げんぱつせいたんじゅうせいたんかんえん

原発性胆汁性胆管炎

同義語
PBC
最終更新日:
2023年06月27日
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2023/06/27
更新しました
2017/04/25
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概要

原発性胆汁性胆管炎とは、肝臓の中を通る胆管が壊れ、胆汁の流れが滞る病気です。胆汁は脂肪を消化するために必要な液体で、通常、肝臓内の細胞で作られて胆管を通り、胆嚢(たんのう)にためられたあと十二指腸へと運ばれます。

胆汁の通り道である胆管が壊れると、胆汁が肝臓にたまってしまい(うっ滞)肝障害が起こります。長年、肝臓に胆汁がたまると肝細胞が徐々に破壊されると肝硬変へと進行し、最終的には肝不全に陥ることもあります。

原発性胆汁性胆管炎は成人以降に発症し、特に50~60歳に多いとされています。また、発症者の男女比はおよそ1:4と女性に多い病気です。

原因

原発性胆汁性胆管炎の原因は、明らかになっていません。しかし、この病気はシェーグレン症候群関節リウマチ、自己免疫性甲状腺炎などの自己免疫疾患の患者によくみられることなどから、発症には自己免疫反応が関与していると考えられます。

自己免疫反応とは、本来は細菌やウイルスなどの外敵から身を守る役割を持つ免疫系に異常が生じ、誤って自分自身の組織を攻撃してしまう反応のことです。このような反応によって胆管が攻撃を受け、壊れてしまうのではないかと考えられています。

なお、この病気が親から子に遺伝することほとんどありません。しかし、兄弟など同一親族内に原発性胆汁性胆管炎が発症するケースが報告されていることなどから、発症には遺伝的な因子が関係しているといわれています。

症状

原発性胆汁性胆管炎では、無症状で経過する“無症候性”と、症状を有する“症候性”があり、無症候性から症候性に移行することもあります。移行する割合は10~40%程度(5年間で25%ほど)とされ、一生無症状のままという場合も少なくありません。

症候性でもっとも多くみられる初期症状は、全身の強いかゆみです。これは胆汁に含まれるビリルビンという成分が血液中に逆流し、皮膚の末梢神経(まっしょうしんけい)を刺激するために起こると考えられます。また、疲労感や体のだるさが現れることもあります。

進行とともに肝臓のはたらきが低下すると、黄疸(おうだん)、むくみ、腹水、肝性脳症などの肝不全症状がみられるようになります。このような状態まで進行すると、救命には肝移植を必要とする場合が一般的です。

また、口の中や目が乾燥したり、食道(しょくどう)静脈瘤(いじょうみゃくりゅう)骨粗しょう症、骨病変(骨塩減少など)、脂質異常症を合併したりすることが多くあります。ほかにも、しばしば合併する自己免疫疾患シェーグレン症候群関節リウマチ・自己免疫性甲状腺炎など)の症状が目立つ場合もあります。一部では、肝臓にがんが発生することもあります。

検査・診断

原発性胆汁性胆管炎が疑われる場合には、血液検査を行います。この病気があると、肝臓内に胆汁がたまることで胆道系酵素(ALP、γ-GTP)が、進行するとビリルビン値が上昇します。また、ほとんどのケースで血清IgMの値が高くなり、自己抗体の抗ミトコンドリア抗体が陽性となります。

併せて、MRI検査や超音波検査などの画像検査で胆管の状態を確認する場合もあります。ほかにも、肝臓の組織を採取して顕微鏡で観察する肝生検を行う例もあります。生検は、類似したほかの病気と区別したり、病気の進行度を判定したりするためにも有用な検査です。

治療

原発性胆汁性胆管炎に対する治療は薬物療法が中心です。進行して肝硬変になった場合にも薬物療法などの内科的治療が行われ、それでも効果が得られない場合には肝移植が検討されます。

薬物療法

原発性胆汁性胆管炎では、胆汁のうっ滞が問題となりますが、ウルソデオキシコール酸という薬に胆汁の流れを促して病気の進行を抑えるはたらきがあるため、この薬が第一選択として広く用いられています。

ウルソデオキシコール酸のみで肝機能障害が十分に改善しない場合には、脂質異常症の治療に使用されることの多いベザフィブラートが使用されることもあります。

また、全身のかゆみに対しては抗ヒスタミン薬やコレスチラミン、ナルフラフィン塩酸塩などが使用されることがあります。

肝移植

病気が進行し肝硬変に至った場合には肝硬変や合併症(腹水・肝性脳症)に対する薬物療法や食事療法が、食道胃静脈瘤が生じた場合には予防的に内視鏡治療が行われますが、これらのような内科的治療を実施しても効果がみられない場合には肝移植が検討されます。

なお、原発性胆汁性胆管炎における肝移植では、移植後5年間の生存率は80%ほどとされています。

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