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インタビュー

公開日 : 2016 年 07 月 11 日
更新日 : 2017 年 09 月 28 日

妊娠中のサイトメガロウイルス感染の予防法。年間3000人の赤ちゃんが母親から感染している

サイトメガロウイルスという言葉をご存知ですか?決して認知度が高いとはいえないサイトメガロウイルスですが、日本では年間約3000人もの赤ちゃんがお母さんのお腹の中や産道でサイトメガロウイルスに感染しています。お子さんに難聴などの障害を来しかねない先天性サイトメガロウイルス感染症を防ぐためには、妊婦さんが予防法を知り、実践することが重要です。特に「上のお子さん」からお母さんに感染し、胎児へと感染することが多いといわれるサイトメガロウイルスについて、東京大学医学部附属病院女性診療科・産科主任教授の藤井知行先生にご解説いただきました。

サイトメガロウイルス(CMV)とは

ウイルスや細菌などの病原体が、様々な感染経路を辿って母から子へと感染することを「母子感染」といいます。母子感染を起こす病原体は多々ありますが、中にはお母さんの症状は軽症であるものの、妊娠中の感染により胎児に重篤な症状を引き起こしてしまうものもあります。このような感染症を総称してTORCH(トーチ)症候群と呼びます。

【TORCH症候群の原因となる微生物】

●トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)

●風疹ウイルス(Rubella virus)

●サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus)

●単純ヘルペスウイルス (Herpes simplex virus)

●その他(others)…梅毒トレポネーマなど

本記事で取り上げるサイトメガロウイルスは、TORCH症候群の中でも高い頻度で胎児感染を起こし、更には乳幼児に神経の障害を来す可能性があるウイルスです。

「サイトメガロウイルス」という名前は、ギリシャ語の“cyte-”(細胞)と“-megalo-”(メガロ)に由来しており、文字通り感染細胞が巨大化して周囲の細胞に広がっていくという特徴を持っています。

フクロウの目 藤井知行先生

(引用元:サイトメガロウイルス妊娠管理マニュアル)

サイトメガロウイルスの感染細胞は、写真のように「フクロウの目」のように見えることがあることでも知られています。

サイトメガロウイルスは正式にはヒトヘルペスウイルス5(HHV-5)といい、ヒトのみに感染します。また、ヘルペスウイルス全般にいえることですが、サイトメガロウイルスは一度感染すると生涯にわたり潜伏感染し続けます。

※多くは一生涯症状が現れない「不顕性感染」の形で感染します。

妊娠中にサイトメガロウイルスに感染すると赤ちゃんにどのような症状が現れる?

妊婦さんがサイトメガロウイルス(以下、CMV)に初感染や再感染を受けた場合や、元々感染していたCMVが何らかの原因で再活性化した場合、ウイルスは胎盤を通して胎児に移行し、生まれてくる赤ちゃんが「先天性CMV感染症」を発症することがあります。

症状は軽いものから重いものまで多岐に渡り、中には無症状というケースもあります。

赤ちゃんに現れる症状には、低出生体重、肝機能異常、小頭症、水頭症、脳内石灰化、紫斑、血小板減少、貧血、黄疸(皮膚が黄色くなること)、網膜症、白内障、肺炎、けいれんなどがあり、成長に従い、難聴や運動障害、精神遅延などの障害が現れることもあります。

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