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てんかんの治療のゴール─「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」
てんかんを真の意味で完治させる方法は,ごく一部の例外を除くと残念ながらまだありません。しかし、適切な治療をおこなえば、発作をうまくコントロールすることが可能です。その第一歩が薬物療法です。てんか...
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てんかんの治療のゴール─「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」

公開日 2015 年 04 月 13 日 | 更新日 2017 年 05 月 07 日

てんかんの治療のゴール─「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」
中里 信和 先生

東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授

中里 信和 先生

てんかんを真の意味で完治させる方法は,ごく一部の例外を除くと残念ながらまだありません。しかし、適切な治療をおこなえば、発作をうまくコントロールすることが可能です。その第一歩が薬物療法です。

てんかんの治療の第一歩:薬物療法

てんかんの治療方法には、1)薬物療法、2)外科的治療(手術)、3)食事療法(ケトン療法)などがあります。基本は、てんかん発作を抑える薬の服用です。発作を減らすことが治療のゴールだった時代もかつてはありました.現在は、「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」という「3つのゼロ」を目指すべきです。

発作が半分に減っても患者の人生は劇的には改善しません。発作が年に1回でも運転免許は取得できないでしょう。発作を完全にゼロにすることは治療目標の第一です。

発作が治まったとしても、治療薬による副作用があれば治療にとっての理想的なゴールとは言えません。服薬を断念せざるをえない重篤な副作用もありますし、そこまで重篤でなくとも副作用がつらすぎれば生活の質は落ちます。患者が自覚できないような体質の異常が水面下で進行していることもありえます。副作用ゼロは治療目標の第二に位置します。

発作ゼロかつ副作用ゼロでも、人生に対する不安や悩み事があれば、治療のゴールに達したとはいえません。将来おこりうる発作の再発への不安、薬剤の副作用出現への不安、女性の場合は妊娠した際に子どもへの影響がでてくる不安など、医学的な問題や悩みもありますし、偏見や差別で学校や職場でつらい思いをしている方も少なくありません。中には家族や自分自身が、てんかんについて偏見や差別をもっているために、患者の自尊心が保てないケースもあるのです。こうした問題は、医師が一人で解決できるとは限りません。多くの職種の協力のもと、医療資源や社会資源を組み合わせつつ、解決していかなければならないでしょう。

薬物療法:基本は抗てんかん薬1種類で

はじめに、てんかんの薬物療法で用いる薬は「発作を抑える」薬であって、「てんかんを治す」薬ではないことを心にとどめておいてください。てんかん発作を抑えるための薬を服用し続けるというのが薬物療法の基本となります。

これまでのてんかん治療ガイドラインでは,成人の場合、局在関連てんかんの第一選択薬は「カルバマゼピン」、全般性てんかんの第一選択薬は「バルプロ酸」となっています。基本は「単剤治療」といって, 1種類の薬だけで治療を行うのが基本です。そして、単剤治療では効果が見られない場合には,別の薬に切り替えて最終的にはやはり単剤治療を目指すのが標準です。

しかし最近、新薬として登場した「ラモトリギン」と「レベチラセタム」は,発作抑制効果が強いものの長期に服用する副作用が小さいために、カルバマゼピンやバルプロ酸にかわって最初から第一選択として使われるようになってきました。

「ラモトリギン」は局在関連てんかんと全般性てんかんの認可、「レベチラセタム」は局在関連てんかんにのみ認可が下りていますが、実際には両者ともに、どちらのタイプのてんかんにも効果を発揮します。むしろ、てんかん治療の初期段階から 「ラモトリギン」もしくは「レベチラセタム」を使い、もし両者を試しても効果が十分でない場合にはじめて、局在関連てんかんならカルバマゼピン,全般性てんかんならバルプロ酸を用いる、という方法が広まりつつあります。

服用開始1年以内に発作が消えなければ専門医に相談を

てんかんの薬物治療では、最初の薬剤で約5割の人で発作が抑えられるといわれています。2番目ないしは3番目の薬剤で発作が抑制される場合は、さらに追加の1〜2割といわれ、それ以上は追加の効果を期待できないのが普通です。ここまでの薬剤調整は通常1年以内に終了しますので、もし薬剤治療で発作がゼロになる見込みがないのなら、早めに専門医を紹介してもらうべきです。その場合、外来診療を繰り返していても大きな変化は期待できませんから、できれば入院の上、長時間ビデオ脳波モニタリング検査を実施してもらえる施設に紹介してもらいましょう。

 

2017年3月25日(土)に仙台で世界的なてんかん啓発活動「パープルデー」イベントを開催します。

 

東北大学による世界パープルデーのイベント
東北大学てんかん学分野による世界パープルデーのイベント

記事1:てんかんの問診と検査─外来で可能なことと、入院で行うべきこと
記事2:てんかんとは─誰でも何歳からでも発症する可能性のある病気
記事3:てんかん3 てんかんの治療のゴール─「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」
記事4:てんかん4 てんかんの外科治療─薬で発作が消えない場合は手術を考えよう
記事5:てんかん5 てんかんと運転─基本は「自分のてんかんを正しく知る」こと
記事6:てんかん6 てんかんと妊娠(1)─多くの場合、特別扱いは不要
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記事8:てんかん8 てんかんと日常生活1
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記事10:てんかん10 てんかんの助成制度1
記事11:てんかん11 てんかんの助成制度2
記事12:てんかん12 てんかんの助成制度3
記事13:てんかん発作の対処法
記事14:てんかん発作の種類。けいれんや意識障害など種類はさまざま
記事15:てんかんと仕事ー発作の有無がポイントになる

2010年3月、大学病院初の「てんかん科」を設立。2011年4月には研究講座名を「てんかん学分野」と改名。てんかんの診療改革として、「1時間外来」や「2週間検査入院」を展開。研究面では、超伝導センサを使った脳磁図計測を、てんかんの診断や脳研究に応用する国際的権威。教育面では、てんかんへの偏見や差別を取り除くアウトリーチ活動を展開している。

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