インタビュー

てんかんと日常生活2―薬の飲み合わせに注意

てんかんと日常生活2―薬の飲み合わせに注意
中里 信和 先生

東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授

中里 信和 先生

てんかん薬を服用している患者さんは、他の薬を服用する際に注意が必要な場合があります。今回は、てんかんのある人の薬の飲み合わせについて、その他、体に取り入れる際に注意したいものについてお話します。

てんかんと睡眠薬(睡眠導入剤):服用は避けたほうがよい

精神安定剤や睡眠導入剤の多くはベンゾジアゼピン系(デパス等)です。これらには抗てんかん作用があるため、専門医の判断がない場合には飲むべきではありません。

日本において、これらの薬の乱用が大きな問題になっています。精神科の専門医でなくても、気軽に処方できてしまうためです。実際、てんかんがなかなか治らないと思っていったら、実はペンゾジアゼピン系の依存症だったというケースがかなりあります。患者さんも隠していることが多く、発見が遅れがちですが、危険です。

ベンゾジアゼピン系の薬剤をお薬を大量に飲んでいる人が、突然服用をやめるとその反動で離脱症状がおき、全身痙攣になることがよくあります。

たしかに睡眠不足はてんかん発作の引き金になるため、ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤の処方を希望する方もいますが、多くの場合、睡眠薬をはむしろ減らして中止にもちこむ方が、てんかん発作はおきにくくなります。

てんかんと抗ヒスタミン剤:風邪薬や花粉症の薬の服用は慎重に

抗ヒスタミン剤というと耳馴染みがないかもしれませんが、市販の風邪薬や、花粉症などのアレルギーの薬は抗ヒスタミン剤であるケースが多くあります。抗ヒスタミン薬のなかでも中枢移行の強いタイプのものは、眠くなることが知られています。これらはヒスタミンの受容体に作用するため、てんかん発作を起きやすくします。

ただし、抗ヒスタミン薬すべてが禁止というわけではありません。中枢移行の少ない薬剤であれば、通常は大丈夫ですから、主治医ときちんと相談しましょう。

「おくすり手帳」を活用して相互作用を予防しよう

病院や薬局で薬を処方される際は、「おくすり手帳」を活用するとよいでしょう。おくすり手帳とは、自分が飲んでいる薬の情報をひとつにまとめられるもので、病院や薬局で無料でもらえます。

診察の際や、薬の処方を受ける際、医師や薬剤師が飲み合わせの危険がないかを判断する重要な情報源となるので、受診の際は必ず持参するようにしましょう。

てんかんとアロマ:発作を起こしやすいという医学的根拠はない

アロマオイルのなかには、「てんかんの人は使用をさけること」という注意書きがあるものが多いのですが、発作を起こしやすいという医学的エビデンス(医学的な証拠)はありません。これはアロマを販売する会社側の責任回避のためかもしれませんね。

ラベンダーの刺激臭が発作を引き起こすのではないか?という懸念が書かれたサイトはありますが、その程度で発作がもし起きるとすれば、そもそも抗てんかん薬による治療をきちんと考えなおすべきではないでしょうか。

てんかんとグレープフルーツ:服薬直前に食べるのは避ける

グレープフルーツやグレープフルーツジュースを抗てんかん薬と一緒にとると、抗てんかん薬の吸収速度が速まり、血中濃度が乱高下することが知られています。この作用が起きてしまう代表的な薬としては、カルマバゼピン(テグレトール)が挙げられます。

グレープフルーツのなかでも、赤いものはその作用が弱く、黄色いものは作用が強いのですが、そこまでは気にしなくても大丈夫です。一切食べてはいけないというわけではなく、薬を飲む直前に食べなければ問題ありません。

記事1:てんかんの問診と検査─外来で可能なことと、入院で行うべきこと
記事2:てんかんとは─誰でも何歳からでも発症する可能性のある病気
記事3:てんかん3 てんかんの治療のゴール─「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」
記事4:てんかん4 てんかんの外科治療─薬で発作が消えない場合は手術を考えよう
記事5:てんかん5 てんかんと運転─基本は「自分のてんかんを正しく知る」こと
記事6:てんかん6 てんかんと妊娠(1)─多くの場合、特別扱いは不要
記事7:てんかん7 てんかんと妊娠(2)─ てんかんと妊娠に関する3つの不安─流産のリスクは低い
記事8:てんかん8 てんかんと日常生活1
記事9:てんかん9 てんかんと日常生活2
記事10:てんかん10 てんかんの助成制度1
記事11:てんかん11 てんかんの助成制度2
記事12:てんかん12 てんかんの助成制度3
記事13:てんかん発作の対処法
記事14:てんかん発作の種類。けいれんや意識障害など種類はさまざま
記事15:てんかんと仕事ー発作の有無がポイントになる