インタビュー

てんかんの診断について

てんかんの診断について
赤松 直樹 先生

福岡山王病院 神経内科、日本神経学会 代議員

赤松 直樹 先生

この記事の最終更新は2016年02月07日です。

てんかんは、突然意識がなくなるなどの発作を繰り返し起こす脳の病気です。脳のどの部分で発作が起きるかによって症状や治療法も異なります。治療の第一歩となるのは正確な診断です。てんかんの診断について福岡山王病院てんかん・すいみんセンターの赤松直樹先生にお話を伺いました。

てんかんは、突然起こる発作を何度も繰り返す慢性的な脳の病気です。全身のけいれんや意識がなくなるなどの症状が現れますが、これらの発作は、脳の神経回路が異常興奮し、電気回路がショートしている状態に陥るために起こります。

てんかんは、最初から脳全体に発作が起こる全般発作と、脳の一部分から発作が起こる部分発作の大きく二つに分類できます。

てんかん発作は、脳のどの部分で発作が起きているのかによって、その症状が異なります。例えば、後頭葉で発作が起こると「キラキラと光るものが見える」、側頭葉が発作を起こすと「過去の風景が浮かんでくる(デジャブ)」、自律神経の中枢で発作が起こると吐き気を催すなど、発作と症状のパターンがあります。

てんかんを専門にしている医師であれば、これらてんかん発作のバターンを理解しているので、患者さんから症状を聞くことで、どのタイプのてんかんなのかを判別することができます。ただし、意識がなくなる複雑部分発作などでは、発作時の患者さんの記憶がないため、発作を起こした時の様子を見ていた人からも話を聞く必要が生じます。

てんかんを診断するにあたり大切なことは、これらの症状や病歴を正確に聞き取ることです。最近は臨床検査が発達してきたので、若い先生方はどうしても検査に頼りがちになりますが、私は「Listen to the patient(患者さんの話を聞きなさい)」といっています。患者さんからしっかりと情報を聴取することが治療への第一歩となるのです。

単純部分発作(意識障害はない)

 ①運動発作

 ②感覚発作

 ③自律神経発作

 ④精神発作

複雑部分発作(意識障害がある)

二次性全般化強直間代発作

 欠神発作

 ミオクロニー発作

 間代発作

 強直発作

 強直間代発作

 脱力発作

患者さん本人や、発作の様子を目撃した方から状況を聞き、病歴をつかんだら、次に脳波検査を行います。脳波検査のメリットは、てんかん発作を起こしていない時に検査をしても、発作を起こしやすい部位にてんかん波という特有の波形が出ることです。

脳波検査で、例えば側頭葉にスパイクというてんかん波があれば、側頭葉てんかんだろうということがわかります。脳波検査の感度(てんかん波の出現率)は、1回の検査でおよそ70%程度です。しかし、1回目の脳波検査で異常がみられない場合は、2回、3回と検査を繰り返すか、あるいはてんかん波は睡眠時に出やすい傾向があるので、睡眠時の脳波をとるなどの工夫をすることで、てんかん波の出現率を90%程度にまであげることができます。

診断の基本は、病歴の聴取と脳波検査ですが、原因を調べる目的でMRI検査も行います。MRIは脳の形をみる画像診断で、診断精度が上がった現在では、神経細胞の構造が悪い皮質形成異常症や脳腫瘍、血管の奇形、脳の炎症の後遺症などを写し出すことができます。

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