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インタビュー

てんかんの薬との付き合い方

てんかんの薬との付き合い方
兼本 浩祐 先生

愛知医科大学精神科学講座 教授

兼本 浩祐 先生

これまで他の病院で治療を受けていた方が別の病院を初めて受診するときには、それまでどのような薬を服用してきたのかという「薬歴」が重要です。また、薬物治療を行なう上では、患者さん本人が薬物治療を受け入れる「覚悟」も必要です。てんかん診療の第一人者である愛知医科大学精神神経科講座教授の兼本浩祐先生に、薬との付き合い方についてお話をうかがいました。

てんかんを治療する上で、患者さんの薬歴は非常に重要です。薬歴とはその方がこれまでどんな薬を服用してきたのかという記録です。それによってその方が本当に難治、つまり治療が難しいてんかんなのか、見かけ上難治にみえているだけで、実は今までの薬が間違っていたということがわかります。使っていた薬の種類だけでなく、用量も分かるといいでしょう。薬が正しくても、量が不十分であったがために効果が出ていないということがあるからです。

また、副作用に関する情報も大切です。どの薬でどんな副作用があったのか、どの副作用がつらいと感じたかを伝えていただければ、処方する側で取捨選択することも可能です。また、てんかんの薬では薬疹が出ることもありますので、特に症状が強く出た、大きな副作用についての情報は必須です。

患者さんは薬の量を増やそうとすれば抵抗を示す場合もありますし、ある程度の副作用であれば許容できるという場合もあります。発作が出ることと薬の副作用のどちらを取るかという問題は、最終的にはやはりユーザーである患者さん自身が決めるべきことであると考えます。

患者さんが薬を服用したくないと言っていても、いろいろと話を聞いてみるとその原因は様々です

たとえば、覚悟を決めて薬を服用すると副作用が出にくいということもあります。同じ眠気であっても、「この程度の眠気なら大丈夫」と思って服用するのと、「こんな眠くなる薬は嫌だ」と思いながら服用するのとでは、耐えられる薬の量が違ってきます。

薬の副作用というものは、誰にでも一様に現れるものではありません。また、たとえ同じ人が同じ副作用を経験しても、処方する医師によって感じ方が違ってくるということもあります。それは信頼の度合いなどにも左右されます。

患者さんが覚悟を決めるためには、ある程度時間も必要です。抵抗を感じているときに無理にお勧めしても、長期にわたって服用する薬を受け入れられるものではありません。だからこそ、患者さん本人がどうしたいのかということが最初に考慮されるべきだと考えます。

てんかんの発作は必ずしも全て止めなければならないというわけではありません。たとえば、若年ミオクロニーてんかんという有名な病気では、朝起きた時に手がピクピクッとけいれんする症状があります。しかし、この程度の発作であれば、脳波の異常がたくさん出ていても日常生活に対する支障はほとんどありません。このような場合には薬を服用しないという選択肢もあります。

とはいえ、若年ミオクロニーてんかんで手がピクピクッとけいれんする患者さんは、睡眠不足などによって大発作を起こすリスクはやはり低くはありません。ですから、患者さんの中にも薬を服用したいという方もいれば、やはり服用したくないという方もいます。

しかし、大発作の懸念があるからといって、そこで薬の服用を無理強いすることは間違っています。なぜなら、薬をどこまで受け入れるのかということは患者さんのQOL(Quality of life:生活の質)、すなわちご本人が日々の生活をどう設計していくかということであり、患者さんが自分自身で選ぶべきことだからです。

嫌だと思いながら服用する薬では、どうしても副作用が強く出てしまいます。もちろん、前向きな気持ちで服用していても一定の副作用は起こります。たとえば、アレルギーなどの副作用は生物学的な理由によって起こるものですから、患者さんの心の持ちようがどうであろうと、出るときには出るものです。眠気もまた生物学的に起こるものではありますが、それをどうとらえるかは患者さんの覚悟次第で変わってくるものです。

「服用したくないのに無理強いされた」という気持ちが残っていると、てんかんの薬を長期間にわたって服用することはできません。患者さんご本人が腹をくくって覚悟を決める必要があるのです。

  • 愛知医科大学精神科学講座 教授

    兼本 浩祐 先生のストーリー記事

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    患者さん1人1人にあわせた医療を提供する

    AIにはできない医療の提供を目指す兼本浩祐先生のストーリー

    兼本 浩祐 先生の所属医療機関

    愛知医科大学病院

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    • 愛知県長久手市岩作雁又1-1
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