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インタビュー

早期治療によって重症化を防ぐ-スタージ・ウェーバー症候群の診断と治療

早期治療によって重症化を防ぐ-スタージ・ウェーバー症候群の診断と治療
新島 新一 先生

順天堂大学医学部附属練馬病院 小児科 教授

新島 新一 先生

目次
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スタージ・ウェーバー症候群とは、頭部や顔面の血管腫(赤あざ)、脳軟膜血管腫(のうなんまくけっかんしゅ:細かな血管が脳の表面を覆う状態)に伴うてんかん発達障害などの症状が現れる、先天性疾患の一つです。

スタージ・ウェーバー家族の会の代表を務める順天堂大学医学部附属練馬病院 小児科 教授の新島 新一先生は、スタージ・ウェーバー症候群の診療や研究に携わっていらっしゃいます。

同病院の新島先生によると、スタージ・ウェーバー症候群は、早期発見・早期治療が何よりも重要になるそうです。それはなぜなのでしょうか。

今回は、スタージ・ウェーバー症候群の診断と治療、予後にいたるまで同病院の新島 新一先生にお話しいただきました。

スタージ・ウェーバー症候群の原因や症状に関しては、記事1『顔面の赤あざが特徴のひとつ-スタージ・ウェーバー症候群の原因や症状とは?』をご覧ください。

スタージ・ウェーバー症候群の診断では、頭部や顔面の血管腫(赤あざ)やてんかん症状の有無の確認に加え、MRI検査やCT検査によって脳の画像診断を行います。また、緑内障があるかどうかを調べるために眼科の検査を受けていただくケースもあるでしょう。

MRI検査やCT検査では、脳軟膜血管腫や脳の石灰化を調べます。特に、スタージ・ウェーバー症候群の確定診断につながるものがMRI検査による造影フレア画像です。造影フレア画像とは、脳軟膜血管腫を確認するためにもっとも有効な検査であるといわれています。

 

造影フレア画像の例
造影フレア画像の例(画像提供:新島新一先生)

この検査によって脳内膜血管腫が見つかれば、なるべく早期に脳神経外科において手術を受けることが重要になります。

スタージ・ウェーバー症候群の診断を希望される方の多くは、ご本人やお子さんに顔面の血管腫が現れたことをきっかけに病院を受診されます。

この場合、必ずしもスタージ・ウェーバー症候群ではなく、単なる赤あざや、いちご状血管腫であるケースもあります。いちご状血管腫も赤あざが現れる疾患ですが、あざが盛り上がっており、自然に消えてしまう点が特徴です。一方、スタージ・ウェーバー症候群の赤あざは盛り上がっておらず、自然に消えることはありません。

MRI検査

顔面の赤あざをきっかけに病院を受診される方のなかには、てんかんに伴うけいれんの症状が現れておらず、脳の石灰化も認められない例もあります。

このように主な症状が血管腫のみの場合であっても、スタージ・ウェーバー症候群である可能性もあります。てんかんなどの症状が遅れて現れるケースもあるからです。

このため、スタージ・ウェーバー症候群であるかどうか不安があれば、MRI検査の造影フレア画像を撮影していただくことが有効でしょう。

スタージ・ウェーバー症候群の治療の選択肢には、主に、手術と薬剤治療があります。このうち、根本的な治療につながるものは手術です。一方、薬剤治療は、疾患の進行を抑える(遅らせる)効果があるでしょう。

スタージ・ウェーバー症候群の治療には、手術が有効です。手術によって脳軟膜血管腫の病巣を切除することができれば、予後の改善につながります。脳軟膜血管腫が進行し、左右両方の脳に石灰化が認められるようになると、手術の適応ができなくなるケースもあります。たとえ手術ができたとしても予後も悪化してしまうケースも少なくありません。そのため、脳軟膜血管腫では早期治療が重要になるでしょう。

また、疾患が進行し脳の左右両方に石灰化が認められる場合には、脳梁(のうりょう)を離断する手術が適応されるケースがあります。脳梁とは、右脳と左脳をつなぐ役割を果たす線維の束を指します。

手術

スタージ・ウェーバー症候群の薬剤治療では、けいれんを止める抗けいれん剤、少量のアスピリン、カルシウム拮抗剤を主に使用します。

血流がうっ滞(停滞してしまうこと)すると、血液の塊である血栓(けっせん)ができやすくなります。血栓ができるために血管が詰まると、脳梗塞や静脈梗塞につながる可能性があることがわかっています。このような重篤な状態を防ぐために、少量のアスピリンを投与し、血栓をつくりにくくする治療が適応されるケースがあります。

また、脳の石灰化を防ぐために、カルシウム拮抗剤を使用することもあるでしょう。

さらに、緑内障の症状がある場合には、眼科によって点眼薬などの治療が適応されます。また、顔面や頭部の血管腫に対しては、皮膚科や形成外科によってレーザー治療などが適応されるケースがあるでしょう。

スタージ・ウェーバー症候群の診断や治療には、スタージ・ウェーバー症候群の手術実績のある医療機関の受診がおすすめです。それは、スタージ・ウェーバー症候群の手術は、すべての医療機関でできるわけではないからです。手術の実績のあるところであれば、診断で見逃される心配も少なく、安心して治療に臨めるのではないでしょうか。

たとえば、私たち順天堂大学医学部附属病院は2017年時点で、治療実績のある医療機関のひとつです。小児神経を専門とする医師の診断後は、脳神経外科で手術を受けていただくという連携体制が確立されています。

スタージ・ウェーバー症候群では、早期に手術を受けることができれば、元気に社会生活を送る方も少なくありません。治療によって予後が改善された患者さんは、定期的な検査を受けていただくだけで、薬の服用を継続する必要がない方もいらっしゃいます。

しかし、疾患が進行してしまった患者さんは、手術を受けてもけいれんの症状がわずかに残ってしまったり、発達障害が残ったりしてしまうことがあります。そのような場合には抗けいれん剤やアスピリンなど薬の服用を継続していただくケースが多いでしょう。

新島先生

繰り返しになりますが、スタージ・ウェーバー症候群の重症化を防ぐためには、早期治療が何よりも大切になります。疾患が進行しないうちに治療を受けることができれば、予後が大きく改善されるからです。スタージ・ウェーバー症候群に罹患したとしても、治療により状態が改善し元気に社会生活を送る方も少なくありません。

脳軟膜血管腫が見つかった場合には、一刻も早く手術を受けていただきたいと思っています。

私はスタージ・ウェーバー家族の会の代表も務めています。近年でも、原因の解明や新たな治療法の開発など、スタージ・ウェーバー症候群の研究は続けられています。患者さんやご家族への情報共有にも注力していきたいと思っています。

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