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インタビュー

公開日 : 2016 年 12 月 16 日
更新日 : 2017 年 05 月 08 日

神経内分泌腫瘍(NET)の診断技術と最新治療の導入に向けた課題と専門医の取り組み

希少がんの一種である神経内分泌腫瘍(NET)。稀な病気ですが、膵臓や消化管に生じる膵・消化管神経内分泌腫瘍をはじめとして、その患者数は年々増加傾向にあるといいます。神経内分泌腫瘍の診断や治療において、世界レベルでは最先端技術が導入されており、早期診断や早期治療が可能となっています。しかしながら本邦では、神経内分泌腫瘍に対する最新の診断技術や治療法の幾つかが導入されていないため、最新の治療に関しては多額の費用を支払って患者さんが海外で治療を受けている現状があります。日本で神経内分泌腫瘍の患者さんを救うためには、専門医を筆頭に、多くの方が神経内分泌腫瘍診療の実態を知り疾患啓発を進めていくことが大事です。世界的に神経内分泌腫瘍診療の専門家として活躍される、関西電力病院学術顧問/神経内分泌腫瘍センター長の今村正之先生にお話しいただきます。

神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor:NET)とは

神経内分泌細胞に発生する腫瘍

神経内分泌腫瘍(NET)とは、人体の様々な部位に広く分泌している「神経内分泌細胞」という細胞から発生する腫瘍のことを指します。

神経内分泌細胞の構造

神経内分泌細胞は全身にあるので、神経内分泌腫瘍(NET)は膵臓や消化管、肺、胸腺など全身の臓器に発生する可能性があります。統計的調査の結果、日本人の場合は膵臓や直腸や胃などの消化器および肺に多く発生しますが、欧米で多い小腸NETは日本では全体の5%程度と少ないことがわかりました。韓国や台湾の統計調査でも小腸NETは少ないので、欧米との違いは人種的な違いによるのではないかと推測されています。

神経内分泌腫瘍(NET)

神経内分泌腫瘍は希少がんだが全国的に患者数は増えてきている

膵NET・消化管NETからみる神経内分泌腫瘍(NET)の患者数の推移

神経内分泌腫瘍(NET)はもともと頻度の高い病気ではありませんが、患者数はこの数年間で増加してきています。

下記は日本人に多い消化管NETと膵NETの患者数の推移です。2005年から2010年までの5年間で、消化管NETの有病患者数は3.45人/年から6.42人/年へ(人口10万人当たり)、膵NETの有病患者数は2.23人/年から2.69人/年へと増加しています。

消化管NETと膵NETの患者数の推移−2005
(膵・消化管NETの患者数の推移)
消化管NETと膵NETの患者数の推移-2010
(膵・消化管NETの患者数の推移)

私は1970年から約35年間にわたって神経内分泌腫瘍(NET)を研究し続けていますが、1970年当時と比べると有病患者数は5倍以上に増加しています。ただし、純粋に患者数が増えた以外にも、診断技術の進歩と病理診断の進歩、それにここ10数年間の専門家たちによる啓もう活動の成果によると考えています。

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