあります。黄疸が現れるということは、薬によりどんなに胆汁分泌を増やしても障害された小葉間胆管で詰まってしまうということですから、現時点では肝移植を行うしかありません。

PBCの患者さんに特徴的な自己抗体には、抗ミトコンドリア抗体(AMA)というものがあります。自己抗体とは、自己の細胞などに対して生じる抗体のことです。健康な方の場合、抗ミトコンドリア抗体は陰性ですが、PBCに罹るとこの抗体が高率(約90%)に小葉間胆管に産出されます。この抗ミトコンドリア抗体の抗原決定基(最小分子)は細胞内のミトコンドリア内膜に存在しますが、それがなんらかの理由で細胞外に出てくることで免疫反応が起こると考えられます。

このように細胞内の抗体が外に出てきてしまうきっかけのひとつに、「大腸菌などの細菌感染」が考えられています。大腸菌は抗ミトコンドリア抗体と同じ抗原決定基を持っています。

この大腸菌に反応する免疫応答が、何らかの原因で小葉間胆管表面に表出した抗原と交差反応を起こし、免疫学的破壊が生じるものと推察されています。また、これまでの調査によりPBC患者さんには尿路感染症の方が多いということがわかっています。尿路感染症は女性に好発する病気で、約70%以上は大腸菌を病原体としているため、PBC発症のきっかけとして大腸菌感染が関与している可能性があると思われます。 

大腸菌のほか、ゼノバイオテックスという化粧品の中に含まれる物質が、抗ミトコンドリア抗体に反応する抗原決定基と非常に似ているともいわれています。それゆえ、PBCは女性に多いという声もあがっています。しかしながら、これらは全て仮説にすぎず、PBCの発症のきっかけやメカニズムについては、依然未解明であり研究段階です。これらを解明するためのヒントを示してくれるのは患者さんですから、私は患者さんを詳しくみて、患者さんの病態を検討し、正常な人と比較することを重視しています。

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  • 国際医療福祉大学大学院 教授、国際医療福祉大学大学院 臨床研究センター 、山王メディカルセンター 院長

    銭谷 幹男 先生

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