院長インタビュー

「もっとも信頼され選ばれる病院」を目指して、医療だけでなくホスピタリティも磨く

「もっとも信頼され選ばれる病院」を目指して、医療だけでなくホスピタリティも磨く
狩野 吉康 先生

札幌厚生病院 肝臓内科 院長

狩野 吉康 先生

JA北海道厚生連・札幌厚生病院は、札幌市の中心部に位置し、病棟数11・病床数519・標榜診療科24の総合病院です(JA北海道厚生連の本部は、札幌駅に近い北農ビルに入っています)。

その歴史は古く、1943年の北聯(れん)診療所開設までさかのぼります。院長として病院をまとめながら、消化器内科医として外来も担当されている狩野吉康先生に、病院の特徴について伺いました。

名称からもおわかりかと思いますが、当院はもともと農協の組合員のために設立されました。しかし、現在は農協組合員だけでなく一般市民の皆さんにも当院は門戸を開いています。

1994年からは人間ドックや健康診断(健診)にも力を入れるようになり、以来、健康管理(予防医学)にも取り組んでいます。ドックや健診は来院での実施に加え、地域農協や札幌市内の会社を対象に、健診車を用いた巡回ドックも行っています。健診における検査・画像の診断はすべて、専門科の医師が担当します。これは当院の大きな特徴です。そして専門医から提供された情報を、今度は人間ドック認定医が総合的に判断し、患者さんに還元します。このシステムにより、高レベルの健診を提供できていると自負しています。また人間ドック認定医が必要と判断すれば、迅速な対応をとります。たとえば、生活習慣の改善が必要であれば保健師や管理栄養士による指導、すでに疾患が認められた場合は適切な診療科での治療を開始します。

さらに2009年には、地域がん診療連携拠点病院の指定を受けました。その結果、当院は健康管理から急性期医療、さらには終末期医療までを担う施設となりました。その後も2012年5月に緩和ケア病棟開設、6月には健診センターを拡充、2016年には急性期病棟から在宅復帰の橋渡しとなる地域包括ケア病棟を立ち上げるなど、地域医療に幅広く貢献してきました。

当院の大きな強みは、消化器内科の充実です。前院長・前々院長が消化器内科医だったこともあり、消化器内科は「胃腸内科」、「IBDセンター」(IBD:炎症性腸疾患)、「胆膵内科」と私が率いている「肝臓内科」の4科があり、消化器内科がさらに専門化されています。これら4科の症例数はいずれも、道内は言うに及ばず、全国的にもトップクラスです。病棟も519床中169床が消化器内科となっています。内科で消化器疾患の患者さんを多く診ていますので、結果として外科でも、消化器外科医の占める割合が高くなっています。全国的に見ても珍しいケースではないでしょうか。

消化器内科が充実すると、「消化器疾患を勉強したい」と、他の施設から自主的にやってくる先生が増えてきます。肝臓内科には道外からいらした先生も2名います。また研修でやってきて、そのまま消化器内科に残る先生も増えてきました。大学病院は、道内3大学(北海道大学、札幌医科大学、旭川医科大学)すべてと連携していますが、おかげさまで現在、大学医局から派遣いただいているドクターの割合は、消化器内科に限れば3割程になりました。私が着任した1994年にはまだ半数以上が大学医局からの派遣でしたから、大きく様変わりしています。

大学からの派遣ではないドクターが多いと自主性は高くなりますが、欠員が出た際の対処には苦労します。管理職としては痛しかゆしといったところでしょうか。

診療に加え最近では、研修医の教育にも力を注いでいます。

少し前までは、ゆとりを持たせていたのですが、今では全科でしっかり研修してもらうようにしています。研修医の先生たちに話を聞いても、多少ハードでも多くを経験できる研修のほうが評判はよいですね。おかげさまで研修医の先生方の間での口コミも良いらしく、よその施設で初期研修をした先生が、「後期研修は札幌厚生病院で」と来てくれるようにもなりました。私たち指導医もできるだけ研修医の先生に声をかけ、少しでも多くの経験を積んでもらうよう心がけています。

本年度は7名募集のところ、20名の希望者が面接に訪れ、中間公表では12名から第一志望との評価をいただきました。最終的には2年連続で欠員なしのフルマッチとなっています。  

患者さんへの情報提供にも、かなり以前から取り組んでいます。たとえば肝臓内科では、「肝臓教室」と銘打った一般の方向けの講演会をほぼ毎月、15年間にわたり続けています。国内で最も歴史のある「肝臓(病)教室」のひとつです。

毎回、テーマを決めて肝臓内科の医師がわかりやすく説明します。対象は当院の患者さんに限らず、誰でも無料で参加できます。少ないときでも20名弱、「C型肝炎の最新治療」など皆さんの関心が高いテーマだと80名を超える皆さんが足を運ばれます。

当初はスライドをお示しするだけでしたが、患者さんから要望に応え、現在ではハンドアウトもお配りしています。ハンドアウトも当初はモノクロだったのですが、これも患者さんからの要望にお答えして今はカラーになりました。

院内の同様の取り組みとして、「IBD教室」と「糖尿病教室」があります。「IBD教室」は「肝臓教室」よりも歴史は古く、20年目を迎えようとしています。「糖尿病教室」は毎週火曜日の開催で、月に4回という充実ぶりです。

また今年(2017年)から始めた取り組みとして「住民講座」があります。これは院内全科の持ち回り企画で、その領域のトピックスを、患者さんや地域の皆さんにご紹介する企画です。

狩野吉康先生

院長に就任して2年が経ちました。医師を含めた職員に私が常々呼びかけているのは

「ホスピタリティを大切にしよう」という目標です。「患者さんを治せばよし」ではありません。必ずしも完治できない疾患は残っていますし、完治が可能な疾患でも治療中の患者さんは弱気になるものです。だからこそ「あの病院にかかってよかった」と思ってもらえるよう、職員には心を尽くして欲しいのです。

市中病院では必ずしも大学病院のような、研究を兼ねた治療、あるいは最先端の治療ができる訳ではありません。では何ができるのか——。地域における信頼の獲得です。医師がホスピタリティを忘れず一生懸命診療すれば、患者さんはそれをわかってくれます。そうすれば、私たちが目標として掲げている「もっとも信頼され選ばれる病院」が必ず実現できると信じています。

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