インタビュー

てんかんとは?-様々な発作のタイプを解説

てんかんとは?-様々な発作のタイプを解説
赤松 直樹 先生

福岡山王病院 神経内科、日本神経学会 代議員

赤松 直樹 先生

この記事の最終更新は2016年02月06日です。

てんかんというと小児に多いイメージがありますが、実際もっとも多く発症しているのは高齢者であるといいます。てんかんに関しては、まだ十分に理解されていないことが多く、誤解や偏見を持たれていることも少なくありません。てんかんについて正しく知るため、福岡山王病院てんかん・すいみんセンターの赤松直樹先生にお話を伺いました。

てんかんというと、未だに突然泡を吹いて倒れるという印象を持っている方も多いかと思います。これは「大発作」と呼ばれるてんかんの代表的な発作のひとつですが、てんかんの多くは、この大発作を伴わないタイプのものです。

特に成人のてんかんの中で一番多いタイプは「複雑部分発作」です。この発作は、意識がなくなるといっても、完全になくなるわけではなく、目も開けていれば、場合によっては話をしたり、あるいはボーッとして歩き回るような症状が現れるものです。

しかし、発作を起こしている間の意識はないので、患者さんには発作を起こした記憶はありません。そのため、知らない間に尿失禁を起こしていたり、自分の記憶にないことが起こっていたりということがあるのです。

てんかん発作というのは、脳に流れている電気の回路がショートして興奮している状態ですので、発作の持続時間が5分を超えるとことはほとんどありません。脳が過剰興奮状態にあるため、あまりに長くなると脳が疲れてしまい、発作が治まるというわけです。

てんかん発作には、先ほどお話した大発作や複雑部分発作のほかにも、さらに狭い領域で起こる「単純部分発作」というものがあります。この発作は、吐き気を感じたり、昔の風景が勝手に頭の中に浮かんだり(デジャブ)、また手が震えるなどの症状が現れるものです。脳の一部分にだけ発作が起きている状態なので、この時に意識がなくなることはありません。

ただし、一部分だけに発作が起きる単純部分発作として始まったものが、広い領域にまで異常興奮を起こしてしまい、複雑部分発作へと進行することもあります。つまり、単純部分発作で始まったとしても、複雑部分発作を起こすことがあるのです。

てんかんは、突然のけいれんといった発作を繰り返し起こす神経疾患の中ではもっとも頻度の高い脳の慢性的な病気です。一般には子どもに多いと思われているようですが、実は65歳以上の高齢者にも多い病気です。てんかんの年代別発症率は、 20~50歳の間は少なく、子どもと高齢者に多いため、 グラフに表すとU字カーブを示します。

誕生してすぐに発症するてんかんは、生まれつき異常がある重症タイプが多く、思春期頃に発症するタイプは特発性全般てんかんが多くみられます。また、側頭葉てんかんという、人間の脳で一番発作をおこしやすいタイプのてんかんは、小学生~思春期頃から徐々に悪化していくことが多いとされています。脳卒中後てんかんは、脳卒中に罹りやすい年代、だいたい65歳以上くらいから起こるてんかんです。

てんかんの有病率は、40歳以上では0.4%程度なのに対して、65歳以上になると1%を超えています。日本におけるてんかんの患者数はおよそ1000人に8人ですが、高齢者になると1000人あたり10人程度となります。現在、日本の高齢者人口は3千数百人を超えていますので、国内に40万人ほどの高齢のてんかん患者さんがいるという計算になります。高齢社会を迎えた日本においては、増加傾向にある高齢者のてんかんへの対策が、今後さらに求められると考えられます。

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