
てんかんと診断された方が真っ先に心配するのは、自動車運転と事故の問題だと言われています。「運転中に発作が起きて大事故につながったらどうしよう」と心配なのは当然です。しかし「免許を取り上げられたら仕事に就けない」、「生活が崩壊してしまう」、と心配する人も少なくありません。
自動車運転免許の交付は公安委員会が決定する事項ですが、そのためには医師の診断書が必要となります。しかし、医師の診断書よりも大切なことは「患者さん一人一人が自分のてんかんについて正しく理解しているかどうか」です。てんかん患者さんが自動車運転をするためには何よりもこれが大切です。
てんかんといっても、患者ごとに発作のタイプは千差万別です。てんかん発作で運転が危険な方でも自分の発作を軽視して「大丈夫だろう」と思ってこっそり運転し、取り返しのつかない事故に繋がる恐れもあるからです。
患者さんが自分自身のてんかんの専門家になることがもっとも大切です。そうすれば、自ずと危険のすくない生活が送れるようになります。
免許センターから専用の診断書をもらうことが第一歩です。それをかかりつけの医師に記入してもらい、免許センターに提出します。最終的に免許取得を許可するかどうかは、公安委員会が判断します。
発作があることを隠して免許を取得しようとした場合、法律で罰せられます。また、発作があるのに医師の忠告を守らず患者が運転し続けている場合、医師は守秘義務を免除され、その事実を公安委員会や警察に通報できる制度も開始されました。自分自身とそれ以外の人たちの安全を守るためにも、患者は自分自身のてんかん発作について正しく理解することが求められます。
てんかんの患者さんが運転免許を取得するには、一定の条件があります。
まずは道路交通法によって「運転に支障が出る恐れのある発作が2年以上起きていない」ことが条件となっています(チャート参照)。運転に支障が出ないような小さな発作や睡眠時だけの発作の時はどう考えるのでしょうか。このときは条件が満たせば運転は可能な場合もあります。
チャートのように、運転に支障がないような小さい発作の場合は原則的には1年以上の経過観察で免許取得の許可が下りることになります。しかし、100%支障がないかといえばそうとも限りません。患者さんが自分の発作を正しく理解しているかどうかの問題、それを医師に正しく申告しているかどうかの問題、発作ビデオなどで本当に運転に支障がないかどうかの確認など、いくつかの問題が残されています。このため、公安委員会に提出する診断書の作成に関しては、規程以上に慎重になる医師がいることも理解して下さい。
ある患者さんの事例を紹介しましょう。無意識症状を呈する発作を繰り返しているため、主治医は運転を許可する診断書は書けないと説明しました。しかし患者さんは、「自分のてんかん発作は軽いから運転には支障ないだろう」と勝手に判断していまいました。
ある時、発作の様子を家族がビデオに撮影しました。その様子をはじめて見せられた患者さんは大変に驚いて、それ以降は運転をあきらめて治療に専念することを決意しました。
自分の発作を知るための手段としては以下のようなものがあります。
てんかんの患者さんの航空機の運転、船舶の運転は禁止されています。以前は、はさみを使う床屋さんや包丁を持つ調理師は禁止されていましたが、最近ではそれは許可されるようになりました。詳細な条件に関しては日本てんかん協会のホームページを参照してください。
また、自転車でも大きな事故につながることがあります。最悪の場合、死亡事故やけがの原因になるので、自転車に乗ることも禁止される場合があります。
記事1:てんかんの問診と検査─外来で可能なことと、入院で行うべきこと
記事2:てんかんとは─誰でも何歳からでも発症する可能性のある病気
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記事4:てんかん4 てんかんの外科治療─薬で発作が消えない場合は手術を考えよう
記事5:てんかん5 てんかんと運転─基本は「自分のてんかんを正しく知る」こと
記事6:てんかん6 てんかんと妊娠(1)─多くの場合、特別扱いは不要
記事7:てんかん7 てんかんと妊娠(2)─てんかんと妊娠に関する3つの不安─流産のリスクは低い
記事8:てんかん8 てんかんと日常生活1
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記事10:てんかん10 てんかんの助成制度1
記事11:てんかん11 てんかんの助成制度2
記事12:てんかん12 てんかんの助成制度3
記事13:てんかん発作の対処法
記事14:てんかん発作の種類。けいれんや意識障害など種類はさまざま
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東北大学大学院医学系研究科 てんかん学分野教授
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てんかん患者の仕事について
中学生の頃にてんかんと診断されてから、約15年ほど経ちます。 発作は、完全に意識を失って、強直&痙攣する大発作と、数秒間ぼーっとする欠伸発作があります。 現在、会社員をしています。 仕事はとてもやりがいがあり、楽しんでいます。 しかし、環境としては劣悪です。。日付を超えても働き続ける長時間労働で、給料も低い。ひとりひとりに任される責任も重いです。 それでも、他の仕事にはない楽しさだけで続けてきましたが、ついに先日、家でぶっ倒れてしまいました。5年ぶりの大発作です。 要因としてはやっぱり、疲労やストレス、寝不足があるのだろうとは思います。そして、今の仕事を始めてからずっとそこは気がかりではありました。 会社にてんかんのことは伝えていますし、口では理解もしてくれていますが、やっぱり実感が伴わないとなかなか心からの理解を得られるのは難しいです。 数日前の大発作から、まだ頭痛と気持ち悪さが続く中で、仕事をどうするべきか悩んでいます。 お医者さんならやはり、きちんとした生活リズムの作れる仕事をおすすめされるのでしょうか...?
てんかん発作?
まだ、診察していないのですが、肺に水がたまって、手足のむくみ不眠症、吐き気嘔吐恐怖、どうき、気持ち参るなく夜に泣いてる。
笑いてんかんについて
こんばんは 娘が精神疾患で通院歴8年になります 脳波検査をしたのですが 診断はてんかんではないと言われました 親の私はてんかんです 娘が8年ぐらい笑つたり、泣いたりを繰り返しています 毎日です 笑いてんかんがあると知りました 痙攣はありません 舌を噛んだりします 診断書にはてんかんの疑いと記載されています 病状が悪化しているので病院を変わろうかと考えています 笑いてんかんてあるのでしょうか? できればてんかん専門の病院で診てもらいたいです
外傷性てんかんによる発作
昨年の12月に父親が交通事故にあい頭の手術をしました。 事故にあってすぐ意識がない時にてんかんの発作が起きたと言われました。 そしてその後1年ぐらいが経ち先週の木曜日にてんかんの発作が起きました。 その時の発作を実際自分の目では見たのではなく人から教えて貰ったのですが 腕がピンと上に伸びて首を横に振る動作を1時間していたそうです。 その日病院で入院をして金曜日に退院したのですがその翌日の土曜日にまた同じ発作が起きてまた入院をしたそうです。 医師から脳に異常は無いと言われたそうです。 今は退院して家にいるのですが木曜日に発作が起きたあとから何を喋っているか分からない喋り方をしているそうです。 私が心配なのはこの発作が1時間も起きたことで脳に異常が起き、話せなくなったり痴呆症になってしまうのが心配です。 てんかんの発作で話せなくなったりしますか? 私は父親と離れて暮らしているのでどのように発作がおき今どのような状態なのかは正確にはわからないです。
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