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神経内分泌がん(NEC)とは?その治療と化学療法
神経内分泌腫瘍(NET)は病理学的な診断に基づいてG1・G2・G3という3つのグレードに分類されます。この中でG3のグレードに相当するNEC(神経内分泌がん)は非常に進行が早く悪性度が高いことか...
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神経内分泌がん(NEC)とは?その治療と化学療法

公開日 2016 年 11 月 22 日 | 更新日 2018 年 09 月 18 日

神経内分泌がん(NEC)とは?その治療と化学療法
小林 規俊 先生

公立大学法人 横浜市立大学 がん総合医科学 横浜市立大学附属病院 臨床腫瘍科 講師

小林 規俊 先生

高野 祥子 先生

横浜市立大学放射線科 指導診療医

高野 祥子 先生

市川 靖史 先生

横浜市立大学大学院医学研究科がん総合医科学主任教授 横浜市立大学附属病院臨床腫瘍科・乳腺外科 部長

市川 靖史 [監修]

神経内分泌腫瘍(NET)は病理学的な診断に基づいてG1・G2・G3という3つのグレードに分類されます。この中でG3のグレードに相当するNEC(神経内分泌がん)は非常に進行が早く悪性度が高いことから、G1やG2のNETとはまったく異なる治療戦略が必要とされます。横浜市立大学附属病院臨床腫瘍科・乳腺外科の小林規俊先生、放射線科の高野祥子先生に神経内分泌がん(NEC)の最新抗がん剤治療についてお話をうかがいました。

(監修:臨床腫瘍科・乳腺外科 診療部長/主任教授 市川靖史先生)

神経内分泌がん(NEC)とは

分類

NET(G1, G2); Neuroendocrine tumor

NEC(G3); Neuroendocrine carcinoma=神経内分泌がん

WHOが2010年に改定した神経内分泌腫瘍(NET)の分類でG3(グレード3)に相当するものがNECです。 NEC(G3)は非常に進行が早く、悪性度が高いため、神経内分泌腫瘍とは区別して「神経内分泌がん」とも呼ばれますが、これも神経内分泌腫瘍(NET)の一種です。もともとNET自体もまれな疾患ですが、NECはさらに頻度が少なく、NET全体の2~13%といわれています。

分類2

また、2017年から膵臓の場合だけ、Ki-67指数と核分裂像が>20であっても病理学・臨床学的にNETに近いものはNETのG3という分類が加わり、これと区別するためこれまでの悪性度の高いものはNEC G3に改定されました。

2016年版ENETSの神経内分泌腫瘍のガイドライン

ヨーロッパの神経内分泌腫瘍のガイドラインでは、日本でも行われているシスプラチンあるいはカルボプラチンとエトポシドという抗がん剤がG3(NEC)の治療として推奨されています。またイリノテカンやオキサリプラチンといった抗がん剤も記載されています。また同じガイドラインの中に、特にNET G3では、シスプラチンは効果が乏しいかもしれないので、テモゾロミドを基本とした抗がん剤や、もしもソマトスタチン受容体が陽性であるならばPRRTを検討してもよいと記されています。

ガイドライン1

ガイドライン2

このガイドラインは2012年にENETS(European Neuroendocrine Tumor Society:欧州神経内分泌腫瘍学会)が発表したガイドラインです。2016年版では、膵臓と消化管で治療方針が分けられました。膵臓の場合は、NECのG3とNETのG3で分けた治療が必要であると記載されています。

神経内分泌がん(NEC G3)に対する最新治療-テモゾロミド単独療法

横浜市立大学附属病院の臨床腫瘍科では、神経内分泌がん(NEC G3)についてもさまざまな抗がん剤を使って治療を行っています。NECは最初に実施した抗がん剤治療だけではすぐに効かなくなってしまうため、次々に別の抗がん剤を使っていかなければなりません。そこで我々は、先に述べたように欧米の事例を研究した結果、日本では脳腫瘍のグリオーマのみに保険適応となっているテモゾロミド(Temozolomide)を2次治療、3次治療として使っていこうという試みを実施しました。

この治療は臨床試験として2013年から行い、病院内の先進医療推進支援機構に申請をすることで薬剤の費用を病院が負担するという形で進めました。そのため、他施設と組んで行う大規模研究という形をとることはできませんでした。

臨床試験の結果、多くの患者さんはテモゾロミド単独療法では、2か月程度の効果しか出ないという結果に終わりました。しかし、一部のMGMTという酵素が欠損している患者さんでは、腫瘍の明らかな縮小があったという結果も出ました。また患者さん全体に対して継続不能となるような強い副作用は出ませんでした。

テモゾロミド

NET(G1,G2)およびNEC(G3)に対するCAPTEM療法とは

我々は当院でのこれまでのデータと、海外での報告などをもとに、カペシタビンというもうひとつの抗がん剤と併用することで、NET G1、G2、G3やNEC G3に治療効果があるのではないかと考え2016年より病院内の先進医療推進支援機構を利用して、引き続き臨床試験を実施しています。

このカペシタビン(capecitabine)+テモゾロミド(temozolomide)の併用療法はCAPTEM療法と呼ばれ、海外では50%以上という高いレベルの奏功率を示すデータが出ています。

ENETS(European Neuroendocrine Tumor Society:欧州神経内分泌腫瘍学会)の2016年のガイドラインでも、特にNET G3に対して、テモゾロミドを基本とした抗がん剤治療が取り上げられています。

しかしながら、カペシタビンとテモゾロミドの併用療法は保険適応ではなく、2018年現在、国内では自由診療でしか実施できません。テモゾロミドの単独療法と同様に製薬企業主導でのアクションがないために、我々が臨床研究を始めているという状況がこれまで続いていました。

2018年に厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」からの要請があり、現在国内におけるカペシタビンとテモゾロミドの併用療法使用の実態調査が実施されています。

カペシタビンとテモゾロミドの併用療法は、患者さんたちのネットワークではすでによく知られている治療で、日本でも早く受けられるようにしてほしいという声が厚生労働省に届いたものと思われ、国内での保険適応下での使用が今後可能となることが期待されています。引き続き当院では、臨床試験を継続していく予定です。
 

北海道大学医学部を卒業後、沖縄県立中部病院を経て現在は横浜市立大学がん総合医科学講座で主任教授を務める。乳がん、消化器がんなど悪性腫瘍の薬物療法を中心としたがん治療全般を専門とする。治験や臨床研究に企画・立案から取り組むとともに、がん治療のもうひとつの柱である緩和医療の充実にも力を注いでいる。

膵臓がん、神経内分泌腫瘍、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、胆道がんの診断と治療を中心に、臨床・研究を行っている。特に神経内分泌腫瘍では、先進的な診断、治療を行っている。

放射線科医一年目の冬、ある一人の患者さんの死をきっかけに、非常に有効で世界的に広まりつつある核医学内用療法という分野の存在と、それが日本では法律などの障害によりほとんど施行できない現状を知る。
その後は放射線治療医としてブラキセラピーやIMRTなどの最新治療の鍛錬を積みつつ、核医学内用療法の日本での普及を目指し、学内外の多大な協力を得ながら、日々活動している。

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