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てんかん発作にはどんな前兆が現れるの? ~自分の症状の特徴を把握し、危険の回避を~

てんかん発作にはどんな前兆が現れるの? ~自分の症状の特徴を把握し、危険の回避を~
小国 弘量 先生

TMGあさか医療センター てんかんセンター顧問

小国 弘量 先生

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てんかんは、てんかん発作と呼ばれる発作症状を特徴とする慢性の脳の病気です。てんかん発作の出方は人によって異なり、激しいけいれんが起こる人もいれば、突然意識をなくし動かなくなる人もいます。てんかん発作は突然起こることも多いものの、人によっては前兆と呼ばれる特徴的な症状を発作直前に自覚することがあります。

てんかん発作の前兆とは、どのようなものなのでしょうか。また、前兆が見られたときや実際にてんかん発作が起こったとき、本人や周りの人はどのような行動をとればよいのでしょうか。

てんかんは、てんかん発作と呼ばれる突然の発作症状を特徴とする病気です。発作症状は、脳の神経細胞の一部または全体に異常な電気信号の興奮が発生することで引き起こされます。

てんかん発作は、脳のどの部分に異常な興奮が起こっているかによって全般発作と部分発作に分けられ、具体的には以下のような症状があります。

  • 全般発作:脳の広い範囲で過剰な興奮が起こり、ほとんどの患者さんは意識を失います。突然意識を失った後にがくがくと体がけいれんする強直間代発作や、全身の力が入らなくなる脱力発作などが見られます。
  • 部分発作:脳の一部分に過剰な興奮が起こる発作で、部分発作が大脳全体に広がり、全般発作に発展する場合もあります。症状は脳の興奮する部分によって異なり、光や色が見える、音が聞こえる、片側の手や足がしびれる、無意識に口をもぐもぐさせる、無意識にふらふらと歩きまわるなどがあります。

てんかん発作は自分の意志とは関係なく、突然現れます。しかし一部の人では、てんかん発作が起こる直前に、何らかの前兆症状を自覚する(感じる)ことがあります。どのような前兆症状が起こるかは人によってさまざまですが、同じ人には毎回同じ症状が見られることが多いです。前兆そのものは部分発作の一部と考えられています。

身体感覚症状

手足のしびれ(手足がぴりぴりする、感覚がなくなる)、手足が熱い、冷たい、手足を動かせないなどの症状が現れる

視覚症状

何もないところにぴかぴか光る点や星型、線、円形などのいろいろな形が見える

聴覚症状

機械音のような単純なものから人の声のような複雑なものまで、実際には存在しない音が聞こえる

そのほか

めまいなどの身体動揺感、硫黄や焦げ臭いにおいなどの嗅覚症状、苦味、甘味、酸味などを感じる味覚症状、胃腸の不快感などの内臓の異常感覚、また既視感(一度も体験したことがないのに、すでにどこかで体験したかのように強く感じる現象)や未視感(見慣れたはずのものが未知のものに感じられる現象)などの体験性症状などが見られることもある

てんかん発作が起こるとき、何らかの前兆が見られる場合もありますが、必ずしも全ての人に見られるわけではなく、前兆から発作まで十分な時間があるとも限りません。

てんかん発作が起こると、本人は体の自由がきかなくなってしまうことも多いため、周りの人の理解や介助が不可欠になります。

てんかん発作が起こると突然意識を失ったり、体の自由がきかなくなったりします。発作そのものが命に関わるものではありませんが、発作が起きた場所によっては危険にさらされることもあり、いつ発作が起こるか分からない中での生活は強い不安を感じるものです。

てんかんの多くは、抗てんかん薬などの治療によっててんかん発作の回数を減らしたり、起こらないようにしたりすることができます。まずは、医師の診察を受けたうえで、このような治療を確実に続けるようにしましょう。

また、発作直前に何らかの前兆を自覚する人は、前兆症状を感じたらなるべく早く安全な場所に移動したり、危険なものを遠ざけたりするようにしましょう。

てんかん発作に遭遇すると、突然のことで動揺する人も多いですが、落ち着いて行動することが大切です。

ほとんどのけいれん発作は数分以内に治まることが多く、その後10~20分以内に意識が回復することが多いといわれています。発作そのものが命に危険を及ぼすものではないため、発作を起こした場所が危険な場所であれば安全な場所に移動させたり、衣服をゆるめたりしたうえで、そのまま様子を見ていて構いません。ただし、けいれんが長く続く場合(5分以上)や、けいれん発作を繰り返す場合は病院に搬送してください。

発作は周りの人が止めようとして止まるものではないため、発作時に名前を呼ぶ、体を抑える、揺さぶるなどの行動は意味がありません。また、舌をかまないようにと、口の中に物を詰め込むと窒息することがあるためやってはいけません。できれば嘔吐物などを誤嚥しないように頭部を横に向けて、騒がずに見守ることを心がけましょう。

てんかん発作は突然起こることが多いものの、前兆症状が先行するもあります。発作が起こると本人は体の制御がきかなくなってしまうので、自分の前兆を把握したうえで、なるべく危険を回避できるような行動がとれるとよいでしょう。

また、発作が起きたときに周りの人に助けてもらえるよう、発作時の対処方法を知らせておくことも大切です。

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いわさき まさき

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東京医科大学病院 小児科学分野 准教授

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重症児・者福祉医療施設「ソレイユ」川崎小児科 副施設長、 聖マリアンナ医科大学 小児科 客員教授、東京医科大学小児科 兼任教授、東京都立東大和療育センター 非常勤医師

すがい けんじ
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