インタビュー

てんかんの問診と検査─外来で可能なことと、入院で行うべきこと

てんかんの問診と検査─外来で可能なことと、入院で行うべきこと
中里 信和 先生

東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野教授

中里 信和 先生

てんかんの診断には丁寧な問診と、脳波や神経画像などたくさんの検査が必要となりますす。3人に2人は外来診療だけで正しい診断が得られますが、残りの1/3の方には入院精査が必要です。残念なことに、日本のてんかん診療は外来偏重です。経過が思わしくないと考えられる場合には、ぜひ専門病院での入院をお薦めします。

てんかん診断 1:問診(外来)

てんかんを持つ方は普段は正常ですから、発作の様子を聞き取ることが大切です。他の病気と違って、患者本人だけではなく、発作を目撃した人からの直接の聞き取りが大切です。

非専門医は、大発作(全身けいれん)の聞き取りだけで問診を終えがちですが、大発作は診断にはさほど役立ちません。てんかん発作の多様性を熟知した専門医によって、発作の前兆となる細かな症状や、発作時の左右差、意識を失わない小さい発作の様子を時間をかけて聞き出してもらう必要があります。目撃者が診察室にいない場合、電話をかけて聞き出すことも必要です。

てんかん診断 2:脳波(外来)

脳波とは、脳の神経細胞が発する電気信号をとらえたものです。波形をチェックすることで、脳の異常を確認することができます。通常は外来での検査が普通ですが、発作のない時の所見しか確認できません。発作がない時の脳波でも診断に役立つ場合がありますが、1/3 の方は十分な情報が得られません。そのため、次に紹介する「長時間ビデオモニタリング脳波検査」がより有効といえます。

てんかん診断 3:長時間ビデオ脳波モニタリング検査(入院)

数ある検査の中で、てんかんにもっとも有効なのが長時間ビデオ脳波モニタリング検査です。発作の瞬間をビデオで撮影し、同時に脳波で確認する検査であり、入院しておこないます。発作頻度が高い小児などでは1泊程度でも診断できますが、成人では3泊4日の入院が一般的で、長い場合には1週間の検査になります。その間、トイレ以外はカメラの下で生活してもらうことになります。

てんかん診断 4:その他の機械を使った検査

神経画像とよばれるCT、MRI、PET、SPECT、磁気で測定する脳磁図(MEG)など多数の検査法があります。てんかんでは、何かひとつの検査で原因がはっきり判明することは稀です。必要に応じて外来もしくは入院で、複数の検査を組み合わせてもらう必要があります。

てんかん診断 5:心理検査

てんかんに合併する精神発達遅滞や高次脳機能障害が疑われる場合には専門の医師や言語聴覚士、心理士の時間をかけた面接によって、神経心理検査や心理社会検査が行われます。とくに外科治療が必要な方では、事前にこの検査を受けておくことが必要です。

入院での検査でおこなうこと(一例)

てんかんで入院した時に検査でおこなうこと

てんかんで入院した時に検査でおこなうこと

てんかんの診断結果の説明

問診や検査が終ったら、主治医からの説明を受けます。しばしば「あなたはてんかんです」の一言だけで治療を開始されることがありますが、理想的には、1)どのような発作分類なのか、2)どのようなてんかん病型なのか、3)どのような治療方針でのぞむのか、4)その場合の予後(てんかんが抑制される見込み)の説明があるはずです。

残念ながら、どんなてんかんの専門医でも、てんかんのすべてを知っているわけではありません。むしろ患者さん自身が自分のてんかんに対する一番のスペシャリストになるべきです。

記事1:てんかんの問診と検査─外来で可能なことと、入院で行うべきこと
記事2:てんかんとは─誰でも何歳からでも発症する可能性のある病気
記事3:てんかん3 てんかんの治療のゴール─「発作ゼロ、副作用ゼロ、将来への不安ゼロ」
記事4:てんかん4 てんかんの外科治療─薬で発作が消えない場合は手術を考えよう
記事5:てんかん5 てんかんと運転─基本は「自分のてんかんを正しく知る」こと
記事6:てんかん6 てんかんと妊娠(1)─多くの場合、特別扱いは不要
記事7:てんかん7 てんかんと妊娠(2)─てんかんと妊娠に関する3つの不安─流産のリスクは低い
記事8:てんかん8 てんかんと日常生活1
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記事10:てんかん10 てんかんの助成制度1
記事11:てんかん11 てんかんの助成制度2
記事12:てんかん12 てんかんの助成制度3
記事13:てんかん発作の対処法
記事14:てんかん発作の種類。けいれんや意識障害など種類はさまざま
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