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インタビュー

脳卒中、がん、心筋梗塞の医療を担う東大阪医療センターの取り組み

脳卒中、がん、心筋梗塞の医療を担う東大阪医療センターの取り組み
中 隆 先生

市立東大阪医療センター 副院長

中 隆 先生

大阪市立東大阪医療センターは、二次医療圏※である大阪府中河内地域(八尾市、柏原市、東大阪市の3市)での数少ない公的病院です。急性期診療を担う病院として東大阪地域の方々に信頼されるべく、2016年10月に独立行政法人に移行。現在では3大疾病(がん、脳卒中心筋梗塞)の治療を主軸に据えて医療を提供するため、様々な取り組みを進めています。本記事では、東大阪医療センター副院長の中隆先生に、同センターの特徴と強みについてご解説いただきます。

中河内地域は大阪市の東部、奈良県と接する場所に位置します。市内の東花園駅(近鉄奈良線)から徒歩10分の公園内には、2019年のラグビーワールドカップの舞台にも決定している「花園ラグビー場」があります。花園ラグビー場では高校ラグビーが毎年開催されることから、中河内地域は“ラグビーの聖地”とも呼ばれます。

この名の通りラグビーは地域に強く根付いており、東大阪市のイメージキャラクター “トライくん” はラグビー選手をモチーフにしています。また2016年10月に東大阪市民病院が現名称(東大阪医療センター)へ改称した際に策定したトレードマークも、やはりラグビーボールをイメージして作成されました。

トライくん(東大阪市イメージキャラクター)
東大阪市イメージキャラクター「トライくん」(東大阪市より)
東大阪医療センターのトレードマーク
東大阪医療センターのトレードマーク

東大阪医療センターが位置する中河内地域には、約80万人の方が生活しています。開業病院やクリニックは点在していますが、手術などの急性期医療を担う病院数はあまり多くありません(八尾市立病院、八尾徳洲会病院など)。

参考:日本医師会総合政策研究機構

日本医師会 地域医療情報サイト
出典:日本医師会 地域医療情報サイト

東大阪医療センターは、急性期医療の機能が比較的低い中河内地域で、どのように地域に貢献し、中河内地域の医療環境を改善していくかを課題とし、対策を講じています。

人口動態から述べると、今後10~20年(2025年~2035年)の中河内地域の患者数は全国平均よりも高い水準で増加してくると予測されます。東大阪医療センターは地域医療圏最大の自治体病院ですから、我々が東大阪市内の各医療機関との連携強化を主導し、患者さんや地域の方々に必要とされる医療体制を整えなければなりません。

一方、現在の中河内地域では、救急医療や高度医療、急性期医療などの急性期医療の担い手が不足しています。東大阪医療センターではこれらの不足しがちな医療をしっかりと提供し、中河内地域で中心的役割を果たすことが求められていると考えています。

東大阪医療センターの外観
東大阪医療センターの外観

急性期診療を担う病院として、東大阪医療センターでは特に3大疾病(がん、心筋梗塞脳卒中)を中心にした診療を目指しています。

東大阪医療センターは国指定の地域がん診療拠点病院です。地域がん診療連携拠点病院とはその名の通り「がん診療に関する地域の拠点病院」であり、東大阪医療センターもがんに関する診療体制など、国が定める多くの要件を満たしています。また、長らく呼吸器内科は休診中でしたが、肺がんに特化した呼吸器内科を再開する予定で準備中です。

2016年現在、東大阪医療センターでは循環器内科で心筋梗塞患者の受け入れを積極的に行っていますが、さらに2017年度には心臓血管外科を新設し、ICU病棟も整備する予定です。

脳

副院長の私を含め神経内科医が多く在籍する東大阪医療センターでは、脳卒中の治療において非常によい体制が整っています。奈良県立医科大学脳神経外科や大阪大学脳卒中・神経内科のバックアップのもと、現在は神経内科と脳神経外科合わせて14名もの医師が所属しており、丁寧で確実な診療を提供することが可能です。中河内地域近辺でこれほど多くの脳神経外科医と神経内科医が揃っている病院は他にありません。

消化器内科領域や呼吸器科領域では他の病院でも入院診療を行っていますが、東大阪市中河内地域で神経内科領域の入院患者さんを診療できる病院は東大阪医療センターのみです。

たとえば、神経変性疾患の一つで難病に認定されているALS(筋萎縮性側索硬化症)の場合、中河内地域の4分の3の患者さんを東大阪医療センターで診療しています。このように、神経変性難病に対する診療を積極的に行っている点も東大阪医療センター(特に神経内科)の特徴のひとつです。また、神経内科医の多さも当院の特徴だといえます。

東大阪医療センターは80万人と非常に人口の多い地域に位置する一方、大阪大学や大阪市内と少し距離があり、奈良県立医科大学は県外であることから、医師が不足しがちになってしまうという問題もあります。

例えば神経内科専門医の割合は、全国平均や大阪府全域では10万人当たり4人程度ですが、中河内地域では現状10万人当たり1.5人にとどまっています(大阪大学のある吹田市では22人、豊中市では8人)。

また、先ほどお伝えしたように、この地域には急性期ベッドが不足しています。それにもかかわらず、医師が不足しているために急性期の患者さんに即時対応できないようでは、地域の方々に不安を与えてしまいます。地域の医師不足の問題は早急に解決する必要があります。

なお、中河内地域の300床以上の急性期病院は東大阪医療センター、八尾市立病院、八尾徳洲会病院、医真会八尾総合病院、石切生喜病院、河内総合病院の6つです。

東大阪医療センターは2016年10月に独立行政法人となりましたが、東大阪市立の病院であることに変わりはなく、常に市民の方々の期待に応えることを目指します。冒頭で述べた通り、がん、脳卒中心筋梗塞に対する治療は確実に対応できるようにしたいと考えています。脳卒中に対しては脳外科と協力して、内科的治療のみではなく、血管内治療など、特にきめ細かく対応が可能です。

また、東大阪医療センターでは要介護度が高い患者さんを多く診ていることも特徴のひとつです。通常、高齢者を除いて特別な介護を必要とするのは骨折、脳卒中、難病のいずれかに当てはまる場合です。神経変性疾患などの難病を抱えており、要介護度が高い方はあまり遠方に行くことができませんから、お住まいの医療圏がきちんとした医療を提供しなければなりません。

先に述べたように東大阪医療センターでは神経変性疾患の患者さんの大多数を診ていますから、今後は益々、難病の患者さんや介護が必要な患者さんが地域で安心して生活できるような医療を提供していく必要があります。

(※二次医療圏:一体の区域のうち入院医療を提供する病院。ただし三次医療圏で提供すべき医療を除く)

参考:厚生労働省

※記事内の画像はすべて引用許可を取得の上で掲載しています。

 

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  • 市立東大阪医療センター 副院長

    中 隆 先生

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